ハイラックス
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?イワダヌキ目 | ||||||||||
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![]() ケープハイラックス Procavia capensis |
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分類 | ||||||||||
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科 | ||||||||||
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ハイラックスはイワダヌキ目(ハイラックス目)に属する哺乳類の総称である。イワダヌキ目はイワダヌキ科の1科のみからなる。比較的小型の動物で、耳を小さくしたウサギのような外見をしているが、ゾウ目やジュゴン目と類縁関係にあり、足に蹄(ひづめ)にた扁爪(ひらづめ)がある。
中東やアフリカのサバンナに点在する岩場などを隠れ家にして、数頭から30頭程度の群れをつくり生活している。草食性である。他の哺乳類に比べ、体温調節の能力が劣るため、早朝や夕暮れは日向ぼっこをし、暑い時は日陰で体を冷やすなど爬虫類の様な生活をしている。
切歯が一生伸び続けることから、かつてはネズミ目に分類されていた。1766年にはCavia capensisという学名がつけられ、テンジクネズミと同じCavia属に分類された。その後、フランスの博物学者ジョルジュ・キュビエは、歯と足の特徴を調べた結果、ハイラックスは原始的な有蹄動物であると結論付けた。
ハイラックスの上顎の門歯は一生伸び続けるが、下顎の門歯はある時点で成長が止まってしまうという点で、ネズミ目やウサギ目とは異なる。また、上顎の臼歯はウマ目(奇蹄目)のサイに、下顎の臼歯はウシ目(偶蹄目)のカバに似た特徴を有している。また、全身の骨格はサイのものを小型にした様な特徴を持ちながら、前足の骨はゾウに類似している。胃の構造はウマに似ている。このように様々な動物に少しづつ似た特徴を持っているが、化石記録や分子生物学的な解析から、ゾウなどの原始的な有蹄類と類縁関係があることが明らかになり、独立したイワダヌキ目として分類されるようになった。
[編集] 飼育動物園
[編集] 人間との関わり
旧約聖書には住処を岩の中に作るものとして、ハイラックスが登場している。マルティン・ルターがこれをヘブライ語からドイツ語に翻訳する際、ハイラックスをウサギと誤訳している。
スペインという地名は、フェニキア語でこの土地のことを「Ishaphan:ハイラックスの島」と呼んでいたことに由来する。