スーパー耐久
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スーパー耐久( -たいきゅう)は自動車レースの1カテゴリー。四輪市販車をベースに改造を施した車で争われる。
類似のカテゴリーにSUPER GTがあるが、SUPER GTではエンジンや車体等にかなり大幅な改造が認められているのに対し、スーパー耐久では市販の量産自動車に対し小規模の改造(エンジンは基本的にノーマルが維持され、車体は最低限の補強のみであり、サスペンションはダンパー・スプリング及びブッシュ類の変更のみ等)を施したマシンとなる。市販車の実力テスト的な形でレースが行なわれる。
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[編集] 沿革
1990年に発足した「N1耐久シリーズ」が前身。当時は国際自動車連盟(FIA)の定めるグループN規定に準拠した日本自動車連盟(JAF)制定「N1」規定に属する車で争うシリーズとして開催されており、参加するドライバーもアマチュアとプロの中間レベルのドライバーがメインだった。しかし、1994年に全日本ツーリングカー選手権が2リッター・4ドアセダンの新規定(JTCC)に移行したあたりから、旧グループAに参戦していたトップドライバーやチームがN1耐久に参戦してくるようになり、レースのレベルが大きく上昇し始めた。
1995年に、多くの市販車が参戦できるよう、また耐久という過酷なレースにより対応できるよう、市販車のレースでのウィークポイントをカバーする改造(オイルクーラーの追加等)を認めたことから「N1を超えるN1」という意味でシリーズの名称を「スーパーN1耐久」と改称。
1998年に「市場の活力をレースに取り込もう」という発想から、市販のエアロパーツ装着の自由化を柱とした自動車アフターマーケットとの連動を主眼とするレギュレーション改正を行った結果、それまでの「N1」という改造範囲を表現するネーミングが実態とかけ離れることとなったため、シリーズ名称から「N1」の文字を外し、現在の「スーパー耐久」という名称となる。
2002年には、レースに参加するチーム(エントラント)で構成される「N1リーグ」とレースプロモーター・サーキット側で構成される「スーパー耐久協会」との対立が表面化。一部のスポーツ新聞では「内紛」のタイトルで対立の表面化が報じられたが、その後両者の話し合いによって、新たなシリーズ運営組織として「スーパー耐久リーグ(STL)」が発足。それまでは主催者側のみで構成されていた連合組織に、この時からエントラント側の代表者が加わることになった。
2005年にはSTLの内部機構改革に伴い、組織名称を「スーパー耐久機構(STO)」と改めた。また同年、チーム(エントラント)団体である「N1リーグ」の代表者も交代。2006年からは組織名称をSTLから「スーパー耐久エントラントリーグ(STEL)」に改めた。(なお、あくまでもSTOは主催者側の組織、STELはエントラント側の組織である)
[編集] クラス分け
スーパー耐久は排気量や駆動方式により5つのクラスに分けてシリーズが展開される。なおターボ装着車については排気量に対しターボ係数として1.7を乗じた値をクラス分けに使用する。また原則として、2座席車両や日本国内での市販価格が1,200万円を超える車両での参戦は不可(ST-Sクラスの2座席車両を除く)。
またSTOの特認を受けることで、レースバージョンでの参加(例:ポルシェ911JGN)や、本来の排気量や駆動方式によるクラス分けに該当しないクラスへの参戦(例:ST-1クラスの日産・フェアレディZ)も認められることがあり、その結果同一の車種が複数のクラスにまたがって参戦する場合もある。
2005年よりクラス名称が改められ、従来「クラス1~4」と呼ばれていたクラスが「ST1~4」、「グループN+」と呼ばれていたクラスが「ST5」にそれぞれ改められた。また2006年にはST5の代わりに2,000cc以下の2座席スポーツカーを対象とした「ST-スポーツクラス(ST-S)」が新設された。
[編集] 現在のクラス
- ST1
- 排気量が3,501cc以上(駆動方式は問わない)の車両で争われる。
- 当初は日産・スカイラインGT-Rの独壇場だったが、2003年よりポルシェ・911が特認の形で参戦。同年限りでスカイラインGT-Rが撤退したため、2004年は事実上ポルシェのワンメイク状態だった。この車両は、独ポルシェ社がポルシェ911GT3CSを元にし、レギュレーションに合わせて製造販売した「ポルシェ911 GT3 JGN」というレース専用車両である。
- これに対し、2005年より特別パーツを装着したフェアレディZが特認の形で参戦を開始し、2007年にはエンジンの排気量を3,800ccに拡大した「フェアレディZ Version NISMO Type 380RS-Competition」というレース専用車両での参戦を予定している。
- 同じく2007年には、BMWモータースポーツがプロダクションカーレース用に製造したレース専用モデルのBMW・Z4 Mレース・キットカーも参戦を予定している。
- ST2
- 排気量が2,001~3,500ccの四輪駆動車で争われる。このクラスは長年にわたり、三菱・ランサーエボリューションとスバル・インプレッサの2車種による戦いが続いている。
- ST3
- ST4
- 排気量が2,000cc以下(駆動方式は問わない)の車で争われる。現在は国内市販車の大排気量化の流れの中で事実上ホンダ・インテグラTypeRのワンメイク状態となっている。
- STS
- 排気量2,000cc以下の2座席車両によって争われていたが、2007年度からは2,200ccに変更された。想定されるマシンは、2005年までST3クラスで勝負権の薄かったホンダ・S2000、同年にスポット参戦したロータス・エキシージ、またパーティーレースなどで活躍しているマツダ・ロードスターなどが想定されている。
また、規定により4台未満の出走の場合は上のクラスに統合される。 STSとST4はST3に、ST3はST2に、ST2はST1に、ST1の場合はクラス不成立となるが、大会において総合順位での賞が設定されていれば参加できる。
[編集] かつて存在したクラス
- ST5(グループNプラスクラス)
- 2005年まで存在したカテゴリー。排気量が2,000cc以下(駆動方式は問わない)という制限はST4と同じだが、ヨーロッパで盛んになっていたグループNの追加改造版、つまりNにプラス改造、と言う意味で「Nプラス(改造)」と名づけられている。当時はトヨタ・アルテッツァ、ホンダ・インテグラTypeRやホンダ・アコードなどが参戦し、ヨーロッパなどとの国際交流を目指していたが、日本国内の市場動向とヨーロッパの改造規定とが大きく方向を異にしてきた事から、当初の目的は達したとのことで2005年を持ってST5は終了した。基本的に改造内容はFIAスーパー2000規定が元である。
[編集] 開催スケジュール
[編集] 2007年シーズン
開催日 | 開催サーキット | |
---|---|---|
公開テスト | 3月20日 | 鈴鹿サーキット |
第1戦 | 4月21日~22日 | 仙台ハイランドレースウェイ |
第2戦 | 5月12~13日 | 鈴鹿サーキット |
第3戦 | 7月14~16日 | 十勝インターナショナルスピードウェイ(十勝24時間レース) |
第4戦 | 8月4~5日 | 富士スピードウェイ |
第5戦 | 9月1~2日 | 岡山国際サーキット |
第6戦 | 10月27~28日 | スポーツランドSUGO |
第7戦 | 11月10~11日 | ツインリンクもてぎ |
[編集] 2006年シーズン
開催日 | 開催サーキット | |
---|---|---|
公開テスト | 3月23日 | 鈴鹿サーキット |
第1戦 | 4月22日~23日 | 仙台ハイランドレースウェイ |
第2戦 | 5月20~21日 | 鈴鹿サーキット |
第3戦 | 7月15~17日 | 十勝インターナショナルスピードウェイ(十勝24時間レース) |
第4戦 | 8月5~6日 | 富士スピードウェイ |
第5戦 | 9月2~3日 | 岡山国際サーキット |
第6戦 | 9月30~10月1日 | スポーツランドSUGO |
第7戦 | 11月11~12日 | ツインリンクもてぎ |