トリガーハート エグゼリカ
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ジャンル | シューティング |
対応機種 | アーケード(AC) ドリームキャスト(DC) |
開発元 | 童 |
発売元 | 童 |
人数 | 1人 |
メディア | AC:NAOMI-GD DC:GD-ROM |
発売日 | AC:2006年5月末 DC:2007年2月22日 |
価格 | DC:5,800円(通常版) DC:7,800円(限定版) |
対象年齢 | CERO: A |
『トリガーハート エグゼリカ』(TriggerHeart EXELICA)は2006年5月末に株式会社童(わらし)から販売されたアーケードゲーム。使用システム基板はNAOMIでジャンルは縦スクロールシューティングゲーム。2007年2月22日にはNAOMIと互換性のある家庭用ゲーム機ドリームキャストへの移植版が発売された。DC市場は末期であるが、この作品が童のドリームキャスト参入作になる。
この作品に登場するキャラの服装が、あまりにもスクール水着や競泳水着に似ていることから、一部から「スク水シューティング」と呼ばれることもある。
目次 |
[編集] 概要
操作は8方向レバーと、Aボタンで自動連射の「ショット」、Bボタンで「アンカーショット(後述)」、Cボタンで「ボム」の3ボタンを用いる。システム基板にはNAOMIを使用している。
「得点アイテム」を効率良く稼いでいく為には、ゲームの特徴である「アンカーショット」を敵の位置を考えながらうまく使う必要があるため、パズル的要素も含んでいる。
自機のデザインは、端から見るとメカを装備したスクール水着、競泳水着を着た美少女という、当時の他のシューティングゲームと比べると非常にストレートな萌えを意識したもので、発表当初それを見た人たちは、おもわずギャルゲーのキャラ?と思ってしまうほどの大きなインパクトを与えた。また、90年代のSFキャラクターな感じがするという意見も見られた。BGMに関しても90年代のシューティングゲームのもの再現することを意識して作られている。
一見キャラゲーと見られる事も有るが、適度な難易度とアンカーショットのアクション性により、シューティングゲーム初心者からの評価は高い。しかし同時に、キャラクターデザインにより、初見で思わず引いてしまう人もいたり、他の人に見られるのが恥ずかしいという理由でプレイできない人もいた。
また、メカ少女ブームの最中であったこともあり、美少女キャラクター及びメカ少女関係の雑誌から記事として取り上げられたりした。月刊誌アルカディアでは、2006年12月号~2007年4月号にかけてファンページが連載されていた。なお、2006年度のアルカディアのキャラクター投票では、主人公エグゼリカが1位に選ばれたのをはじめ、登場する全てのキャラクターがランクインしている。
2006年12月に、2001年にハードが生産中止となっているドリームキャストへの移植版発売が発表され話題となった。発表当初は『アンダーディフィート』、『LAST HOPE』(ライセンス非公式ソフト)に続くドリームキャスト最後のタイトルになると思われたが、2007年1月にマイルストーンより『カラス』のドリームキャスト移植版発売(2007年3月8日)が発表となり、ドリームキャスト最後の座を譲ることとなった。
移植版では、新規カットインとボイスが追加され、「ストーリーモード」や「アレンジモード」などの新モードも追加された。サウンドトラックCDと小冊子の特典がついた「限定版」も同時発売。
[編集] 主な特徴
[編集] アンカーショット
本作の最も特徴的なギミック。アンカーショットボタン(以下Bボタン)を押すとアンカーを発射し、敵にヒットするとパーセンテージが表示され、100パーセントになるとその敵を捕まえる。これをキャプチャーと言う。
キャプチャーした敵にはその耐久力が表示され、耐久力の続く限り敵を持ち続けることが出来る。また、キャプチャーした敵で敵弾を防ぐと「得点アイテム」に変えることが出来る。耐久力は大きな敵ほど大きくなるが、そのぶん完全にキャプチャーするまで時間がかかる。
キャプチャー中、Bボタンを押し続けると敵との距離をそのままに保持しつつ移動することが出来る。Bボタンを離すと敵をその場で爆破することができ、その時発生した爆風で付近の敵にダメージを与えると共に敵弾を消すことが出来る。
Bボタンを押しつつショットボタン(以下Aボタン)を押すことにより、敵を引き寄せることが出来る。その状態でレバーを回転させるとジャイアントスイングのように敵を振り回す。Bボタンを押しつつAボタンを離すと回転を止めることができ、逆にAボタンを押しつつBボタンを離すと敵を投げつける。投げられた敵は強力な貫通弾と化し、周囲の敵弾を「得点アイテム」に変えつつ敵を破壊する。狙いを付けるには少々慣れが必要であるが、非常に強力である。また、回転中でも敵に当てることでも大きな威力を発揮する。
地上敵やステージボスなどはキャプチャーすることは出来ないが、それらの敵をキャプチャーする代わりにロックオンを行い、その状態でAボタンを押すことで、自機が移動してもロックオンした敵に集中的に当て続けられるショットを放つ。
移植版においては、オプションの設定でキャプチャーした後に自動で回転するように設定する事が出来る。キャプチャーした敵を回転させるのに慣れていない初心者向けの設定。
なお、敵を直接捕まえるというのはグレートラグタイムショーですでに使われている。
[編集] 得点アイテム
敵を倒したり、上記のアンカーショットを利用した方法で出現する。Aボタンを離すことで、画面上にある全ての得点アイテムを自機に引き寄せることが出来る。得点アイテムは大きさによってランクが5段階あり、大きければ大きいほどランクが高い。得点アイテムは、出現後すぐに取得せずに画面上にしばらく放置することで大きくなりランクが上がっていく。なお、得点アイテム自体は画面後ろに流れていくため、高い得点を得るには上記の引き寄せる技のタイミングが重要である。
[編集] V.B.A.S.
「V.B.A.S. / Variable stage Boss Attack System」とは、プレイヤーの現在のプレイ状況によってボスの難易度が変わるシステム。ただ単にクリア(スコアを稼がない)するだけなら簡単に、スコア目的ならば弾幕系シューティングのごとく激しくボスと戦うことが出来る。
[編集] 移植版のみに存在するモード
当作品のドリームキャスト版には「ストーリーモード」と「アレンジモード」というモードが追加されている。
[編集] ストーリーモード
ストーリーモードは、各ステージの冒頭などでキャラクターの会話が挿入されるのが特徴。コンティニューの有無などのプレイの結果でエンディングが変わる。稼いだ得点に関わらず、ステージ1、3、5でフェインティアが登場する事を除けば、アーケードモードとの違いは無い。
[編集] アレンジモード
アレンジモードは、上級者向けの高難易度モードである。敵弾の数が増え、コンティニュー不可能だが、得点を稼ぎやすいという特徴がある。
[編集] あらすじ
地球から遠く離れた星系で超惑星規模防衛組織チルダは、ヴァーミスと呼ばれる敵との戦いに少女型兵器トリガーハートを投入していた。
トリガーハートであるエグゼリカとクルエルティアは、戦闘中に敵軍の退避に巻き込まれて地球へと転送されてしまう。
もとの星系に帰ることもかなわず、戦いの結末を知ることも出来ず、地球での暮らしに溶け込みながら修復を行っていたが、退避していた敵軍の残存兵力が地球を襲撃。
第二の故郷となった地球を守るためにエグゼリカとクルエルティアはヴァーミスと戦う。
[編集] 用語設定
- チルダ
- 地球から遠く離れた星系の超惑星規模防衛組織。
- ヴァーミス
- 自律戦闘単位集団。金属細胞と生体装甲を持つ兵器群。兵器として進化するために、戦闘によって淘汰を受けると共に、接触した相手から情報を取り込む。
- トリガーハート
- 対ヴァーミス局地戦闘用として有人兵器を超える高性能化のためにチルダが造った12体の少女型兵器。人間とほぼ同様の人格を持つ。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 登場キャラクター
[編集] プレイヤーキャラ
- エグゼリカ(TH60 EXELICA)
- (声:河原木志穂)
- すみれ色の髪に童顔、白いスクール水着を着ているような外観のトリガーハート。トリガーハート中の最新鋭機であり、ダウンサイジングに成功したため体躯も小柄。彼女の意志に従って駆動する戦闘ユニット半自律随伴砲撃艦「アールスティア」(Ar'stear)(砲撃担当)とアンカーユニット「ディアフェンド」(D'rfend)(アンカー担当)を従えて戦闘する。
- ショットタイプ:威力の低い広範囲型
- 移動スピード:並
- アンカーを引き寄せる速度:並
- クルエルティア(TH32 CRUELTEAR)
- (声:清水こずえ)
- 赤い髪を持ち、黒い競泳水着を着ているような外観のトリガーハート。エグゼリカに先行して生まれた「姉」であり、エグゼリカからは「姉さん」と呼ばれて慕われている。気性はやや熱血漢らしい。主力装備は戦闘ユニット半自律随伴砲撃艦「カルノバーン」(Cr'nbarn)2機。うち1機は応急改修によりアンカーユニットとして運用されている。
- ショットタイプ:威力が並の一点集中型
- 移動速度:速い
- アンカーを引き寄せる速度:速い
- 補足
-
- トリガーハートは12体が存在する、とされているが、エグゼリカは「TH60」、クルエルティアは「TH32」のトリガーハートナンバーを持つ。(防諜上の理由から、完全な連番になっていない)
[編集] その他
- フェインティア(FAINTEAR)
- (声:石橋優子)
- 第三のトリガーハート。シースルー状のボディスーツをまとって出現し、エグゼリカ、クルエルティアと敵対する。
- 1面,3面,5面でスコアを一定以上稼ぐとボスを倒した後に出現。移植版のストーリーモードでは、スコアを稼がずとも1面,3面,5面で登場。
- ヴァーミスがオリジナルのフェインティアを捕えて解析して作り出したコピー。解析が不完全なため、もっと強くなるために本物のトリガーハートのパーツを求めている。
- DC版のストーリーモードでプレイ結果によっては、最後にトリガーハートの誇りに目覚める。
- エグゼクマ
- ゲームには登場しない。フェインティアのお付きのクマ型。
- カレーライスを作るように言われても「かたくなに」ハヤシライスを作る(その真意は不明)ため、フェインティアはカレーライスを勘違いしている。
- ちなみに、エグゼクマの顔は左右の目が「E」、口が「x」になっており、組み合わせると「ヨ x E」……つまり「エグゼ」と読める、という「お遊び」になっている。(なお、向かって左の「E」は裏焼きであるが、これはタイトルロゴの「ヨXELICA」にも見られるとおり、デザイン上の処理である。)
- フェインティア(オリジナル)
- ゲームにはDC版で名前が登場するのみ。
- クルエルティアの妹(僚機)のトリガーハートだったが、ヴァーミスに捕獲された。最新型であるエグゼリカは彼女の存在を知らない。
- どこに捕らえられているかはコピーのフェインティアも知らないが、DC版のストーリーモードではプレイ結果によっては捜索することになる。
[編集] 制作スタッフ
- Hiruned : ディレクター
- GRA : キャラクターデザイン、グラフィック
- DIK : グラフィック
- hoeX : グラフィック
- 梶原正裕(KAJA) : ゲーム音楽
[編集] 備考
2006年9月現在、「スク水シューティング」でYahoo! JAPAN検索を行うと、「トリガーハート エグゼリカ」の公式サイトが1番目に現れる現象が見られる。(同じようなケースとして、「仮面ライダーオンドゥル」で検索すると「仮面ライダー剣」公式ページが1番目に現れるという現象もあった。)
また、秋葉原のゲームセンターHEYでは、胴体だけの透明なマネキンに白いスクール水着を着せられたものが筐体の上に飾られた。(参考)
掲示板2ちゃんねるのゲームキャラクタースレッドで、「ハート」の部分をもじった「トリガーニート」というネタが作られ、個人サイトで非公式のネタサイトができた。また、これの影響か、ダイナマイト刑事のシークレットページでもネタとして使われている。閲覧にはダイナマイト刑事をプレイすると得られるパスワードが必要。
月刊アルカディアのコーナー「トリガーハート エクステンション」内で、エグゼクマというキャラが書き起こされており、特徴は目がEXE(先頭のEは向きが逆)の形で体が茶色。同コーナーではゲームには登場しない裏設定なども掲載されていた。
AOUショウ2007では、上記のダイナマイト刑事の背景にエグゼリカなどのフィギュアが置いてある。