マンホールの蓋
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マンホールの蓋(まんほーるのふた、英語:manhole coverまたはmaintenance cover)は、人が誤ってマンホールに落ちてしまうのを防ぐとともに関係者以外の進入を防ぐため、蓋を成しマンホールの開口部にはめられた着脱可能な金属板の名称。
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[編集] 概要
マンホールの蓋は通常50キログラム(100ポンド)以上の重量があり、その理由の一つとして車両をはじめとする交通機関が蓋の上を通過する際、その十分な重さによって所定の位置を保つ目的があることや、鋳鉄製、あるいは地上部となる表面をアスファルトまたはコンクリートで固められた鋳鉄で作られていることにもよる。このような構造から安価で強固に、且つ重量のあるものにしている。蓋は通例、かぎ型のバールキーと呼ばれる工具を挿入して引き開けるための「摘み穴」が取り付けられている。専用のマンホールバールキーは特にこうした穴に引っかける目的で製造されている。
嘗てインドはマンホールの蓋の製造において世界でも優位を占め、他の国々で運営している多くの製造会社が倒産に追い込まれた。これは、その極端に低い労働賃金が重い製品を船で輸送するコストさえも下回っていたことによる。
蓋は収集品としてはあまりに大きすぎるにも関わらず、その遍在と数多くの模様、表面に刻まれている記述や描写が世界中から複数の人々を収集へと駆り立てている。日本ではこの収集に主として、写真、写生など用いられる。
今日幾つかの地域では、女性が公共の上下水道部門で働いていることから、「マンホール」という言葉が性差別的であると見なされている。そのため、それまでに使用していた「マンホール・カバー」の頭文字「MH」や「MHC」は残したいという意向もあることから、英語でマンホールの蓋を表す「メンテナンス・カバー」という言葉や、「メンテナンス・ハッチ」、「メンテナンス・ハッチ・カバー」といった言葉へ呼称を変えて使用する人もいる。
また、その重量や扱いにくい性質にもかかわらず、マンホールの蓋は時折盗まれることがあり、特に金属の価格が上昇した際は、通常スクラップ部品として転売されてしまう。
水害の際には、マンホール内を通る水圧の影響により、マンホールの蓋が外れ、マンホール内に人が落ちてしまう災害が発生する。
国賓が来日する際には、治安対策として所管の警察によりマンホールの蓋に封印がされる事がある。
[編集] なぜ蓋は丸いのか
少なくともアメリカ合衆国において、なぜマンホールの蓋は典型的に丸いのかという質問は、マイクロソフト社が就職採用面接の際の質問として作成したといわれる。これは、「正しい」答え以上のものが求められる質問に対応するのかをみる心理学的査定としての意味合いがあり、質問は実践的・風刺的から哲学的な答えまで、他の解釈を探そうとする人々の一風変わった魅力を引き出すのである。この疑問に対する想像力を欠いた答えとしては、「マンホールが丸いので、マンホールの蓋も丸いのだ」等がある。
この蓋の形状の理由については、以下のさまざまな説がある。
- 四角い蓋であればマンホールの穴に蓋を斜めに入れてしまうと落ちてしまう可能性があるが、丸ければマンホールの入り口から落ちてしまうことがないため(ルーローの三角形や定幅図形の蓋も落ちないような目的に適っているが、丸い蓋のほうがより簡単に製造できる)。
- マンホール開口部の丸い形状は、それを囲む地面の圧力に対して最も能率的な形状であるため、その丸い開口部の蓋が丸い様相を帯びるのは自然であるから。
- 円筒状の穴は掘るのが容易なため。
- マンホール自体も蓋の表面も起伏無く交通によって剥がれてしまうのを防ぐため、機械加工されるから。
- 丸型の鋳造は水平の型押しロール機を使用して機械切断するのがより簡単だから。
- 丸型の蓋は丸いマンホール穴に対して、うまくはまるように回転させる必要が無いから。
- 人間の断面もやや丸い形をしているため。
- 丸いマンホールの蓋の方が簡単に転がして移動できるから。
- もし蓋が外れた他の形のマンホール上を自動車が通過すれば、鋭い角の部分が自動車のタイヤをパンクさせてしまう恐れがあるが、丸い形には角が無いため。
- 丸い形が伝統だから。
- 丸い形が美学だから。
しかし、他の形状のマンホールの蓋も見られ、普通は四角形か長方形である。アメリカ合衆国ニューハンプシャー州の都市ナシュアでは、下部の流れの方向を指し示す三角形のマンホールの蓋があり、アメリカ国内でも独特のものと思われる。しかし地元の鋳造場で生産された同市内にある三角形のマンホールの蓋は今や消えつつあり、こうした三角形の蓋は現代の安全基準に合わず、また大きなものも見つからないというのが理由である。
[編集] 盗難
近年における鉄価格の高騰はマンホールの蓋を含む、電柱や鉄道の線路など多くの鉄製品の再利用や盗難を促進する結果となった。中国政府はこのマンホールの蓋の窃盗を減らすべく奮闘し、2004年に24000件を数えた蓋の年次の窃盗数を、その翌年に4000件にまで減らすことに成功した。
[編集] 他情報
[編集] レーシングカーは蓋を持ち上げられるか
現代のレーシングカーは、その空気力学的な力によりかなりの真空状態を作り出し、マンホールの蓋をも地面から持ち上げる。そのため都市内での街道を走るレース中、マンホールの蓋は競技車両を損傷から守るため溶接されなければならない。1990年、カナダ・モントリオールで行われた、グループCのスポーツカー世界選手権レース中、レーサーのジーザス・パレハが乗る車に、彼が追っていた前方の車の地面効果によって持ち上げられたマンホールの蓋が衝突し、パレハの乗る車は炎上した。
[編集] 蓋は宇宙空間で最初の人工物か
都市伝説においては、マンホールの蓋が1950年代の地下核実験中にそのシャフトから誤って発射され、ものすごいスピードで太陽系を飛び出したという話がある。この話は1957年8月27日のプランボブ作戦中に実際に起こった事件に基づいたもので、実験中に重い鋼鉄板が試験シャフトからものすごい速さで吹き飛び、その後再び発見されることは無かったという事例だった。その鋼鉄板が実際に大気圏を飛び出していったかどうかは定かではない。
[編集] 関連項目
- 下水道
- 真実の口
- マンホール
- 溝渠
- 探偵!ナイトスクープ - かつて「マンホールの蓋で焼いたワッフルが食べたい」という依頼があった。
- ラリー・ニーヴン - 『マンホールの蓋に塗られたチョコレートについて君には何が言えるか?』という短編作品がある(ハヤカワ文庫『無常の月』収録)。
[編集] 外部リンク
- 日本のマンホールの蓋(英語)
- 世界のマンホールの蓋(英語)
- おかちんどっとこむより、日本のマンホール(日本語)