ハンク・アーロン

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ヘンリー・ルイス・"ハンク"・アーロン(Henry Louis "Hank" Aaron, 1934年 2月5日 - )はアメリカメジャーリーグの元野球選手。右投右打・外野手。アラバマ州モービル出身。通算本塁打755本はベーブ・ルースを超え、メジャーリーグ歴代1位。あだ名は「ハマー」。M.C.ハマーの憧れの存在としても知られる。Henry Louis　はルー・ゲーリッグと同名。

最初はニグロ・リーグのクラウンズと契約して、遊撃手として力をつけたが、1952年にボストン・ブレーブス（現・アトランタ・ブレーブス）のスカウトに目がとまり、契約を結ぶこととなる。この時、アーロンのバットの持ち方がクロスハンド（右打者なのに、左腕が上になるバットの持ち方）なのに、凄いパワーの持ち主だと周囲を驚かせている。

ブレーブス入団後、チームはミルウォーキーにフランチャイズを移転したため、アーロンの所属チームの1年目は「ミルウォーキー・ブレーブス」である。当時は大エース、ウォーレン・スパーンや主砲エディ・マシューズを擁したチームだった。 1957年にはナショナル・リーグ優勝を果たし、ワールドシリーズではミッキー・マントルらが主軸の強豪でワールドチャンピオン、ニューヨーク・ヤンキースとの対決であったが、アーロンはそこで活躍し、ヤンキースを破ってワールドチャンピオンとなるが、これが唯一体験したワールドチャンピオンとなる。

その後ブレーブスは1966年にアトランタに移転するが、アーロンの注目がさほどでなかったのは事実で、注目されはじめたのは1970年代に入って、ウィリー・メイズの本塁打数を塗り替えた頃である。そして1973年、ルースの記録に追いつくまであと1本のところでシーズンを終えるのだが、このシーズンオフはアーロンにとって長いものとなった。ルースの記録を信奉する者や、ルースの記録を、黒人のアーロンが破ることに屈辱を覚える白人至上主義者による執拗な嫌がらせや、身の危険となる脅迫が相次いだのである。

しかし、それらをはねのけ、翌1974年の開幕戦、シンシナティ・レッズ戦で本塁打を放ち、ルースの記録に並ぶと、同年4月8日、本拠地フルトン・カウンティ・スタジアム（当時ブレーブス本拠地）で715本目の本塁打を放ち、ルースの記録を破った。

この年の秋には日米野球で来日し、読売ジャイアンツの王貞治と本塁打競争を行い、10対9でアーロンが勝っている。また、王貞治に手土産としてスパイクとグラブをプレゼントしたが、スパイクは王の足には大きすぎたり、グラブも右利き用（王は左利き）だったが、それでも王は喜んで受け取ったというエピソードがある。

翌1975年からミルウォーキー・ブリュワーズに移籍して、2年間をそこで過ごしてバットを置いた。自身の本塁打数は755本にまで伸ばしていた。また、通算安打数も3771本という記録もあり、引退した当時はタイ・カッブに次ぐ記録であった。

1982年に野球殿堂入り。アトランタ・ブレーブス、ミルウォーキー・ブリュワーズの背番号44はそれぞれ永久欠番に指定されている。引退後はブレーブスの球団副会長などを務め、ほかにも王貞治と組んで世界少年野球推進財団を主宰するなど、やはり後進の育成に力を向けている。2006年、ワールド・ベースボール・クラシックの決勝において始球式を務めた。その際、日本代表監督を務めていた王貞治と肩を寄せ、軽い談笑をしているシーンが放送された。ちなみに王は「尊敬する野球選手は？」という問には必ずアーロンの名を入れる。

[編集] 略歴

1934年　アラバマ州モービルに生まれる。
1952年　ミルウォーキー・ブレーブスと契約。
1974年　ベーブ・ルースの通算714本塁打を塗り替える。
1976年　現役引退
1977年　王貞治に本塁打の世界記録を塗り替えられる。
1982年　野球殿堂入り。

[編集] エピソード

アーロンはベジタリアンとしても有名である。
王貞治とは前述の通り、長い親交があり、1990年にはアサヒ飲料のコーヒー「JO」のCMでも共演している。
弟のトム・アーロンもメジャーリーガーとしてプレーしたが、ハンクが殿堂入りした1982年に白血病により亡くなっている。

[編集] 通算成績

試合:3298
打数:12364（歴代2位）
安打:3771（歴代3位）
得点:2174（歴代3位）
本塁打:755(歴代1位、世界2位)
打点:2297(歴代1位)
盗塁:240
四死球:1402
三振:1383
打率:.305

[編集] 年度別打撃成績

年度	チーム	試合	打数	得点	安打	二塁打	三塁打	本塁打	打点	盗塁	四球	三振	打率	出塁率	長打率
1954	MLN	122	468	58	131	27	6	13	69	2	28	39	.280	.322	.447
1955	MLN	153	602	105	189	37	9	27	106	3	49	61	.314	.366	.540
1956	MLN	153	609	106	200	34	14	26	92	2	37	54	.328	.365	.558
1957	MLN	151	615	118	198	27	6	44	132	1	57	58	.322	.378	.600
1958	MLN	153	601	109	196	34	4	30	95	4	59	49	.326	.386	.546
1959	MLN	154	629	116	223	46	7	39	123	8	51	54	.355	.401	.636
1960	MLN	153	590	102	172	20	11	40	126	16	60	63	.292	.352	.566
1961	MLN	155	603	115	197	39	10	34	120	21	56	64	.327	.381	.594
1962	MLN	156	592	127	191	28	6	45	128	15	66	73	.323	.390	.618
1963	MLN	161	631	121	201	29	4	44	130	31	78	94	.319	.391	.586
1964	MLN	145	570	103	187	30	2	24	95	22	62	46	.328	.393	.514
1965	MLN	150	570	109	181	40	1	32	89	24	60	81	.318	.379	.560
1966	ATL	158	603	117	168	23	1	44	127	21	76	96	.279	.356	.539
1967	ATL	155	600	113	184	37	3	39	109	17	63	97	.307	.369	.573
1968	ATL	160	606	84	174	33	4	29	86	28	64	62	.287	.354	.498
1969	ATL	147	547	100	164	30	3	44	97	9	87	47	.300	.396	.607
1970	ATL	150	516	103	154	26	1	38	118	9	74	63	.298	.385	.574
1971	ATL	139	495	95	162	22	3	47	118	1	71	58	.327	.410	.669
1972	ATL	129	449	75	119	10	0	34	77	4	92	55	.265	.390	.514
1973	ATL	120	392	84	118	12	1	40	96	1	68	51	.301	.402	.643
1974	ATL	112	340	47	91	16	0	20	69	1	39	29	.268	.341	.491
1975	MIL	137	465	45	109	16	2	12	60	0	70	51	.234	.332	.355
1976	MIL	85	271	22	62	8	0	10	35	0	35	38	.229	.315	.369
Total	'	3298	12364	2174	3771	624	98	755	2297	240	1402	1383	.305	.374	.555