メカゴジラ
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メカゴジラとは、映画『ゴジラ』シリーズに度々登場する、文字通りゴジラを模した架空のロボットのこと。
作品によって、設定は異なるものの、ゴジラを倒す事を目的に製作された点が共通している。その時代のロボットや機械に対するイメージがデザインに影響されている。
目次 |
[編集] 登場作品
公開順
- 『ゴジラ対メカゴジラ』(1974年)
- 『メカゴジラの逆襲』(1975年)
- 『ゴジラvsメカゴジラ』(1993年)
- 『ゴジラ×メカゴジラ』(2002年)
- 『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』(2003年)
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 昭和ゴジラシリーズのメカゴジラ
- 『ゴジラ対メカゴジラ』(1974年)
初代メカゴジラ。
ブラックホール第3惑星人の操る地球侵略用兵器としてゴジラをモデルに作られた。この当時のメカゴジラは鉄板を継ぎ接ぎしたようなデザインであり、いかにも機械という見た目をしている。富士山の火口から出現、ゴジラに偽装しアンギラスを倒し暴れ回った。玉泉洞深くのコントロールセンターから遠隔操作で動かされる。
ゴジラとキングシーサーを苦しめたが、 ICPO の捜査官らによってコントロールセンターを破壊されて行動不能に陥り、首をゴジラに破壊され、沖縄の海底に沈んだ。
スーツアクターは森一成(『メカゴジラの逆襲』でもメカゴジラIIを担当)。
- 全高:50メートル
- 重量:4万トン
[編集] 武装
- スペースビーム:目から発射される虹色の溶解光線。ゴジラの熱線と同等の威力がある。
- デストファイヤー:鼻からの火炎放射(劇中では一度も使用されていない)。
- フィンガーミサイル:指そのものが強力なミサイルになっている(劇中の描写から、徹甲弾としても使用可能だと思われる)。また二代目の物は先端が鋭くなっており、回転ミサイルになっており破壊力が増している。
- クロスアタックビーム:胸部装甲が開き、高電圧破壊光線を発射する。
- ディフェンスネオバリヤー:頭部を回転させ、周囲に円筒形のバリヤーを張る。なお一度バリヤーが発生すると、頭部の回転が止まっても持続する。
- ホーミューショット:膝に装備されたミサイル。
- ハイプレッシャーホーミング:足の指もミサイルになっている。
- その他二代目には、二重構造の頭部にレーザー発射装置、手足の甲にミサイルが追加されている。また、両機共通で非公式ながら、口部にもミサイルが内蔵されている。
[編集] メカゴジラII
- 『メカゴジラの逆襲』(1975年)
二代目メカゴジラ。
前作で海底に沈められたメカゴジラをブラックホール第3惑星人が真船博士の協力のもとで修復したもので、デザインにほとんど変更はないが(腕の「MG」の刻印が「MG2」となっている、など)、腹部に装甲が追加され武装が大幅増加したが,動きは鈍くなっている。チタノザウルスと共にゴジラを追いつめ、一度はゴジラを生き埋めにしてしまった。
何とか生き埋め状態から復活したゴジラに前回同様に首をへし折られるが、実は頭の下には強力なレーザーが発射される装置が仕組まれており、逆にゴジラをピンチに陥らせた。さらに前回の反省からか、コントロールはコントロールセンターではなく真船博士の娘であるサイボーグ、桂の脳波とリンクしており、彼女の心臓が止まらない限り永遠に動き続けるが、その本人が自ら命を絶ったため、コントロールが失われゴジラに破壊された。
- 全長、重量:初代と同じ
[編集] 平成VSシリーズのメカゴジラ
- 『ゴジラvsメカゴジラ』(1993年)
三代目メカゴジラ。
G対策センターが海底に沈んでいたメカキングギドラを引き揚げ、23世紀の技術を解析して作った対ゴジラ兵器。この時のデザインは前回までのナットやボルトが剥き出しのものではなく、全体的に丸みを帯びている。機体の形式番号は UX-02-93。
スーパーX2の外装に使用した超耐熱の合金よりもさらに上回る耐熱性をもつ金属「NT-1」(無重力の宇宙空間の工房で生成された)をベースに、スーパーX2のファイヤーミラーで使用した人工ダイヤモンドをコーティングすることによって、ゴジラの熱線を完璧に防ぐ事が出来る。
後に、同じくG対策センターが作ったガルーダと合体できるよう改良され、その形態はスーパーメカゴジラと呼ばれる。スーパーメカゴジラとなることで、機動力・出力の向上とともに、ガルーダに装備されたメーサー砲二門も使用可能になる。通常3人(追加の搭乗員を含めて4人、最大5人)の搭乗員で操縦され、ゴジラを瀕死にまで追い詰めたが、ラドンの生命エネルギーを吸収して復活したゴジラのハイパーウラニウム熱線により爆発炎上した。なお、コクピットが脱出モジュールになっており搭乗員は全員生還した。
当時の書籍『ゴジラvsGフォース』においては、米軍の意向で建造された可能性が指摘されている。
『ゴジラvsメカゴジラ』のポスターにおいて、陸上用の機体と飛行機体との分離・合体が出来るかの様な絵が描かれていたが、本編ではその様な描写は無く、後述のガルーダとの合体にとどまっている。この分離・合体機構は後の『ゴジラvsスペースゴジラ』のモゲラの機構として登場している。
デザイン画が存在するが、実際には川北特技監督の監修の元つくられた粘土の雛型が決定稿というべきもの、ロボコップのイメージをもっていたらしく、また着ぐるみのメッキ処理も考えていたが様々な問題で断念された。しかし入魂の着ぐるみは首が自由に旋回し、特に膝関節部分の可動は中に人間が入っている事を忘れさせるような、リアルな動きになるようになっていた。
スーツアクターは福田亘。
- 全高:120メートル
- 総重量:15万トン(スーパーメカゴジラ時:15万482トン)
- 飛行速度:マッハ1(スーパーメカゴジラ時:マッハ2)
- 動力:レーザー核融合炉
- 燃料:重水素ヘリウム3ペレット
[編集] 武装
- メガ・バスター:「口」にあたる部分から発射される、虹色のビーム。ゴジラの熱線と同等の威力を持つ。
- レーザーキャノン:「目」にあたる部分から発射されるレーザー。片方をファイヤーラドンとの戦闘時に破壊されたが、スーパーメカゴジラ合体時になぜか復旧。しかし以後は使われていない。ミスであるがどうかは定かではないが、実はラドンによって右のレーザーが破壊される直前に既に右目が光っていなかった。その次のカットで再び両目が点灯しその後片目は破壊される。 MOGERA にも同様の武装がある。
- ショックアンカー:腕部に内蔵の放電アンカー。ゴジラに直接撃ち込み、高圧電流を流し、麻痺させる。鈴鹿山脈の山中での戦闘では、ゴジラを仕留めるには電圧が足りず、さらに電流が逆流する問題が発生。メカゴジラは行動不能に追い込まれる。その後、Gクラッシャーへと換装・強化された
- Gクラッシャー:ショックアンカーの強化版。ゴジラの腰にある「第二の脳」を粉砕し行動不能にする目的で開発された。ショックアンカーを上回る高電圧を放射可能。使用にはゴジラと交感できる三枝未希の搭乗を必要とする。
- パラライズ・ミサイル:麻痺弾。
- トランキライザー・ミサイル:麻酔薬を装備したミサイル。
- プラズマ・グレネイド:メカゴジラ最強の武装。全身のダイアモンドコーティングを通じて照射されたゴジラの熱線を吸収・収束し腹部砲門より発射する光学兵器。ダイアモンドコーティングが溶解してしまうと、使用できない欠点がある。
[編集] ガルーダ
ガルーダは、映画『ゴジラvsメカゴジラ』に登場した架空の大型戦闘機だが、実質上の「1号ロボット」。元々は対ゴジラ兵器としてGフォースで開発されていたが、技術的問題等の諸事情で開発が中止され、強力な2号機( = UX-02-93・メカゴジラ)の開発により、その後はドックに展示されていた。しかし、ゴジラに対しメカゴジラの機敏性向上等の問題が発生し、G対策センターのガルータ開発スタッフ、青木一馬(高嶋政宏)の提案(脅迫)で、ジョイントの増設などの改修によりメカゴジラ用の強化アタッチメントとして改修され実戦投入されることになった。主武器に長射程のハイパワーメーサービームキャノン2基を搭載しているが、あくまで対ゴジラ用戦闘機である為かファイヤーラドンとの空中戦では肉迫、撃墜されている(但し、その時のパイロットが正規の乗員では無かった為とも見られるが)。メカゴジラと合体しスーパーメカゴジラとなる事でさらに威力を発揮する。搭乗員は1名。機体形式番号は UX-01-92。
- 全長:84メートル
- 全高:22.8メートル
- 全幅:58メートル
- 総重量:482トン
[編集] ミレニアムシリーズのメカゴジラ(3式機龍)
- 『ゴジラ×メカゴジラ』(2002年)
- 『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』(2003年)
3式機龍(さんしききりゅう)はゴジラ映画『ゴジラ×メカゴジラ』と『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』に登場する架空の兵器、ロボット。四代目メカゴジラ。特生自衛隊が2003年に完成させたという設定のため、「3式」の名を持つ。型番は MFS-3 (Multi-purpose Fighting System - 3) 。単に「機龍」とも呼ばれる。劇中では開発者の娘が愛称として「メカゴジラ」と呼んだ。
以前のメカゴジラよりもやや機械的なデザインだが、今までの遠距離戦闘でゴジラと距離を置いて戦うメカゴジラとは違い、バックパックを射出、切り離す(バックパック射出も有効な攻撃である)事で、ロボットとは思えないような素早い動作でゴジラと互角以上の肉弾戦を繰り広げ、一時的に戦意喪失状態にまで追い込んだ。これは、ロボット工学技術の向上により ASIMO のようなロボットが世間一般に認知され始めた事が要因とされる。機体コードや兵装の名称は自衛隊の装備品を意識したリアルな命名がなされている。
なお、バックパックを装備した状態を「重武装型」、切り離した状態を「高機動型」と呼ぶ(劇中での言及はなし)。
スーツアクターは『ゴジラ×メカゴジラ』では石垣広文、『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』では中川素州。
- 全長:60メートル
- 総重量:4万トン(重装備型)、3万6千トン(高機動型)
[編集] 劇中での活躍
日本政府により、東京湾の千葉県館山沖の海底から1999年に引き揚げられたゴジラの骨をメインフレームとして製作された。人間が乗り込むのではなく、支援航空機「AC-3 しらさぎ」から遠隔操作で操縦する。メンテナンスベースから本体に乗り込んで直接操縦する事も出来るが、その際のGは凄まじく、人間には耐えられない。
伝達システムにはDNAコンピュータが利用されている。このDNAコンピュータは当初、骨に残留していたゴジラの骨髄間質細胞を使用していたため、初陣ではゴジラと共鳴し、暴走事故を引き起こした(『ゴジラ×メカゴジラ』)。又、その翌年、モスラを交えた戦いで再び暴走。最後は自分の意思を持ち、幼虫モスラの糸で動けなくなったゴジラを抱えたまま海へ飛び込み、日本海溝深くに沈んだ(『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』)。
胸部に「3式絶対零度砲(アブソリュート・ゼロ)」という光弾兵器を装備している。これは-273.15℃という絶対零度の光弾を発射、直撃した物体を一瞬で分子レベルまで凍結させ破砕してしまうという強力な武器だったのだが、ゴジラとの戦いによって心臓部である巨大な共有結合性結晶(人工ダイヤモンド)を破損(但しゴジラの胸に大きな傷をつけ、撃退には成功する)、右腕も失った。その後の改修で右腕は完全に機械化され、ゴジラの体を貫き戦意を失わせたほど強力なドリル・アーム = 4式対獣掘削装置・スパイラルクロウが仕込まれた。また、アブソリュート・ゼロは修復が間に合わず(厳密に言うと防衛予算の都合でアブソリュート・ゼロの核となるほどの大きさを持つ人工ダイヤモンドが用意できず)、胸部には三連ハイパーメーサーユニット = 4式三連装ハイパーメーサー砲が代装された(メーサー砲は口の2門を合わせ、5門装備。劇中ではゴジラがスパイラルクロウで受けた傷を徹底的に狙う事で威力の低下をカバーし、見事ダウンさせている)。また、前回の戦いで高機動型になる際のバックパック射出が有効な攻撃であることが判明したためバックパックも新モデルとなり、片方ずつ時間差で射出出来るようになっている(ゴジラは1発目を熱線で撃ち落したが、爆炎の中から飛んできた2発目の直撃を食らっている)。
このように武装は改修後にはむしろ強化されているとも言えるが、修復が完全に終わっていなかったため反応が鈍いという弱点も持つ事になってしまった(ゴジラの攻撃をかわし切れずに直撃を受けて破損している)。
[編集] 備考
シリーズ第1作『ゴジラ』(1954年)で、オキシジェンデストロイヤーによって倒されたゴジラの骨をベースにしたという設定だが、オキシジェンデストロイヤーは最終的に骨をも溶解する威力があり、実際初代ゴジラは骨まで溶けて跡形も無くなってしまった描写もあるのだが、『ゴジラ×メカゴジラ』では全身の骨格が残っていたという事になっている。
人類がゴジラと戦うために作ったという設定は『ゴジラvsメカゴジラ』に登場するGフォースの対ゴジラ兵器・メカゴジラと共通である。