マツダ・RX-7
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RX-7(アールエックス・セブン)は、ロータリーエンジンを搭載したマツダの乗用自動車(クーペ)である。当初、サバンナの後継として サバンナ RX-7(SAVANNA RX-7) の名で1978年3月に発表され、1991年に行われた2度目のフルモデルチェンジを機にマツダが当時展開していた「アンフィニ」ブランドによる発売となり、「サバンナ」の名称が外され アンフィニ RX-7 となった。「アンフィニ」ブランドの廃止により1997年10月、 マツダ RX-7 となり、2002年8月を以って生産が終了した。
RX-7の販売終了後に登場したRX-8はネーミングからは後継のように思えるが、マツダ社自身がRX-8を後継車とよばず新規車種と紹介している。
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[編集] 歴史
[編集] 初代・SA22C型(1978-1985年)
1978年3月、サバンナ(輸出名RX-3)の後継として、初代RX-7、SA22C型 サバンナ RX-7 が登場した。開発コードはX605。
プラットフォームは、マツダ・SA2プラットフォーム(のちFBプラットフォームに改称)が用いられた。エンジンは水冷2ローターエンジン2ANA(自然吸気)仕様を搭載。オイルショックの影響を受け、REAPSと呼ばれる排ガスを再燃焼させるサーマルリアクター方式を採用し従来の40% の燃費アップを達成した。1983年のマイナーチェンジの際に日本仕様のみ12Aターボに変更される。ロータリーターボエンジンの搭載は世界初搭載のルーチェ/コスモから1年後だった。日本以外では、1984年~1985年に、13BEGI自然吸気エンジン搭載仕様車が販売されている(こちらは日本では未発売)。
口の悪い者たちからは、スタイルがポルシェ 924に似ていたため、発売当時「広島ポルシェ」などと表現されからかわれることもあったという。価格帯が異なる中でのこの評価は賞賛ともとれる。しかも、現在ではスポーツカーの雄と比較され、実質面でもポルシェ等と比較され名前を併記される車として評価されている。(スポーツカーとしての評価を参照)
なお、海外では、VINコードにあわせるため、1980年モデルより、FB3Sという型番号が導入されている。そのため、海外では、FBと呼ばれることがある。日本では、FB3Sという型番号は導入されなかった。
[編集] 2代目・FC3S型(1985-1991年)
RX-7は、1985年10月に最初のフルモデルチェンジが行われ、FC3S型となった。開発コードはP747。
プラットフォームは、マツダ・FCプラットフォームが用いられた。エンジンはインタークーラー付きターボ13B型を搭載。日本以外では、初代に続き日本未発売の13BEFI自然吸気エンジン仕様車が13Bターボエンジン搭載車とともに併売された。
途中マイナーチェンジが行われ、エアフロ(フラップ式→メジャリングコア式)、リアコンビネーションランプ(角目→丸目3灯)、ボディのモールの同色化、リアスポイラー形状等が変更された。
「∞(アンフィニ)」シリーズと呼ばれるスペシャリティーモデルが4世代に渡りリリースされる。1991年のFD3S型へのフルモデルチェンジの年初、787Bのル・マン24時間レース総合優勝を記念した、最後の特別仕様車「ウィニングリミテッド」というモデルが発売された。
[編集] 2代目カブリオレ・FC3C型
二代目サバンナRX-7に設定されたオープンカー仕様のグレードとしてサバンナRX-7カブリオレがある。米国で1988年から販売開始され、日本への投入は1989年から。電動ソフトトップを装備していた。1991年、FC3S型はフルモデルチェンジされFD3S型となるが、カブリオレ仕様は2代目仕様のまま生産され1992年10月に最後のマイナーチェンジモデルが発売され、これがファイナルバージョン(最終仕様)となった。プラットフォームはFC3S型と同様。
[編集] 3代目・FD3S型(1991-2002年)
1991年12月、FD3S型 RX-7となる。このフルモデルチェンジを機に1971年から20年続いた伝統ある「サバンナ」の呼称が外(はず)され、当時の販売店系列「アンフィニ」の名を冠して「アンフィニ RX-7」として発売された。後に販売店のアンフィニ店がユーノス店と統合したことにより、車名が「マツダRX-7」となる。開発コードはX105。
当初は性能よりも高級感を押し出した感が強く、実際に価格帯もFCの時代よりも非常に高価であり敬遠されたが、走りに関係のない高級部を減らしコストダウンを図り値段を押さえたモデルを出した事で徐々にFCの様なピュアスポーツとして浸透していく。
日産・スカイラインGT-R、トヨタ・スープラ、三菱・GTO等のライバルがエンジン出力業界自主規制上限の280psを公称する中でRX-7のエンジン出力は、シーケンシャルツインターボ化を施(ほどこ)した13Bロータリーエンジンでさえ255psであり数値としては見劣りがするものだった。しかしながら、車両の軽量さのおかげで、車両としての実際の走行性能はライバル達と互角の勝負だった(実際初期型255ps車のパワーウェイトレシオは5㎏/psを切る)。マイナーチェンジ毎にエンジンには出力改善が施され、車名がアンフィニRX-7からマツダRX-7となった1997年10月頃のターボ過給機付ロータリーエンジンでは最終的に280psに到達した。米国では、さらなる排ガス規制強化と保険料の上昇により販売不調となり、1995年で北米市場での販売を終了した。
マツダ社のユーノス・コスモが1996年に生産を終了して以降、RX-7はロータリーエンジン搭載量産車として世界でたった一つのモデルとなってしまう。RX-7は当初から一貫してリトラクタブル・ヘッドライト(現在では対歩行者衝突安全性とコストの観点から実現が難しい)を搭載し(これもまたNSXがリトラクタブル・ヘッドライトを廃してから日本唯一)、車体の軽量化やエンジンの高出力化を図るなど、「ピュア・スポーツ」[車両コンセプトとして開発が続けられたが、日本国内市場および北米市場におけるスポーツカーの需要の低下や、ターボ過給機付ロータリーエンジンの環境対策の行き詰まりなどの理由により、特に多くのロータリーファンに惜しまれつつ2002年8月に生産終了となった。これを前に、最終特別限定車「RX-7スピリットR」を同年4月に発売。BBS社製17インチホイール、レッド塗装ブレーキキャリパー、専用インパネなどの専用パーツを装着。特にタイプAは、専用のレカロ社製フルバケットシートを装備して、車両重量を約10kg軽量化。シリーズ最高のパワーウエイトレシオを実現した。
11年とモデルサイクルが長かったためマイナーチェンジも多く行われ1型,2型,3型(以上255ps 「前期」と呼ばれる),4型(以上265ps 「中期」),5型,6型(以上280ps 「後期」 一部265ps車有り)と呼ばれている。馬力が変わるたびに他のメカニズムや外装も大きく変化している。(リアコンビネーションランプ、フロント・リアスポイラー、ABS等)
1998年と1999年に国費でレーダー付きの高速隊パトカーとして7台導入されているが、後席の狭さから使い勝手は4ドアセダンと比べて格段に悪かった。現在は車両の老朽化で取締に使用されている車両はほとんど無く、廃車が進んでいる。台数が少ないためかイベントで展示されることが多かった車両である。
[編集] 技術仕様
[編集] エンジン
エンジンは、初代の SA22C が12A型、2代目の FC3S が13B-T型、3代目の FD3S が13B-REW型ロータリーエンジンで、SA22C型は当初は自然吸気であったが、初代の途中からターボチャージャーが付加された。
[編集] 販売
[編集] 年度別販売台数
[編集] マーケティング
- FC3S・・・映画「ブレードランナー」のサントラ盤が前期型のCMソングに使われていた。
- FD3S・・・前期型は中川俊郎の「キッチン・バンド」、後期型は「スタンド・バイ・ミー」(ベン・E・キングのカバー。現在は三菱・アウトランダーのCMソングとなっている)のアレンジがCMソングに使われた。
[編集] 販売店
販売店系列は、初代と2代目がマツダオート店でこれは後にアンフィニ店と名を変えた。3代目RX-7は当初はアンフィニ店専売だったが、モデル末期にはマツダアンフィニ店(アンフィニ店とユーノス店が統合された)とマツダ店で販売された。
[編集] ユーザーの使用と評価
[編集] 愛好家
RX-7は、2006年現在においても、国内だけでなく海外にも熱狂的な支持者が存在する。自動車愛好家の間では、モデルを区別するために初代から3代目まで、それぞれ「SA」「FC」「FD」という呼び方が通用している。
[編集] レースでの活躍
2006年には、RE雨宮の『RE雨宮レーシング』が、FD3S型 RX-7をベースにした『雨宮アスパラドリンクRX7』で2006 AUTOBACS SUPER GT シリーズ GT300クラスチームチャンピオンを、ドライバーの山野哲也、井入宏之がGT300クラスドライバーチャンピオンを獲得した。
[編集] スポーツカーとしての評価
2004年、辛口の批評で有名な米国のスポーツカー専門誌、スポーツカー・インターナショナルが選出したベスト・スポーツカー1990年代部門で3代目FD型が第10位に、また同1970年代部門で初代SA22C型が第7位にリストされている。
ビデオオプション企画、筑波スーパーラップにてRE雨宮チューンのFDが3部門(FR、N/A、ブーストアップ)のレコードホルダーになっている。コーナーの多い筑波サーキットでは、軽量、コンパクト、ハイパワー、良バランスの4拍子がそろっており、タイム的にライバルとなるシルビア(S15)を0.5秒程度引き離す結果になっている。特にブーストアップ部門ではライバルがランサーエボリューションという絶対レコードホルダーのベースモデルであるにもかかわらず、エアコンオーディオフル装備(=重量増)というハンデを抱えながらも0.2秒程度上回っている。
そのほか0-400加速でもKSPチューンのFD3SがFR車ストリート部門(ナンバー取得前提車)でトップタイムを叩き出すなど、素材の良さが各方面で生きている。
RE雨宮の雨宮勇美によると「FDは250~260Km/hのスラローム勝負ならどんな車にも負けない。でも300Km/hオーバーになるとパワーの差で負けちゃうけどね」と、最高速の場でもコーナリングマシーンであることが判る。
[編集] チューニング
- FC、FDともにドリフトで活躍していることから、数多くのメーカーからエアロパーツが発売されている(中には原形を留めなくしているものもあるが)。また、FDは流麗なボディを持つため、ラグジュアリーテイストを持たせる曲線を多用したエアロパーツの人気も高い。
[編集] トリビア
- RX-7の名前はマツダのインターネット用コンピュータ・ネットワークでサーバ名等の参照(名前解決)に用いられるための外部に公開されているDNSサーバにその名前を残している(mazda.co.jpの外部公開DNSサーバはrx7.mazda.co.jpという名前となっている)。
[編集] RX-7が登場する映画・テレビドラマ・漫画など
- 頭文字D - FC、FD型が登場。
- ウルトラマン80 - SA型がUGMのパトロール車・スカウターS7のベース車輌として登場。
- エクスドライバー - 第6話でFD型が登場。
- オーバーレブ! - FC、FD型が登場。
- 仮面ライダーBLACK RX - FC型がライドロンのベース車輌になっている。
- KING - FD型が登場。
- 太陽を盗んだ男 - SA型のカーアクションシーンが話題になった。
- 特警ウインスペクター - FC型が覆面パトカーとして活躍。
- 特救指令ソルブレイン - FC型がナイトカスタムのベースとなった。
- トランスフォーマー 超神マスターフォース - FC型と合体、変形する人物が登場。
- よろしくメカドック - SA型が登場。
- ワイルドスピード - FD型がドミニクの愛車で登場するが、出番は前半の時ぐらいである。
- ワイルドスピードX2 - FD型が序盤のレースで登場。
- ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT - FD型が主人公の仲間のハンの愛車で登場するが、中盤でクラッシュする。
- 湾岸ミッドナイト - SA、FC、FD型の全てが登場。
- デッドヒート
- 名探偵コナン - FC型、FD型共に佐藤刑事の愛車で登場。
- バトルフィーバーJ - SA型がバトルフィーバーカーのベース車両として登場。
- ナニワトモアレ - SA、FC型が登場。
- 宇宙刑事シャイダー - SA型がアニーの専用車で登場。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- HISTORY OF RX-7
- 自動車CM大全 - RX-7
- RX-7 Alliance - モバイルサイト