サバナ気候
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サバナ気候(サバナきこう)は、ケッペンの気候区分における気候区のひとつで熱帯に属する。記号はAw,As。
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[編集] 気候帯のあらまし
- 南回帰線から北回帰線の間の多くの地域に分布。
- 夏は赤道低圧帯に入り多雨、冬は中緯度高圧帯に入るため乾燥するため、一年の間で雨季と乾季がはっきりと分かれている。なお夏が乾季であるという地域もごく僅かながら存在しており、その場合記号はAwではなくAsを用いる。
- 気温の年較差は少ない。
- 丈の高い草原地帯に、乾燥に強いバオバブなどの樹木がまばらに生えている。夏にはこれらの植物が生い茂っているが、冬では樹木が落葉、草原は枯れ種や根に姿を変えるため赤茶けた大地となる。
- 土壌はラトソルと赤黄色土からなり、熱帯雨林ほどではないがやせている。
- 焼畑のほか様々な農業形態がとられている。
[編集] この気候の成立条件
上記3つの条件を全て満たしていて、下記の条件を満たさなければAw、満たせばAsとなる。
- 最多雨月が冬にあり、3×最少雨月降水量<最多雨月降水量 かつ 最少雨月降水量が30mm未満。
[編集] 分布地域
典型的なサバナ気候 (Aw) は、熱帯雨林の周辺に発達し、太陽の回帰にともない、赤道低圧帯の影響を受ける雨季(夏)と、亜熱帯高圧帯の影響を受ける乾季(冬)に分かれる。主な分布地域は以下の通りである。
また、日本の最東端、南鳥島もこの気候に属するという学説がある。
夏が乾季となるAsは極めて珍しく、ハワイ諸島の一部などごく限られた地域にのみ分布する。
- この気候に属する主な都市
- ホーチミン(ベトナム)
- バンコク(タイ王国)
- テンパサル(インドネシア バリ島)
- ダーウィン(オーストラリア)
- ヌーメア(ニューカレドニア)
- ムンバイ(インド)
- カルカッタ(インド)
- ダルエスサラーム(タンザニア)
- キンシャサ(コンゴ民主共和国)
- ヤウンデ(カメルーン)
- ブラジリア(ブラジル)
- フォルタレーザ(ブラジル)
- カラカス(ベネズエラ)
- ハバナ(キューバ)
- サントドミンゴ(ドミニカ共和国)
- テグシカルパ(ホンジュラス)
- メリダ(メキシコ)
- キーウェスト(アメリカ合衆国フロリダ州)
- ポートモレスビー(パプアニューギニア)
[編集] この気候帯の特色
植生は、丈の高い草原の中に樹木がまばらに生えるサバナとよばれる熱帯草原が多く見られる。アフリカでは、この気候帯に多くの野生動物が生息している。
土壌はラトソル(ラテライト)が多く分布するが、一部肥沃な土壌(ブラジル高原のテラローシャやインドデカン高原のレグール土)が分布する地域もある。
ケッペンの気候区分 |
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熱帯 A: 熱帯雨林 (Af) - 熱帯モンスーン (Am) - サバナ (Aw, As) |
乾燥帯 B: 砂漠 (BWh, BWk) - ステップ (BSh, BSk) |
温帯 C: 温暖湿潤 (Cfa) - 西岸海洋性 (Cfb, Cfc) - 温暖冬季少雨 (Cwa, Cwb, Cwc) - 地中海性 (Csa, Csb, Csc) |
冷帯 D: 冷帯湿潤 (Dfa, Dfb, Dfc, Dfd) - 冷帯冬季少雨 (Dwa, Dwb, Dwc, Dwd) - 高地地中海性 (Dsa, Dsb, Dsc, Dsd) トレワーサの区分: 湿潤大陸性 (Dfa, Dwa, Dsa, Dfb, Dwb, Dsb) - 亜寒帯 (Dfc, Dwc, Dsc, Dfd, Dwd, Dsd) |
寒帯 E: ツンドラ (ET) - 氷雪 (EF) |
高山 H |