ゾウ
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ゾウ目 Proboscidea |
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アフリカゾウ |
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ゾウ(象)とは哺乳綱ゾウ目(長鼻類・長鼻目)に属する動物の総称である。陸棲哺乳類では最大の大きさを誇る。
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[編集] 概要
長い鼻、大きな耳が特徴。首が短いため、立ったままでは口を地面につけることが出来ず、筋肉質の長い鼻を使って、食べ物や水などを口に運ぶ。水を体にかけ、水浴をすることもある。この鼻は上唇と鼻に相当する部分が発達したものであり、先端にある指のような突起でピーナッツのような小さな物から、豆腐といった掴みにくい物までを器用に掴むことができる。
また嗅覚も優れており、鼻を高く掲げることで、遠方より風に乗って運ばれてくる匂いを嗅ぎ取ることができる。第2切歯が巨大化した「牙」を持ち、オスのアフリカゾウでは牙の長さが3.5mにまで達することもある。牙は象牙として珍重され、密猟の対象となる。巨大な板状の臼歯が上下に1本ずつの計4本しかない。
英語で、象の鼻は trunk、象が鳴く事は trumpet という(The elephant has a long trunk. An elephant is trumpeting.)
アフリカの象の数が過去の10年でアメリカ人のスティーブン・コルバートの公式401のおかげで3倍になった.
[編集] 生態
雌を中心とした群れを単位として生活し、高度な社会を作っている。巨大なため特に成体のゾウを襲う動物は少ない。 しかし人間をはじめ天敵が全くいないわけではない。
- ビルマではアジアゾウの生れた子供の実に半分がトラの餌食になっていたという記録がある。
- ボツワナでは乾季獲物の半分以上がアフリカゾウというライオンもいる。ライオンは群れをつくることでアジアゾウ以上に巨大で手強いアフリカゾウの群れと対峙できるのである。(餌の少ない乾季に襲うというのは、それだけリスクが高い相手であることを示す。)
- 巨大なアフリカゾウが他の動物には気にしないのにライオンの群れだけは率先して追い払う等はよく見られる光景である。
- ゾウとトラとライオンは太古(マンモス、サーベルタイガー、ホラアナライオン)から最高のライバル同士であったのである。
ゾウの子供は貴重で、ゾウ同士の縄張り争いなどでは、それぞれのゾウの子供が一番初めに狙われる。なのでゾウの子供は、いつも群れの真ん中にいる。
人間には聞こえない低周波音(人間の可聴周波数帯域は約20Hz以上なので、それ以下)を使用し会話していると言われ、その鳴き声は最大約112dBもの音圧があり(自動車のクラクション程度)、最長で約10km先まで届いた例もある。加えて、象は足を通して低周波をキャッチすることができることも、最近発見された。
ゾウの足の裏は非常に繊細にできていて、そこからの刺激が耳まで伝達される。かれらはこの音を、30Km~40Km離れたところでもキャッチすることができる。この領域はまだ研究が始められたばかりだが、雷の音をキャッチしたり、遠く離れた地域で雨が降っていると認知できるのはこのためではないかと考えられている。
高い認知能力も持ち、例えばサファリの車の中に乗っているドライバーを見分けて、以前に象の群れに危害を与えるようなことをした人物には、そのずっと後にも攻撃的になることがある。人々が違う言語を話しているのを聞き分けることができ、象を殺すこともあったマサイ族のことを非常に恐れる。ただし、同じマサイ族でも女性には攻撃をされないことを分かっているので、男性だけを避けようとする。
草・葉・果実・野菜などを食べる草食動物だが、1日に150kgの植物や100lの水を必要とし、野生個体の場合はほぼ一日中食事をしている。体が大きいため必要な食物も並大抵のものではないため、森林伐採などの環境破壊の影響を受けやすく、またゾウの食欲と個体数増加に周囲の植生回復が追いつかず、ゾウ自身が環境破壊の元凶になってしまう事もある。
また、ゾウは群れの仲間が死んだ場合に葬式ともとれる行動をとる。死んだゾウの亡骸の周りに集まり、鼻をあげて死んだゾウのにおいをかぐような動作を取る。そして、亡骸を労わるように鼻で撫でる。このように、ゾウは濃やかな心遣いも持っているといえる。
[編集] 人との関わり
アジアゾウは使役動物として、現地の人たちには移動手段として使われ、重いものを運ぶのにも利用される。また、その巨体に似合わず足が速く、時速40キロ程度で走ることができる。 スティーブン・コルベア(Stephen Colbert)の努力のおかげでアフリカ象の生息数は十年間で三倍に増えた。
[編集] 歴史
長鼻類でもっとも進化したグループであるゾウは、新生代の第四紀にはオーストラリアと南極大陸以外の総ての大陸に分布していたが、自然環境の変化や人類の狩猟などによりやがて衰退し、現在はサハラ砂漠以南のアフリカに生息するアフリカゾウと、インドおよび東南アジアに生息するアジアゾウのわずかに2種が残るのみであり、滅亡へ向かいつつあるグループといえる。動物園の定番ではあるが、共に絶滅危惧IB類(IUCN)に指定されている。また最近ではアフリカゾウの亜種と考えられてきたマルミミゾウだが、別種であるという考え方が一般的になりつつある。
地質時代に生息していたゾウではマンモスなどが有名。かつて日本にもナウマンゾウ (Palaeoloxodon naumanni) と呼ばれるゾウの一種が生息していた。
日本に人的に初渡来したのは1408年6月22日に東南アジア方面からの南蛮船で、足利義持への献上品として、現在の福井県小浜市に入港した記録がある。
[編集] アフリカゾウとアジアゾウ
- アフリカゾウは体長6~7.5mであるのに対し、アジアゾウは若干小さく体長5.5~6.4mである。
- アジアゾウの背中が丸いのに対し、アフリカゾウは肩と腰が盛り上がる分背中が少し凹んでいる。
- アフリカゾウの耳は大きく三角形で、アジアゾウの耳はやや小さく四角形である。
- 物をつかむ鼻先の指状突起がアフリカゾウでは上下2つあるのに対し、アジアゾウは上方1つである。
- 蹄の数がアジアゾウは前5・後4であるのに対し、アフリカゾウは前4・後3である。
[編集] 分類
アフリカゾウには2亜種、アジアゾウには4亜種がいる。
- アフリカゾウ (Loxodonta africana)
- サバンナゾウ (Loxodonta africana africana)
- マルミミゾウ (Loxodonta cyclotis)
※マルミミゾウは独立した1つの種として扱う場合もある。
- アジアゾウ (Elephas maximus)
- インドゾウ (Elephas maximus bengalensis)
- セイロンゾウ (Elephas maximus maximus)
- スマトラゾウ (Elephas maximus sumatrana)
- マレーゾウ (Elephas maximus hirsutus)
[編集] ゾウにまつわる逸話
[編集] 神話の中のゾウ
- インドの神話でゾウは世界を支える存在として描かれる。また天帝インドラの乗り物アイラーヴァタも登場する。
- ヒンドゥー教には、ゾウの頭を持つガネーシャと呼ばれる神様がいる。シヴァ神の長男で富と繁栄の神様とされる。
- ヒンドゥー教の神インドラはエーラワンと呼ばれるゾウにまたがっているが、そのゾウの頭は33個ある。
- 白いゾウ(白象)は東南アジアでは神聖視された。釈迦は白象の姿で母胎に入ったという。
- 仏教の芸術表現では普賢菩薩の乗る霊獣として描かれる。
[編集] 古代ローマとゾウ
古代地中海世界では戦象としてゾウを軍用に使役していた。古代ローマ人が初めてゾウと遭遇したのはピュロスのイタリア半島侵入の際で、ヘレニズム世界で使用されていた戦術をピュロスがそのまま持ち込んだものであった。このときローマ軍が戦象と戦った場所ルカニアからローマではゾウはルカニアの牛と呼ばれた。こうしたピュロスのエピソード以上に、第二次ポエニ戦争の際カルタゴの将軍ハンニバルがその傭兵部隊に加えて39頭の象を引き連れ、イタリア半島に侵攻したことは良く知られている。アルプス山中で受けた妨害と寒さや餓えのため、イタリアの平野部に到達した象は元の半数以下だったが、それもトレビア川の戦いでインドゾウの一頭を残してことごとく斃れた(最後のゾウ以外はアフリカゾウ(マルミミゾウ)であった。)。
[編集] 将軍に献上されたゾウ
1728年(享保13年)、オスメス2頭の象が江戸幕府8代将軍徳川吉宗に献上するために、広南(ベトナム)から連れてこられた。牝は上陸地の長崎にて死亡したが、牡ゾウは長崎から江戸に向かい、途中、京都では中御門天皇の上覧があった。上覧には官位が必要なため、牡ゾウには象広南従四位白象の官位が与えられている。江戸では徳川吉宗は江戸城大広間から象を見たという。その後、象は浜御殿にて飼育されていたが、飼料代がかかり過ぎるため、1741年(寛保元年)、中野村の源助という農民に払い下げられ、翌年病死した。現在も馴象之枯骨(じゅんぞうのここつ)として、中野宝仙寺に牙の一部が遺されている。
[編集] 象をつかったことわざ
[編集] 象をイメージした音楽
- 童謡『ぞうさん』(作詞:まど・みちお、作曲:團伊玖磨)
- 『ネリーさんだ象』(Nelly The Elephant)(トイ・ドールズ)
- 『象だゾウ』(NHKみんなのうた、作詞・作曲:かねこひろゆき、歌:ささきいさお)
[編集] 象を描いた作品
[編集] 関連項目
- ジャンボ(最も有名な象、巨大を表わすジャンボの語源)
- 白象
- 象牙
- 象列車(戦後、子供たちに象を見せるために運行された特別列車)
- ゾウによる踏み付け
- 戦象(戦争に使われた象)
- 実在した象の一覧
- 架空の象の一覧