ゲームミュージック
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ゲームミュージック、ゲーム音楽とは、コンピュータゲームに付随する音楽のことである。ビデオゲームミュージックとも呼ぶ。
目次 |
[編集] 概要
ゲームミュージックという言葉には、単にゲームに付随する音楽という意味合いしかなく、 その内容自体は非常に多岐にわたる。 品質や規模の面では、単声のビープ音で作られた短いメロディから CDとして売られている観賞用の音楽と変わらない高音質で完成度の高い音楽まで含まれ、 音楽ジャンルの面ではロック・ジャズ・クラシックから実験的な音楽まで、 すべてのものが含まれる。
その一方で、一般にゲームミュージックという言葉から多くの人が連想するイメージは ピコピコという擬音で形容されるような電子音、すなわち 1980年代の8bitゲーム機に多く搭載されたPSGや FM音源およびそれらに類似した音声処理系による音色であろう。 その理由としては、
- 家庭用ゲーム機が初めて一般家庭に広く浸透したのが8bit機全盛の時代であったこと
- PSGやFM音源といった音声処理系の音色が、他の観賞用の音楽と明確に分離した印象を与える特徴的なものだったこと
- 広く普及した8bitゲーム機用ゲームのいくつかが、忘れがたいインパクトのある楽曲を擁していたこと
などが挙げられる。
現在では、ゲーム機の音声処理系はPCM方式が主流であり、 任意の録音済み波形を再生できる場合がほとんどである。 そのため、一聴してはっきりとゲームミュージックと分かる1980年代のようなゲームミュージックは少なくなってきている。 その反動として、レトロゲーム音楽のCDによる再発や、 PSGやFM音源などの8bit機特有の音色を敢えて使用して音楽を製作する チップチューン音楽というムーブメントが現れてきている。
[編集] 歴史
[編集] 黎明期
ゲームミュージックの起源は、どこまでを「音楽」と解釈するかにもよるが、サウンド発生機構を備えたコンピューターゲームの出現と時期を同一にすると考えられる。
ゲームの開始時や合間などに短いメロディを演奏する事で、初めて有名になったゲームは、Exidy社が1977年に発表した「サーカス」であると考えられる。このゲームはその音楽も手伝って評判となり、日本でもコピーゲームなどが多数出回った。しかしこの頃はまだ、ゲームの動きと演奏を両方処理する余裕が無かったのか、演奏時には画面の動きは止まっていた。これ以上の詳細については「サーカス」を参照。
歴史に残る大ヒットとなった「スペースインベーダー」でも、音響は抵抗器を使った8種類のサウンドのみであり、音楽とはなっていなかった。ただし多数作られたコピーゲームの内、任天堂レジャーシステムの「スペースフィーバー」と、サンリツの「メロディーパート3」は、特定のフィーチャー(シチュエーション)で音楽が鳴り、当時のプレイヤーに印象を残している(これらの詳細は「スペースインベーダー」を参照)
ゲームを進めながらBGMが常に鳴り続けた初めてのゲームは、ナムコの「ラリーX」であると思われる。しかしまだ音楽的とは言えず、短期間で改良された「ニューラリーX」でやっとメロディになった。
しかし、アンサンブルを組めるほどの発音数がない・長いメロディをプログラムするほどの記憶容量がないといったハードウェア的な制約や、ほとんどの場合音楽専門のスタッフはおらず、プログラマーやその他音楽を専門としないゲーム会社の社員が作曲していたという事情から、優れた楽曲が現れる環境ではなかった。
また、この頃からすでにクラシック音楽からの引用が見られた。複数のゲームで聴く事が出来た有名な曲としては、葬送行進曲(サーカス、メロディーパート3、リバーパトロール)、カルメン(クレイジーバルーン、ルート16)、第九(スペースフィーバー、ペンゴ)などが挙げられる。これらは復刻発売されたものでは、音楽が差し替えられている事もある。
[編集] 黄金期
その後もゲームミュージックは、ゲーム機・コンピュータの処理性能の向上に伴って 品質・規模を向上させ、1980年代に和音の生成が一般的となった頃から 人を惹きつけるに足るメロディやアンサンブルを構築することが可能となり、 ゲームミュージックの歴史が開花することとなる。 折しも、任天堂ファミリーコンピュータが爆発的な人気を博したことから、 ゲームミュージックの認知度は一気に上昇した。 また、この頃からサウンドを担当するスタッフがゲーム開発に関わるケースが 徐々に現れ始め、楽曲そのものの質も向上し始めた。 音声処理系の種類はPSGおよびその亜流が主で、同時発音数は3和音前後が一般的であった。
特に有名な楽曲としては、「スーパーマリオブラザーズ」における一連のBGM、 「ドラゴンクエスト」のテーマ曲およびBGMなどがあり、 いずれも、当時ある程度の年齢以上だった人は誰でも一度は聴いたことがあるというほどの 知名度を誇っている。
この頃の楽曲の特徴としては、シンプルなアンサンブルでも引き立つような 分かりやすいメロディを中心に据えたものが多いということが挙げられる。 そのため、この頃のゲームミュージックのメロディを今でもはっきり覚えている という人は多い。
また、『パックマン』のパワーアップシーンのような効果音的演出や 『ドラゴンクエストIII』の 戦闘シーンなど同時発音数の制約から広域の和音をトレモロに頼ったり、 あるいは初期のシューティングゲームなどSF的世界の表現に多く見られた 音階に制限されない自由なチューニングやグリッサンドなど、 ハードウェアの制約から生まれる独特の表現技法が多く見られる点も特徴的である。
[編集] 発展期
ゲーム機の処理性能の向上・記録媒体の進化によるデータ容量の増加などの技術進歩に伴い 多様な音色表現が可能になり、また同時発音数が増加したことにより、 オーケストラに迫る様な曲も作れるようになっていった。 例えば古代祐三は『イースシリーズ』の頃よりFM音源を駆使しその性能を 余すことなく使ったBGMでプレイヤーを魅了し、 また後年同氏によるスーパーファミコンで発売された『アクトレイザー』は オーケストラを髣髴とさせる高品質なもので、 その当時の水準とは比べものにならないレベルの高さに 『ファイナルファンタジーIV』の開発スタッフは衝撃を受けたという。
この時期は、技術の発展に伴って様々な音声処理系が登場した時期であり、 上記のFM音源や、任意の波形を使用できるPCMも未だ低性能ながら 積極的に用いられたり、またこれら新音源や従来のPSGの組み合わせで 各々の弱点をカバーし合う処理系などが見られた。
この頃の楽曲の特徴としては、 音声処理系の向上によって得られた新しい音色やアンサンブル方法に主眼が 置かれていることが多いという点が挙げられ、 プレイヤーにいかに鮮烈な印象を与えるかという 当時の技術競争的な側面が垣間見える。
なおこの頃、特にPCエンジンCD-ROM²以降、一部のゲームの冒頭やエンディングにおいてビデオクリップと共に主題歌を挿入する演出が取り入れられ始めた。『天外魔境』シリーズや『ときめきメモリアル』などは特にその主題歌も多くのファンに受け入れられた。詳しくは下記主題歌の欄を参照。
[編集] 現在
現在の主なゲーム機の音声処理系はPCM系の録音済み波形を用いる方式が主流であり、 PSGやFM音源のような単純な波形を合成する処理系を用いるものは少ない。 (Nintendo DSがPSGとPCMを併装している等、部分的には用いられている)
特に、据え置き型ゲーム機やPCゲームなどでは、 処理速度と記憶容量が増大したことによりそれらから来る制限も 大幅に緩和され、その結果現在のゲームミュージックは 鑑賞用に販売されている通常の音楽CDと同等の品質を獲得するに至っている。
それはすなわち、表現の可能性がハードウェアの制約から解放され、 黄金期・発展期に見られた 「ハードの制約と それに対するアーティストの挑戦」としてのゲーム音楽の魅力が 存在し得なくなったことを意味する。
この意味で、現在のゲームミュージックは、単に表現性能を競う技術競争から、 ゲームの魅力を最大に引き出す名脇役としていかにプレイヤーの耳を楽しませるか という内容そのものの魅力で勝負する時代となってきている。 また、プレイヤー操作と音との連携による新たな感覚の追求という インタラクティブアートとしての側面も注目されてきており、 ゲーム音楽というジャンルは、アーティストにとって 依然興味深い物であると言える。
[編集] 機能上の分類
[編集] テーマ曲
ゲームの顔となる曲で、ゲームソフト起動時やプレイ開始時など、プレイヤーの注意が高まっており、かつ、操作に集中する必要がない場面で鳴らされることが多い。曲が短い場合などは、これを聞かせるために操作を受け付けないこともある。このテーマ曲を基にBGMや、後に続く連作のテーマ曲などが作られることがある(後述)。
[編集] 主題歌
役割自体はテーマ曲とやや類似しているが、 ゲームから切り離しても成り立つような歌謡作品を 初めから意識して制作するという点が異なる。 したがって、その捉えられ方もアニメソングなどの延長線上として、 歌手や演奏グループなどのアーティストに焦点が当たる傾向がある。
アニメの場合その主題歌は放送上の都合として90秒に制限されることが多いが、ゲームの場合はそれに捉われないため、120秒を超える主題歌も多く見られる。そのようなゲームがアニメ化された場合(To HeartやAIRなど)、元の主題歌を使いつつもそれらを一部カットする場合もある。また、上記テーマ曲と同様、主題歌のメロディを元にしたBGMへの編曲も良く用いられる手段である。下記常套句の使用の欄も参照。
[編集] BGM
プレイヤーがゲームのため操作や思考に集中する必要がある場面において、場面の雰囲気を盛り上げたり状況をより印象付けるために流される音楽。長時間繰り返して流されることになるため、 プレイヤーの記憶に非常に残りやすい。多くの場合は十数秒単位或いは1-2分程度の楽曲を延々とループさせて演奏する。
一般的には、曲が途切れないように曲を終端で終止させず、先頭部分と音楽的につながるように作曲することが多い。しかし、CD-DAにより1つの連続した録音済み波形をCDから読み込みながらBGMとして使用する場合などは、先頭への復帰時にCDのシーク動作のための空隙が発生するというハード上の制約があるため、曲を終端であえて終止させ、シーク動作の間を挟んでから先頭へ戻るという形式が採られることもある。 なお、最近ではメモリ容量の増加により、同様に録音済み波形をそのままBGMとして用いる場合でも、メモリに波形全体を読み込むことでシーク動作を排除し、連続ループ再生するケースも現れている。
[編集] ジングル類
ステージクリアやミス時、あるいはアイテム取得時など、場面の区切りやイベントが発生したときに流れる短い曲。前述の黎明期のゲームでは、ほぼこうした曲しか存在しなかった。
[編集] 現在のゲーム音楽の問題点
現在のゲーム音楽は、表現の自由度が非常に大きい故の新たな問題を呈してきている。
[編集] 音楽理論への配慮不足
本来、音楽には正解・不正解はなく、理論に則っているか否か等で音楽の「正しさ」を評価することは妥当ではない。
しかしながら、クラシカルな雰囲気を醸すためのクラシカルな楽曲が必要とされている場面では、和声や対位法、管弦楽法といった基礎的な作曲理論(エクリチュール)を重んじた作曲を行わなければ、狙った雰囲気を得られない。 また、ジャズ的な雰囲気を表現するためにはテンションコード・代理コードや各種スケール等に関する広範な知識が必要であろう。
ハードウェア上の制約で三声や四声に限られていた8bit機の時代には、ドラゴンクエストシリーズのすぎやまこういちなど経験のある音楽家たちはそうした限定条件下にあっても、音楽理論を上手く利用してゲームの雰囲気に最適な楽曲を多く生み出した。
しかし現在、音楽理論への配慮の面ではむしろ衰退しているのではないかという危惧がある。
実際、和声や対位法の観点で「誤った」「ありえない」楽曲が現れるゲーム音楽は多く存在しており、ましてやオーケストラの音色を求めるあまりクラシック音楽の作曲家なら常識的にまず避けるべきである管弦楽法上の禁忌事項すら平気で無視する音楽も少なからずある。
クラシック的な雰囲気を狙った楽曲でなければこれらは必ずしも問題とならないが、わざわざ東欧などでギャランティの安価なオーケストラを雇ってフルオーケストラで録音を行ったり、 ピアノやギターの音色に出来る限り生の発音の感触を生かすために本物の楽器以上にピアノのハンマーアクション(AIRなど)やギターのフレット音(天使のいない12月など)が強調されたサンプリング音を用いるなど、過剰なまでに「本物」の雰囲気を狙うことが多い現状では、作曲面の不備が存在すると、音色の出来に反比例してさらに不備が際立ってしまい、聴き手に不快感すら与えかねない問題となり得る。
さらに言えば、この事は普段クラシック音楽に接する機会の少ないゲームファンやゲーム製作会社が、それらの「誤った書法」を普通のオーケストラ音色と認識してしまい、なおかつ「ゲーム上の常套的な表現手段」として後続の作曲家にそれを求めてしまう悪循環に発展する恐れすらある。
ただし、ここで気をつけなければならないのは、楽曲の良し悪しを判断するのはあくまで聴き手であるという点である。 過去に「型破り」だった音楽が今では一般に受け入れられている例はいくつもあり、したがって、上述のような「誤った」作曲を受け入れる人が多いのであれば、ゲームミュージック独特の表現として受け入れて然るべきである点に留意する必要がある。
[編集] 音色のリアリティ増加による表現幅の矮小化
音色が豊かでリアルになったことで、生楽器で演奏不可能な音域を演奏するなどの「無理な」作曲を行った際の違和感が いっそう目立つようになってきている。そのため、作曲の際には生楽器の制限を十分に考慮し、演奏不可能な表現を避けなければならない状況になっている。すなわち、音色のリアリティが高すぎると、かえって表現の幅が狭まるというパラドックスが現れているのである。
例えば、使用可能音域が5オクターブに拡張された『ファイナルファンタジーII』では、『勝利のファンファーレ』でEb1からEb5までを単一の音源で急速に駆け上がり、既存の生楽器では達成不可能な聴印象を与える。 しかし、後のシリーズでは音源が徐々にオーケストラに傾斜する為、この部分がスネアドラムのロールに丸々置き換わっていたり(『IX』)、全て割愛されてしまう場合(『XII』)がある。名作の誉れ高い『V』に於いても、4番バルブ付きB♭管トランペットかフリューゲルホーンをイメージして製作しているためにこの上昇アルペジョがC2からG4の2オクターブ半しか用いられない。
現代のオーケストラに於いても、4オクターブをオーケストラ全体を使って急速に上昇する場合、音域に伴う楽器変更は避けられない。これは、音源が進化した結果、楽曲のイディオムが後退した典型例の一つとみなせよう。
かつてアンドレ・ジョリヴェは『オンド・マルトノ』協奏曲において、自身の前作品である『リノスの歌』のフルートパートを拡張した5オクターブにも及ぶ異国的音階をオンド・マルトノの同一音源で駆け上がり、オーケストラを背景とする独奏楽器としての電子音の可能性を誇示したが、これと上述のファイナルファンタジーシリーズにおける作曲の視点の相違は、音源そのものを個性と見なすかオーケストラの代用と見なすかで作曲方法は変化することの一例だと言える。むしろファミコンなどの簡易的な電子音源を主体とする初期のテレビゲームに慣れた世代がこのジョリヴェの曲を聞くと、オーケストラをバックに鳴っているにもかかわらず一部のフレーズにおいてこの初期ゲーム機を連想して聞こえてしまう部分すらある。
[編集] ゲームミュージックによく見られる楽曲の着想方法
[編集] 楽曲の派生
映画などと同様に、ゲーム全体に統一感が必要な場合や、シリーズ化された一連のゲームの関連を印象付けることが必要な場合には、すべての楽曲を独立に作らずに、何かから派生してゆく方が良い場合が多い。以下にその具体例を述べる。
- 続編ゲームにおけるテーマ曲の派生
- あるゲームの続編・シリーズが作られた場合にテーマ曲を共通して用いる事がよくある。その際に全く共通して同じ音楽を用いることもあるが、多くの場合は何らかの編曲を伴う形で用いられる。『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』など人気の高いシリーズでは、そのテーマ音楽がシリーズの顔ともなっている。
- 続編ゲームの共通BGM
- テーマ曲以外にも、共通するBGMを若干のアレンジ変更などで派生させ、前のゲームの音楽を連想させる既聴感を与えるものがある。例えば『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』では「下の世界」が第1作と共通する世界観であるため、第1作のBGMを編曲して用いた。これはゲームの進行状況が後半になってから現れるもので、その既聴感は効果的に働く。また『To Heart 2』のように、前作『To Heart』で用いられたBGMの多くを編曲して用い、それぞれの場面ごとに共通する音楽で前作を想起させる例もある。あるいはあるゲーム中に同じ会社のまったく別のジャンルの過去のゲーム音楽が用いられることもあるが、これは逆に完全な既聴感を思い出させるためにオリジナルの音声(音楽)データをそのまま流用することが多い。
- ゲームオリジナルの主題歌を元にした派生
- ゲームに主題歌が含まれるようになって以降、多く用いられる手段である。オルゴールやピアノなどの音色を多用した落ち着いた雰囲気の編曲が多く、ドラマの効果をあげたい部分に用いられることが多い、いわゆる常套手段。特に美少女ゲームの分野に多く見られる。アニメの場合は1980年代以降主題歌とBGMを全く違う作曲家が担当することも多く、主題歌のアレンジBGMという手段がそれ以前の1970年代に比べて少なかったばかりか、例えあったとしてもそこだけ異質な音楽にならざるを得なかった。ゲームミュージックの場合は主題歌とBGMを一つの作曲グループの中で担当することも多く、この場合例え作曲者が違っていたとしてもグループ内のチームワークで作風をある程度統一させることが出来、作曲者の力量にもよるがBGMとしても極端な違和感をもたらすことなく使用することが出来る。
- いくつかのテーマ曲から派生曲を作る
- 映画音楽では常套手段だが、ゲームミュージックではあまり見られない。例として『サガ フロンティア2』『英雄伝説 空の軌跡』『CROSS†CHANNEL』などが挙げられる。
- 全曲を一つのテーマ曲で統一する
- ゲーム全体が一つの統一されたイメージを持つことが出来る。これも珍しい例と言える。例としては『スーパーマリオワールド』など。
[編集] 常套句の使用
一部のジャンルのゲーム音楽には常套句がある。例えば美少女ゲームの多くは、主題歌のオルゴールないしピアノのアレンジ曲を含む。またアダルトゲームでは主に合意的な性描写シーンにおいて、ピアノやハープあるいはそれらを模した減衰音が好んで使われるなど。
これらの常套句に沿った音楽を使用することで、プレーヤーに既聴感を与え、シーンの解釈を補助する役割がある。一方で、過度にこれらの常套句に頼りすぎると音楽が説明的になりすぎることもある。
[編集] アニメ主題歌の引用
アニメを基にゲーム化した作品(いわゆるキャラクターゲーム)では、そのアニメの主題歌をそのままあるいはアレンジしてゲームミュージックに用いることが多い。
ファミコン初期においてはバンダイの『オバケのQ太郎 ワンワンパニック』のタイトル画面や『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境』のマップ選択画面はアニメ主題歌の特徴的なフレーズ(冒頭やサビ)をそのまま引用している。 近年ではアニメとゲームそれぞれの制作会社のタイアップ関係も深いので、主題歌はもちろんBGMもアニメ作品から直接引用したものをゲーム内でも用いる例もある。(バンダイの『美少女戦士セーラームーンR』(SFC版)など。)
通常はこのように主題歌を正式な形で引用することが多いが、ファミコン初期においては、はっきりと引用と言い切れないような微妙な引用も見られた。 例えば、ハドソンの『忍者ハットリくん』や『ドラえもん』などでは、曲の途中で突如数音単位で主題歌を連想させるフレーズが現れ、すぐにオリジナルの音楽(ハットリくんの場合はクラシック音楽)に移行するようになっている。 これらの引用は、耳ざといプレーヤーがやっとアニメ主題歌だと気づく程度の短さであり、公的にこれが引用であると証明することは恐らく困難をきわめる。 何故このように微妙な形での引用がなされているかの理由は不明であるが、制作費の都合により著作権使用料を払う余裕がなかった、作曲者等からの使用許諾が得られなかった、あるいはゲーム内における著作物の使用についての見解(演奏に該当するのか/新たな録音物の作成に該当するのか、ゲームソフト1本ごとに使用料が発生するのか/楽曲1演奏ごとに使用料が発生するのか等)が一定していなかったり、そうした見解の整合を億劫がって適当に言い逃れできそうな形に収めた、等の理由が推察できよう。
[編集] クラシック音楽の引用
クラシック音楽の多くは著作権が切れており、また人口に膾炙していることからゲーム中でよく使われる。特に初期のビデオゲームはPSGなどの内蔵音源でそれらのクラシック音楽を鳴らすため、普段のクラシック音楽の場面ではまずありえないような音色でそれらの曲を聞くことが出来る。それらは曲調や調性が原曲とかけ離れてアレンジされていることも少なくない。最初期の例では『マリオブラザーズ』のゲーム開始音に使われるモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」や、『けっきょく南極大冒険』でのワルトトイフェルの「スケートをする人々(スケーターズ・ワルツ)」などが挙げられる。
[編集] 一般リスナーへの浸透
ゲームミュージックの認知と評価が高まるまでには、作曲家のすぎやまこういちが作曲を担当したドラゴンクエストシリーズがヒットし、その音楽が一般にも知られるようになったことが、大きな転機となった。一部のゲームソフトメーカーのカリスマ的な人気を持つサウンドコンポーザーが一定の評価を得ているほか、自らライブなどのパフォーマンスやフルオーケストラへの編曲を行うチームもある。
演奏会活動も行われることとなり、過去にはゲームミュージックコンサートが行われたほか、毎年夏頃に行われるファミリークラシックコンサート(指揮:すぎやまこういち)には、多くの家族連れなどで賑わっている。また、アマチュアオーケストラ団体であるリトルジャックオーケストラも毎年ドラゴンクエスト、ファイナルファンタジーをメインとしたゲーム音楽をフルオーケストラで演奏している。
元々ゲームのBGMとして作成されているためテレビ番組などでBGMや効果音として使われることも多く、それと気付かずにゲームミュージックを聴く機会も増えた。現在ではコンピュータゲーム全般において、ゲームミュージックはゲームを楽しみ評価するための要素の一つとなっており、多くのファンや愛好家が存在する市場・ジャンルとなっている。
[編集] ゲームミュージックに関連する音楽作品
ゲームミュージックに関連して、ゲームへの内蔵以外のメディアとして製作・販売されている音楽作品としては、ゲーム中の楽曲を通常の楽器演奏などで再構成したもの、ゲームそのものの内容に関連するイメージソング、ゲームのサウンドを取り入れた全く別の楽曲などがある。
- アレンジ・サウンドトラック
- ゲームミュージックそのものにファンがつくに従って、一度ゲームミュージックとして作曲された曲を、より音源の性能の良いプロユースのシンセサイザー、或いはピアノやオーケストラなどの生楽器にアレンジして新たにサウンドトラックとして発売することも行われるようになった。初期には上述のドラゴンクエストのほか、コナミのグラディウスシリーズや、日本ファルコムのイースシリーズなどのアレンジCDが挙げられる。ただし、上述した技術進歩により音が生の楽器の音に近づいたことによってアレンジは行われなくなっていく(ファイナルファンタジーVI#FFシリーズの音楽についても参照)。もちろん過去にも、アレンジを行わないゲームのオリジナル音声そのものをレコード・CD化して発売することもあった。
- キャラクターのイメージソング
- 主に人気のある美少女ゲームにおいて、そのゲームに登場する各キャラクターを演ずる各声優が新たな歌やショートドラマを収録し、CDにして発売するもの。この際主役級ではないキャラクターは、そのキャラクターに最も良く使われたBGM(多くの場合そのキャラクターごとのテーマ曲)が編曲されて歌になることが多い。
- ゲームミュージックを取り入れたポピュラー作品
- イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)は1stアルバムで『サーカスのテーマ』、『インベーダーのテーマ』という曲を発表している。ゲームミュージック専門のアルバムは同じくYMOの細野晴臣がプロデュースして、ナムコのゲームから『ゼビウス』、『リブルラブル』、『ギャラガ』などのサウンドを収録した『VIDEO GAME MUSIC』が元祖。近年では、スーパーマリオブラザーズの曲をサンプリングしたトンガリキッズの『B-DASH』などがある。