溶接
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溶接(ようせつ)とは、2つ以上の部材を分子原子レベルで融合一体化すること。接着とはまった異なる。接合箇所が連続性を持つように、部材を加熱したり圧力を加え接合部を融合させる。かつては鎔接や熔接の文字が利用されていたが、「鎔」「熔」ともに当用漢字に入れられなかったため、同音の「溶」で代用表記されることとなった。
溶接を行なうには母材を溶かさなければならない。摩擦接合や圧接では母材が溶融するほどは加熱されない。母材は通常金属である。つまり、一般的に言えば溶接とは複数の金属部品を一体化することを指すが、プラスチックを溶かして接合することをプラスチック溶接と言ったり、最先端の技術ではセラミックスを溶接することも可能になっている。
鋼やアルミニウムのように構造材になるような金属を溶かすにはかなりの高温が必要になる。しかも接合部分だけを溶かさなければならない。そのため狭い部分を集中して加熱できる方法が必要となる。一方で経済性も重要であり、なるべく少ないエネルギーで効率的に溶かすことが出来なければならない。
主な加熱方法としては電気(電気抵抗)、アーク放電がある。また、ガス、プラズマ、電子ビーム(電子線)、レーザーなどで加熱することもあるが、コストや使い勝手の面から用途が限られている。溶接の古代技法である鋳掛けでは、湯(溶けた金属のこと)を注ぐことで母材の縁を溶かしている。
現在主流なのは、アーク溶接とスポット溶接(抵抗溶接)である。特に、単に溶接と言った場合はアーク溶接を指す場合が多い。スポット溶接は自動車や薄板板金の分野でよく使われている。
母材と母材の間に隙間がある場合は、その空間を補填するために溶加材が用いられる。また、隙間を埋める必要が無くても、強度的に肉厚を増す場合には溶加材が使われる。アーク溶接には通常、溶加材が用いられる。いわゆる溶接棒のことである。スポット溶接は溶加材を使用しない。
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[編集] 沿革
溶接は早くも4500年前の青銅器から見出される。弥生時代の銅鐸からも溶接の跡が発見されている。現代では、自動車産業などの巨大産業に関わることから、最先端技術が投入され、レーザー溶接や摩擦攪拌接合といった新しい溶接方法が研究開発され新技術が次々に開発されている。また、高性能なロボットが大量に使われるなど大規模な設備投資が行われる分野でもある。
[編集] 古代
古くは青銅器の接合に溶接が用いられた。中国の三星堆遺跡(さんせいたいいせき)から大量の青銅器が見つかっているが、これらは紀元前2500年の最古級の青銅器を含み、これらには既に溶接が用いられていた。母材と母材の間に溶かした溶加材を流し込む鋳掛けという方法だとみられている。
鋳掛けは金属製品のひびや穴の補修技術だが、接合にもよく使われていた。鋳掛けでは母材の縁が溶けるまで溶加材を流し込むので、完全な接合が行なわれる。現代のアーク溶接に通ずる技術である。日本の高岡短期大学で三星堆縦目仮面の復元のために、この古代技法が再現された。日本には青銅器そのものの技術と共にこの鋳掛けの方法が伝わったと思われる。弥生時代の銅鐸からも鋳掛けの跡が大量に見つかっている。
またヨーロッパでも紀元前3000年頃から青銅器の遺物から鍛接、リベット、ろう付けなどの加工の痕が見つかりはじめる。
紀元前15世紀ごろ小アジアで鉄が発明される。鉄は延性に富むため、鍛造に向いた金属である。鍛造は金属を整形するとともに鍛えて強度を増す方法だが、熱した金属を重ねて鍛えると金属を接合することが出来た。これを鍛接という。
鉄の接合には鋳掛けとともに鍛接が良く行われた。青銅器でも鍛接は行われたが、鍛接は特に鉄に向いた接合方法である。鍛接は現代のスポット溶接に通じるところが多い。
紀元前10世紀頃、鉄の技術は他の地域に伝わる。鍛接の技術は鉄とともに伝わっていった。旧約聖書にも溶接らしい金属加工の記述がある。日本では紀元前3世紀ころから鉄器が見つかる。鉄器とともに鉄の接合技術が伝わったとおもわれる。河内には古くから鋳物師(いものし、いもじ)の氏族がおり、代々天皇の鏡を鋳造したと伝えられている。おそらく紀元前3世紀頃、朝鮮から来た渡来人と思われる。後年、この氏族の流れを汲む鋳物師や鋳掛け屋(後述)の技術集団が日本各地で活躍することになる。
インドのデリーの郊外に錆びないことで有名な鉄柱の遺跡がある。この鉄柱はグプタ朝のチャンドラグプタ二世によって建立されたインドの最古のイスラム寺院の中に建っており、紀元310年のもので鍛接が使われていることが判っている。ちなみに、この鉄柱にはヒンディー語で「デリー」(不安定なもの)という名前が付いており、この呼称が現在のインドの首都デリーの由来になった。
[編集] 中世・近世
弥生時代、青銅器の伝播とともに鋳掛けの技術が日本に伝わったが、この技術が発達し大仏などの巨大青銅器を生むに至った。これらの大仏は鋳物師によって製作された。(奈良の大仏は当時の現物が失われているので何とも言えないが、細部の補修に鋳掛けが利用された可能性はある。鎌倉の大仏からは鋳掛けの形跡が見つかっている。)
日本では鉄は貴重品であったが、たたら製鉄が中国地方で盛んになると、鉄が一般にも普及していった。平安時代末期、鉄が普及してくると田畑の開墾が進んでいく。また鉄製の農具によって面積当たりの米の生産高も飛躍的に向上した。
武士の誕生は武器の需要を生み、それがさらに鉄の加工技術の向上をもたらした。刀剣や鉄砲の発達とともに鉄の加工技法はよく発達した。日本は豊富な砂鉄とそれを精錬するための木材資源にも恵まれており、鉄の加工技術では東アジアでは抜きん出た存在だった。農具にも、中国は見られない高度な鉄の加工技術が使われているとされる。普及したとはいえ鉄製品は貴重品であるため、壊れた鉄製品を修復する需要があり、鉄の接合技術は日本各地に広まった。鍛接・鋳掛けのほかにも、金属の接合にはろう付け・リベットが使われた。
日本の江戸時代には鋳掛け屋という行商人がいたという。各地を渡り歩き、鍋釜の類を鋳掛けで補修し日銭を稼いでいた。鋳掛けによる溶接も行われた。彼らは溶けた鋳鉄に鞴(ふいご)で空気を吹き付けることで、鉄を流動化する技術を持っていた。吹き付けた空気により、鉄が燃焼し、その熱で鉄を完全な液体にすることが出来た。同時に脱炭が行われただろう。この方法は山下吹きと言い、16世紀に兵庫県の山下村の鋳物師銅屋新左衛門が発明したとされている。この鋳物師は河内の鋳物師の流れをくむ鋳物師である。転炉を連想させる高度な技術である。やや時代が下るが幕末から長州で製鉄技術が急速に発達したのは山下吹きの技術があったからだと言われている。鋳掛け屋は昭和初期の頃まで各地で見られたらしい。
前述の高岡短期大学のある富山県にも鋳物師の伝統があり、この地域には古い技術がよく伝承されている。現在でもコマツやYKK、新日軽といった金属加工関係の大企業の工場が富山県に多くあるのはこの伝統と無縁ではない。
ヨーロッパでも中世の頃から金属の接合技術が発達する。1540年イタリアの高名な冶金学者ヴァンノッチョ・ビリングッチが冶金学に関する最初の本を発表した。この本を元にルネッサンス時代の技術者は鍛接の技術を発達させていき、やがて近代以降の溶接技術の発展につながっていく。
ヨーロッパにもドイツのゾーリンゲンなど伝統的に金属加工を得意とする地域がある。英語では鍛冶屋のことをblacksmith、鍛冶のことをsmithingと書き、ドイツ語ではschmidtと書く。そのためか、溶接関連の功労者にはSmithやSchmidtを姓に持つものが多い。また、今でも欧米の溶接関連企業にはスミスやシュミットの発音の付く会社が多く、これも溶接と鍛冶屋の強い関連をうかがわせる。(例 GE Schmidt社、UA Fort Smith社など。)
鉄を溶かすには高温が必要である。母材を直接溶かして鉄を溶接することができるようになるのは、近代に入って電気やガスが使えるようになってからであった。
[編集] 近代
近代に入ると、電気やガスで集中的に加熱することが可能になる。様々な溶接が次々に開発されるが、主流はアーク溶接と抵抗溶接(スポット溶接)である。アーク溶接は鋳掛けの代替え技術として急速に普及していく。薄板板金にスポット溶接が使われるようになると、鍛接の用途は特殊な用途に限られるようになる。
[編集] アーク溶接
1800年にイタリアの物理学者ボルタが電池を発明したのと同時に電極間に火花が散る現象が認識されるようになった。この発光現象を研究したイギリスのハンフリー・デービーは1807年にボルタ電池を2000個つなげたものを電源とし、水銀に浸した木炭を電極として用いる事で放電を安定的に継続させる事に成功する。デービーはこの放電現象をエレクトリック・アーク(Eledtric Arc)と名付け、当初は照明用に研究が続けられた。1865年、英国のウェルド(Welde)がアーク溶接についての特許を取得する。1885年、炭素アーク溶接の特許が英国で認可され、この後アーク溶接が普及していく。1907年、被覆溶接棒が発明され、被覆アーク溶接が可能になる。以後アーク溶接は普及の度合いを速めていく。
第一次世界大戦に入ると溶接能力の大幅な向上が強く求められるようになった。溶接技術の優劣が軍事力の優劣に直接結びついたためである。この時期、イギリスでは全ての外板を溶接で建造した船が作られた。アメリカでは溶接の普及が遅れていたが、ドイツ軍のニューヨーク港攻撃で破損した船舶の修復にアーク溶接が用いられ、その威力が認められるようになる。ドイツでは航空機の建造にも既に溶接が用いられていた。
1920年代、溶接ワイヤーが連続的に供給される半自動アーク溶接が登場する。当初はブローホールが発生し品質の確保が困難だったが、溶接を大気から保護するシールドガスが開発され、この問題は大きく改善された。 品質に問題がなくなると、半自動溶接は急速に広まっていく。1930年代に入るとフラックスが開発されアルミニウムやマグネシウム合金などのアーク溶接も可能になる。
日本では1930年に作られた駆逐艦夕霧の一部に初めてアーク溶接が用いられた。本格的にアーク溶接が用いられたのは1931年に作られた海軍の敷設艦八重山である。溶接が用いられることにより、艦船が軽量化し工期が大幅に短くなった。このとき、逆歪みや対称溶接など現代では常識となっている手法が溶接に用いられている。海軍の手により、これらの溶接に関する技術が規格化され、これを境に日本でも急速にアーク溶接が普及していく。
[編集] 抵抗溶接
1840年代に電流をスパークさせると金属が接合する現象が発見される。加圧しつつ電流をスパークさせると接合力が飛躍的に高まることが判り、1887年アメリカでフラッシュバット溶接として特許が申請される。同じ年、似たような同じようなしくみのスポット溶接の特許も申請される。特許論争が起きるがスポット溶接はフラッシュバット溶接の一部とみなされ、フラッシュバット溶接の特許が認められることになった。抵抗溶接は鍛接やリベット止め代替え技術として薄板板金の対象に広まっていく。スポット溶接は自動車、シーム溶接は缶詰などに使われた。
[編集] 現代
1960年以降から、溶接には産業用ロボットが使われるようになる。特にスポット溶接では、その90%以上の作業をロボットが担っていると言われている。日本では一年間に約3万5千台の産業用ロボットが新しく導入されているが、このうち6千台がスポット溶接、5千台がアーク溶接に使われると見られる。溶接ロボットは比較的大きなロボットであり、産業用ロボットでは最大の市場となっている。日本では現在約35万台のロボットが稼動中で、溶接ロボットはそのうち10万台程度とみらる。溶接ロボットのほかに、バリ取りロボット、仕上げロボット、溶断ロボット、塗装ロボットなど溶接の周辺工程で働くロボットがあるが、これはこの10万台には含まれていない。大量生産の現場では溶接の主役は既にロボットであるが、難易度の高い溶接は人が仕上げるほか無く、高い技能を持つ溶接技能者への需要はむしろ増している。
2000年度の国勢調査によると日本の溶接・溶断工の就業人口は24万人弱となっている。これは溶接作業をじかに行っている技能者の数で、2次的に関係している就業者は含まない。産業としてみると、溶接の関わる産業の代表といえばやはり自動車産業があげられる。日本の自動車産業の出荷額は43.2兆円。これは全製造業の出荷額の16%におよぶ。就業人口は直接的に自動車に関わる人だけでも72.6万人。2次的に関わる人も含めると507万人で全就業者数の8.7%に達し、さらに造船や建設機械、建設といった業種が、溶接関係の産業としてこれに加わる。
溶接は巨大な産業に関わるだけに先端技術が惜しみなく投入される。アーク溶接の次世代技術として、電子ビーム溶接、レーザー溶接などが研究開発されている。最新型のスキャニングレーザー溶接装置ではレーザーが遠隔照射され、何も触れることなく鉄板が正確に溶かされていく。スポット溶接の次世代技術としては摩擦攪拌接合などが研究開発されている。溶接ロボットには視覚センサ、力制御、人工知能の搭載が検討されている。
[編集] 溶接の分類
ここでは冶金学的な分類を揚げる。
融接 |
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溶接の分類には加熱方法で分類したもの、装置のしくみで分類したもの、物理現象に注目したもの、冶金学的なもの、法令に拠るものなど多数の分類方法がある。これらの分類法はいささか観念的なもので、用途に応じて発明された様々な溶接方法に対して、後から当てはめたものなので、あまり厳密に考えなくてもいいだろう。一般には、溶接の主流はアーク溶接とスポット溶接で、それらから専用機として特化したものがあり、さらに非常に特殊なものや実験的なものが少しある、程度の区別が判りやすいだろう。
上記の問題のほかに、どこまでを溶接とするかという定義上の問題も残っている。ろう接や鍛接は溶接ではない、という学者もいる一方で、機械設計者から見ればろう接や鍛接はもちろん、ボルトやリベットも金属の接合方法として重要である。設計者らにとってはこれら(ボルトとか)と溶接を切分けて扱うことはそれほど意味のあることではない。
また、圧力をかけて接合することを圧接(あっせつ)といい、特に加熱してから圧力を加えて接合することを鍛接(たんせつ)という。また母材と違う素材を溶融して接合することをろう付け(ろうづけ)という(接合法を参照)。冶金学には融接という言葉があり、これは液相による接合を厳密に定義する言葉である。冶金学による溶接の定義は融接、圧接(鍛接)、ろう付けが含まれる。
[編集] 代表的な溶接
- 被覆アーク溶接
- アーク溶接の基本。いわゆる溶接棒を使う溶接のこと。半自動溶接と区別するために手棒溶接や手溶接と言うこともある。風に強いので屋外でのアーク溶接には大体この溶接が使われる。また溶接に必要な機材が簡単で安価であるが、ホームセンターなどで売っているもので一次入力電圧が100Vのタイプは工芸趣味用途以外にほとんど使い物にならない。
- 半自動アーク溶接
- アーク溶接の一種。溶接ワイヤとシールドガスが自動的に供給されるので、被覆アーク溶接より作業性が良い。風に弱いので屋内でのアーク溶接に使われることが多い。ガスの種類によりMIG溶接、MAG溶接、炭酸ガス溶接に分類される。最近ホームセンターなどにノンガス半自動溶接機が出回り始めたが、一次入力電圧が100Vのタイプはほとんど使い物にならない
- サブマージアーク溶接
- アーク溶接の一種。半自動溶接と同じように溶接ワイヤが自動的に供給されるが、シールドガスではなく、特殊な砂のような粒状フラックスが使われる。粒状フラックスはアークを大気から保護したあと、固まって溶接ビードを保護する。3.2mm以上の太い溶接ワイヤが使われる。そのため極めて高能率で品質の高い溶接になるが、設備が大型化するので、船や建物の鉄骨、パイプラインなど大きな構造物の溶接に使われる。
- ティグ溶接
- アーク溶接の一種。融点の非常に高いタングステン棒からアークを出し、その熱で母材を溶かす。半自動溶接と同じようにシールドガスを用いる。溶加材を足すことも可能。精密な溶接に向く。高圧パイプや精密機器の溶接などに使われる。高融点のタングステンを電極にしているため電極自体は減りづらいがアーク熱を発生させるだけで溶着金属を付加するために左手で溶接棒を添加しなければならない。両手を使うため熟練が必要であり比較的難易度は高いが非鉄金属に対する溶接に適応力が広い。
- スポット溶接
- 抵抗溶接の一種。薄い板金を両側から抑えつつ電気を流し、その抵抗熱で板金を溶かし接合する。主に自動車のボディの接合に使われている溶接。溶接時間が短く生産性が高い。大きなものを人が扱うのは大変なので、産業用ロボットが使われる。
- シーム溶接
- 抵抗溶接の一種。ローラーの形をした電極で複数の板金を抑えると同時に、抵抗熱で溶接を行う。スポット溶接と違い、線状の溶接が可能。薄い板金を連続的に接合する。缶詰やジュースの缶などに使われている。
- 鍛接(たんせつ)
- 圧接の一種。圧接は固相溶接とも言う。真っ赤に焼いた金属を重ねて、ハンマーで叩いて接合する。古い技法で青銅器時代から見られる。現代でも鋼管や鎖などの製造に普通に使われる。
- ろう接(ろうせつ)
- 母材より融点の低い金属で接合する方法。ろう付け(融点が450度以上の硬ろう)、はんだ付け(融点が450度以下の軟ろう)貴金属アクセサリーでは部品同士の固定にろう付(ろうづけ)・ろう接(ろうせつ)を用いることが多い。古い技法で、古代エジプトの装飾品からも見つかる。加熱する方法により、アークろう付、抵抗ろう付、炉内ろう付、トーチろう付などがある。
[編集] その他の溶接
- ガス溶接
- 可燃性ガスを燃焼させて溶接部を加熱する。ふつうはアセチレンガスと酸素を使う。溶接速度が遅く、アーク光が無いので溶接部が見やすいので、溶接不良が発生しにくいと言われている。そのため高圧力のかかる油圧、空圧の配管などに使われる。溶接速度が遅く、機材の取り扱いにも免許が要るなどの短所があるため、あまり一般的な溶接とは言えない。関連資格に(ガス溶接作業者)などがある。またガスの燃焼熱により溶融接合をするわけであるが添加盛り上げする溶着金属は左手で供給しつつ進行せねばならず、両手を使うためアーク溶接より熟練を要するが発生温度が比較的低く温度調整も容易で薄板の接合に適している
- テルミット溶接
- テルミット法とも言う。アルミニウム粉末と金属酸化物を混ぜて溶接部に詰める。そこで還元反応を生じさせ、その反応熱で母材を溶かし、還元された金属が溶加材になるという仕組み。
- エレクトロスラグ溶接
- 溶接部を銅金で囲いながら連続的に溶接を行う。厚板の突合せの縦なみ溶接に用いることが多い。設備は大掛りで、どうしても溶接部を水平に出来ない大型の化学プラントやタンク、大型船の溶接に用いる。
- 鋳掛け
- 溶接部を鋳砂で囲い、母材の縁が溶けるまで湯(溶けた溶加材)を流し込む。古い技法のひとつで青銅器時代の遺物からも鋳掛けの跡がみつかる。今ではほとんど見ることはないが、エレクトロスラグ溶接やサブマージアーク溶接にこの古代技法の面影がある。
- 電子ビーム溶接
- 電子ビームを溶接部に当てて加熱する溶接。入熱量が少なく、非常に深い溶け込み深さが得られるので精密な溶接に向く。異種金属の接合も可能。ただし真空中でしか溶接できないので、コストは非常に高い。コストを無視できるような特殊な製品でないと使うことは出来ない。人工衛星や深海探査艇、高エネルギー加速器の部品などに使用例がある。
- レーザー溶接
- レーザーで溶接部を加熱する溶接。レーザービーム溶接とも言う。入熱量が少なく、非常に深い溶け込み深さが得られる。電子ビーム溶接と違って、シールドガスを使えば大気中でも溶接可能。現在はレーザー光源にYAGレーザーとCO2レーザーを使うものがある。YAGレーザーは光ファイバーが使えるので、産業用ロボットに取り付けて使うことができる。CO2レーザーは光ファイバーを使うことが出来ないが、大きな出力が得られている。既にシーム溶接やスポット溶接の代替技術として導入が進んでいる。さらに、中厚板の溶接が出来るようにレーザー光源の大出力化の開発が進んでいる。自動車部品、航空部品などで応用が進みつつある。
- ホットジェット溶接
- 熱風を当てて母材を溶かして溶接する。プラスチックの溶接に使われるので、プラスチック溶接ともいう。
- プラズマアーク溶接
- アーク溶接の一種。タングステン棒からアークを出し、水冷ノズルの穴を通してアークを細くしぼり、プラズマジェットとして溶接部にあててその熱で母材を溶かす。半自動溶接と同じようにシールドガスを用いる。溶加材を足すことも可能。精密な溶接に向く。TIG溶接と似ているが、タングステン電極がノズルより奥にあり、プラズマがノズルにより密度が高く安定しているという利点がある。使い勝手と経済性の問題から、肉盛溶接などに用途が限られている。
- 摩擦攪拌接合(FSW)
- 圧接の一種。回転する円筒状の工具を強い圧力で板金に押し当てて、その摩擦熱と攪拌力で接合する。現在の主な溶接が母材や溶接棒を溶融しながら接合する液相接合であるのに対し、FSWは母材を溶融せずに塑性流動を利用した固相接合である。固相溶接ともいう。異種金属接合が可能。FSWは広義の溶接に数えられる場合もあるが、伝統的な溶接の概念とは異なる接合法であるため、溶接とは別のものと一般的には考えられている。スポット溶接の代替技術として開発、導入が進んでいる。
- 摩擦圧接
- 圧接の一種。摩擦攪拌接合と似るが、母材自体を回転させる。異種金属接合が可能、母材への熱影響が少なく、使用エネルギーが少ないなどのメリットがある。しかし、母材の形が少なくとも片方は円形をしている必要があり、断面形状の制約が厳しい。
- 超音波溶接
- 圧接の一種。溶接部に超音波で振動する工具を押し当てて、母材が互いに摩擦することにより接合を行なう。断面形状の制約はないが薄いものしか接合できない。
[編集] 参考文献
- 英語版ウィキペディア"Welding"。
[編集] 関連項目
- 第四艦隊事件(当時、溶接が原因での惨事になったとされる事件)
[編集] 外部リンク