ザ・ドリフターズの映画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ザ・ドリフターズの映画(-えいが)は、日本において1967年に始まり1975年まで続いた、ザ・ドリフターズ主演の喜劇映画シリーズである。全部で21本製作された。映画中盤以降には、松竹の寅さんシリーズとの二本立てで公開されていた。映画評論としてはハナ肇とクレージーキャッツの映画より低く見られがちではあったが、当時はかなりの人気喜劇映画であり、1972年と1975年には「男はつらいよ」と共に邦画興行トップとなった。
1975年、新人志村けんのギャグの不振により、いかりや長介は、ドリフの活動を全員集合に注力するため、この映画シリーズを終了させた。現在、松竹版映画のみホームビデオで市販されている。
[編集] ドリフの映画一覧
タイトル | 配給 | 公開年 | ドリフ側キャスト | マドンナ役 | 敵役 | その他キャスト | 監督 |
なにはなくとも全員集合!! | 松竹 | 1967年 | いかりや,加藤,荒井,高木,仲本 | 中尾ミエ | 三木のり平,古今亭志ん朝 | 渡辺裕介 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ドリフターズですよ!前進前進また前進 | 東宝 | 1967年 | △いかりや,○加藤,荒井,高木,仲本 | 大原麗子,酒井和歌子 | 小池朝雄 | 天本英世,ザ・タイガース | 和田嘉訓 |
やればやれるぜ全員集合!! | 松竹 | 1968年 | ○いかりや,加藤,荒井,高木,仲本 | 松尾嘉代 | 藤村有弘 | 若水ヤエ子,木の実ナナ | 渡辺裕介 |
ドリフターズですよ!盗って盗って盗りまくれ | 東宝 | 1968年 | ○いかりや,加藤,荒井,高木,仲本 | 酒井和歌子 | 藤村有弘 | 左とん平,木の実ナナ,フランキー堺 | 渡辺裕介 |
ドリフターズですよ!冒険・冒険また冒険 | 東宝 | 1968年 | いかりや,○加藤,荒井,高木,仲本,志村 | 野川由美子 | 藤村有弘,藤田まこと | 小山ルミ,コント55号,真理アンヌ,小松政夫 | 和田嘉訓 |
いい湯だな全員集合 | 松竹 | 1969年 | ○いかりや,加藤,荒井,高木,仲本 | 生田悦子 | 左とん平 | 曽我町子,三木のり平 | 渡辺裕介 |
ミヨちゃんのためなら全員集合!! | 松竹 | 1969年 | ○いかりや,加藤,荒井,高木,仲本 | 倍賞美津子 | 左とん平 | ハナ肇 | 渡辺裕介 |
ドリフターズですよ!特訓特訓また特訓 | 東宝 | 1969年 | ○いかりや,加藤,荒井,高木,仲本 | 山本陽子 | 左とん平 | 渡辺裕介 | |
ドリフターズですよ!全員突撃 | 東宝 | 1969年 | ○いかりや,加藤,荒井,高木,仲本,井山 | 西崎緑 | 梓みちよ | 左とん平,曽我町子,小松政夫 | 渡辺裕介 |
ズンドコズンドコ全員集合!! | 松竹 | 1970年 | ○いかりや,△加藤,荒井,高木,仲本 | 中尾ミエ,野川由美子 | 左とん平,宍戸錠 | 若水ヤエ子,堺正章,かしまし娘,藤田まこと | 渡辺裕介 |
誰かさんと誰かさんが全員集合!! | 松竹 | 1970年 | ○いかりや,加藤,荒井,高木,仲本,志村 | 岩下志麻 | 内田朝雄 | 若水ヤエ子,森次晃嗣 | 渡辺裕介 |
ツンツン節だよ全員集合!! | 松竹 | 1971年 | ○いかりや,加藤,荒井,高木,仲本,志村 | 倍賞美津子, | 小松方正,左とん平 | 若水ヤエ子,谷啓 | 渡辺裕介 |
春だドリフだ全員集合!! | 松竹 | 1971年 | ○いかりや,△加藤,荒井,高木,仲本 | 長山藍子,新藤恵美 | 左とん平,萩原健一,小柳ルミ子 | 渡辺裕介 | |
祭りだお化けだ全員集合!! | 松竹 | 1972年 | ○いかりや,加藤,荒井,高木,仲本 | 林美智子,仁科明子 | クレージーキャッツ | 渡辺裕介 | |
舞妓はんだよ全員集合!! | 松竹 | 1972年 | ○いかりや,加藤,荒井,高木,仲本 | 吉沢京子,早瀬久美 | 芦屋雁之助 | なべおさみ,岡八郎,天地真理 | 渡辺裕介 |
チョットだけョ全員集合!! | 松竹 | 1973年 | ○いかりや,△加藤,荒井,高木,仲本 | 小鹿ミキ | 玉川良一 | 左とん平,寺尾聰 | 渡辺裕介 |
大事件だよ全員集合!! | 松竹 | 1973年 | ○いかりや,△加藤,荒井,高木,仲本,志村 | 松坂慶子 | 玉川一郎,藤村有弘 | 中尾ミエ,アグネス・チャン,由利徹 | 渡辺裕介 |
超能力だよ全員集合!! | 松竹 | 1974年 | ○いかりや,加藤,高木,仲本,志村,すわ | 長山藍子,秋谷陽子 | 伴淳三郎,由利徹 | 榊原るみ,フィンガーファイブ,藍美代子 | 渡辺裕介 |
ザ・ドリフターズの極楽はどこだ! | 松竹 | 1974年 | いかりや,加藤,高木,仲本,志村 | 篠ヒロコ | ― | 芦屋雁之助,キャンディーズ,森田健作 | 渡辺裕介 |
ザ・ドリフターズのカモだ!!御用だ!! | 松竹 | 1975年 | いかりや,加藤,高木,仲本,志村 | 樹木希林,キャンディーズ | 瀬川昌治 | ||
正義だ!味方だ!全員集合!! | 松竹 | 1975年 | △いかりや,○加藤,高木,仲本,志村,すわ | 榊原るみ | 金子信雄,伊東四朗 | ミヤコ蝶々,キャンディーズ | 瀬川昌治 |
※ドリフターズは、姓のみ表記。太字は主役、○はリーダー役、△は映画のストーリー途中でリーダー役が交代した者。無印は、リーダー格が居なかった映画。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ストーリー
ストーリーとしては、基本的に、権力者役のいかりや長介と虐められ役の加藤茶の確執、およびマドンナを巡る争いの後、悪役(左とん平がこの役を演じることが多い)の登場によりドリフが一丸となって悪役に立ち向かい、スラップスティックのドリフコメディーの後、最後にマドンナに振られるというパターンであった。社会のはみ出し者を扱い(愚連隊、ヤクザ、指名手配犯など)、決してハッピーエンドにならないストーリーは、クレージーの映画と対極であったが、本映画のコントは視聴者を暗いムードにさせない魅力があった。また、いかりや、または加藤が主役(各メンバーの役割は「ザ・ドリフターズ」参照)でかつマドンナに振られるというパターンは、当時同時公開であった寅さんシリーズにも合い通じるものがある。なお、当時濫造された映画とは一線を画し、ストーリーとしては筋の通っている作品が多い(「ドリフターズですよ!冒険・冒険また冒険」を除く)。
初期から中期にかけては、ブラックな要素が強かったが、後期には仄々としたホームコメディーへと進化し、初期のいかりやの毒が薄れ後の「踊る大捜査線」での悲哀漂う役の片鱗が見られ、加藤も初期の虐められ役から小憎らしい役へと変遷が見られた。
タイトル・外部リンク | リーダー逆転劇 | マドンナとの絡み | 概要 |
なにはなくとも全員集合!![1] | 無し | 加藤× | 初映画主演であるが、実質三木のり平が主役。2作目以降とは一線を画した、ドリフのチームコントが見られないホームコメディー。 |
---|---|---|---|
ドリフターズですよ!前進前進また前進[2] | ○ | 加藤×,いかりや○ | 本映画より、ドリフのチームコントが見られるようになる。なお、3作目以降のいかりやと加藤の役割が、この映画では逆になっている。またドリフの映画では珍しくハッピーエンド。 |
やればやれるぜ全員集合!![3] | 無し | 加藤×,いかりや× | 本映画より加藤の虐められ役が本格的スタート。 |
ドリフターズですよ!盗って盗って盗りまくれ[4] | |||
ドリフターズですよ!冒険・冒険また冒険[5] | 無し | 加藤○ | いかりや入院のため、加藤がリーダー兼主役。当時の社会を風刺したドリフでは珍しい映画。 |
いい湯だな全員集合!![6] | 無し | 北海道ロケ | |
ミヨちゃんのためなら全員集合!![7] | 無し | 加藤× | 実質、ハナ肇主役。コント55号の映画と同時上映。 |
ドリフターズですよ!特訓特訓また特訓[8] | 放送禁止用語が飛び交う、ドリフの映画の中では最もブラックな映画。 | ||
ドリフターズですよ!全員突撃[9] | |||
ズンドコズンドコ全員集合!![10] | ○ | 加藤×,いかりや× | コント55号の映画と同時上映。 |
誰かさんと誰かさんが全員集合!![11] | 無し | いかりや× | 水戸ロケ。コント55号の映画と同時上映。 |
ツンツン節だよ全員集合!![12] | 無し | 加藤×,いかりや× | コント55号の映画と同時上映。 |
春だドリフだ全員集合!![13] | ○ | 加藤×,いかりや× | 本映画より「男はつらいよ」と同時上映。 |
祭りだお化けだ全員集合!![14] | 無し | いかりや× | |
舞妓はんだよ全員集合!![15] | 無し | 加藤× | 京都ロケ |
チョットだけョ全員集合!![16] | ○ | いかりや× | |
大事件だよ全員集合!![17] | ○ | 加藤× | 荒井注最後の出演。 |
超能力だよ全員集合!![18] | 無し | 加藤△ | 本映画を最後に、加藤の虐められ役は終了。すわ親冶は、ブルース・リー役。 |
ザ・ドリフターズの極楽はどこだ![19] | 無し | いかりや× | 今までの映画とは一線を画した、ホームコメディー。本映画ではドリフのチームコント無し。 |
ザ・ドリフターズのカモだ!!御用だ!![20] | 無し | 無し | 後のいかりやを髣髴させる、刑事物映画。本映画ではドリフのチームコント無し。 |
正義だ!味方だ!全員集合!![21] | ○ | 加藤△ | 本映画では、加藤&志村組、いかりや&仲本組、高木のエキストラ扱いと、後のドリフコントの役割の片鱗が見られる。本映画キャラクター「ゴリレンジャー」は石森章太郎デザイン。本映画をもってシリーズ終了。 |
※×はマドンナに振られた映画、△はマドンナとの結末がはっきりしない映画、○はマドンナと結ばれた映画。左のドリフメンバー姓は、マドンナとの絡み役メンバー。
[編集] 参考文献
戒王東京編集部著「完全ドリフ映画本」
カテゴリ: 映画関連のスタブ項目 | 日本の映画作品 | ザ・ドリフターズ