スタン・ミュージアル

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スタン・ミュージアル（Stanley Frank “Stan” Musial,1920年 11月21日-）はアメリカ合衆国ペンシルバニア州出身の元野球選手。左投左打。ポジションは一塁手・外野手。現役生活の全てをセントルイス・カージナルスで送り、人格者として知られる。愛称はThe Man（男の中の男）。背番号6はカージナルス初の永久欠番。

[編集] 経歴

ポーランド系移民の父とチェコ系移民の母の間に生まれる。高校時代から抜群の運動能力を発揮し、野球で投打に活躍するのはもちろんのこと、バスケットボールでも大学から奨学生の誘いが来るほどだった。1938年にカージナルスと契約。投手としてマイナーで実績を積み重ねていくが打撃でも非凡な才能を発揮し、登板日以外は外野手としても活躍していた。しかし1940年に試合で外野守備の際にダイビングキャッチを試み、肩を強打したことで投手を諦め打撃に専念することになる。

1941年メジャーデビュー。即座に外野のレギュラーの座を掴み、翌1942年はフルシーズン1年目で打率3割を達成しオールスターにも初出場。チームもワールドシリーズでヤンキースを破り、世界一に輝いた。これ以降カージナルスは5年間で3度のワールドシリーズ制覇を成し遂げることになる。1943年は初の首位打者、リーグ最多得点に加え、最多安打、最多二塁打、最多三塁打の塁打三冠も獲得しMVPを受賞する。1945年は兵役で1年間を棒にふるものの、1946年はブランクなど感じさせない活躍で3年前と同様に首位打者、最多得点、塁打三冠獲得でMVPを受賞。圧巻だったのは1948年。首位打者、打点王を獲得し、本塁打も39本で1位と1本差の2位。降雨ノーゲームとなった試合での本塁打1本が記録されていればナ・リーグ史上5人目の三冠王という活躍で文句なしに3度目のMVPを受賞した。結局本塁打はこの年がピークであったものの、1950年から3年連続で首位打者を獲得。1954年 5月2日にはダブルヘッダー第一試合で3本塁打、第二試合で2本塁打、史上初の一日5本塁打を記録した。1957年37歳で7度目の首位打者を獲得。1959年に初めて打率が3割を割り込み、3割以上は16年で途切れるも、1962年は42歳でリーグ3位の打率.330を記録した。1963年引退。

引退後はカージナルス球団副社長も務め、1967年のワールドシリーズ制覇時はGMとして貢献している。1969年野球殿堂入り。

[編集] 通算記録

3026

10972

3630

725

177

475

1949

1951

1599

696

.331

.417

.559

.976

歴代6位

9位

4位

3位

19位

24位

9位

5位

11位

31位

23位

22位

16位

[編集] 年度別打撃成績

年度	チーム	試合	打数	得点	安打	二塁打	三塁打	本塁打	打点	盗塁	四球	三振	打率	出塁率	長打率
1941	STL	12	47	8	20	4	0	1	7	1	2	1	.426	.449	.574
1942	STL	140	467	87	147	32	10	10	72	6	62	25	.315	.397	.490
1943	STL	157	617	108	220	48	20	13	81	9	72	18	.357	.425	.562
1944	STL	146	568	112	197	51	14	12	94	7	90	28	.347	.440	.549
1945	戦争遠征	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	.000	.000	.000
1946	STL	156	624	124	228	50	20	16	103	7	73	31	.365	.434	.587
1947	STL	149	587	113	183	30	13	19	95	4	80	24	.312	.398	.504
1948	STL	155	611	135	230	46	18	39	131	7	79	34	.376	.450	.702
1949	STL	157	612	128	207	41	13	36	123	3	107	38	.338	.438	.624
1950	STL	146	555	105	192	41	7	28	109	5	87	36	.346	.437	.596
1951	STL	152	578	124	205	30	12	32	108	4	98	40	.355	.449	.614
1952	STL	154	578	105	194	42	6	21	91	7	96	29	.336	.432	.538
1953	STL	157	593	127	200	53	9	30	113	3	105	32	.337	.437	.609
1954	STL	153	591	120	195	41	9	35	126	1	103	39	.330	.428	.607
1955	STL	154	562	97	179	30	5	33	108	5	80	39	.319	.408	.566
1956	STL	156	594	87	184	33	6	27	109	2	75	39	.310	.386	.522
1957	STL	134	502	82	176	38	3	29	102	1	66	34	.351	.422	.612
1958	STL	135	472	64	159	35	2	17	62	0	72	26	.337	.423	.528
1959	STL	115	341	37	87	13	2	14	44	0	60	25	.255	.364	.428
1960	STL	116	331	49	91	17	1	17	63	1	41	34	.275	.354	.486
1961	STL	123	372	46	107	22	4	15	70	0	52	35	.288	.371	.489
1962	STL	135	433	57	143	18	1	19	82	3	64	46	.330	.416	.508
1963	STL	124	337	34	86	10	2	12	58	2	35	43	.255	.325	.404
Total	22年	3026	10972	1949	3630	725	177	475	1951	78	1599	696	.331	.417	.559

[編集] 獲得タイトル・記録

MVP3回： 1943年、1946年、1948年
首位打者7回： 1943年、1946年、1948年、1950年、1951年、1952年、1957年
打点王2回： 1948年、1956年

[編集] エピソード

猫背で肩越しにのぞき込むような独特のクラウチングスタイルからのコンスタントに安打を量産し、首位打者7回は歴代3位タイ、通算安打3630本は歴代4位。そのうち、ホームとロードで1815安打ずつ放っている。また475本塁打を放っているが、最多二塁打、最多三塁打にそれぞれ6回ずつ輝いているようにタイプとしては中距離打者であり、6134塁打はハンク・アーロンに次ぐ歴代2位である。
1948年は前述のように本塁打王を1本差で逃しているが、他にも最多得点、最多安打、最多二塁打、最多三塁打、最高出塁率、最高長打率も記録しており、打撃部門のほぼ全てリーグ1位を記録している。またこの年、タイ・カッブ以来史上2人目の1シーズン4回の5打数5安打を記録。特に4度目は両手首の故障により満足にバットが振れない中で5スイング5安打という神業を成し遂げている。
オールスター選出20回、出場24試合、本塁打6本はいずれも最多記録。特に1955年の延長12回のサヨナラ本塁打は、ヨギ・ベラの「もう足腰がくたくただ」という言葉に対し、「よし、待ってろ。今すぐ楽にしてやるからな」と言って放ったものとして有名。
1958年にカージナルスが日米野球で来日した際は稲尾和久、杉浦忠から本塁打を放っている。
引退からたった5年で本拠地（当時）のブッシュ・スタジアムIIに銅像が建てられ、コミッショナーのフォード・フリックによる顕彰文が刻まれた。現在はブッシュ・スタジアムIIIの三塁側ゲート前に移築されている。
セントルイスでレストランを経営するなど地元での人気は絶大で、2006年にはDHLホームタウン・ヒーローズに選出されている。
ハーモニカに堪能で、殿堂入り記念式典やブッシュスタジアムIIIでのオープニングゲームでも演奏している。
2006年のブッシュ・スタジアムIII開場試合で来賓として招かれたが、この際に「自分は過去ふたつのブッシュ・スタジアムの開場と閉場を見てきたけど、今度のは閉場を見るのは無理だろうな」とコメントしている。