ロボコップ
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『ロボコップ』(ROBOCOP)は、1987年に公開されたアメリカ映画及びこの映画に登場する架空のロボット(あるいはサイボーグ)のニックネーム。死体を利用したロボットの「ロボコップ」が活躍するSFアクション映画である。
同じアメリカ映画の『ターミネーター』等と同様、低予算で作られながらも興行収入5300万ドルを超えるヒット作となった幸運に恵まれた映画である。映画が人気だったために、続編の2や3が作られ、後にTVシリーズやアニメ、アメコミ等も製作された。
日本では、コミックボンボン増刊号にて4コマ漫画が製作された。
日本公開は1988年2月。
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[編集] あらすじ
近未来のアメリカ(設定年代は2010年)の自動車の街デトロイトでは、巨大企業オムニ社によって町全体が支配され、警察までもが企業化し、犯罪都市と化していた。市警のアレックス・マーフィー巡査は、一連の警官殺しの犯人とされる手配中のマフィア一味を追っていた。マーフィーはカーチェイスの末、一味の隠家を見つけ潜入したが、惨殺される。犯罪撲滅の為、警官のロボット化を企画していたオムニ社は、一度死んだ彼を、細胞死していない生体部分を部品として利用したロボット、ロボコップとして蘇らせる。その後、ロボコップは驚異的な性能で優秀な成果を収め、町の治安は少しずつ取り戻されて行った。しかし、ロボコップは人間だった頃の記憶の断片に悩まされ、ついには自分が何者であったかを知ってしまった彼は……。
[編集] スタッフ
- 監督:ポール・ヴァーホーヴェン
- 製作:アーン・L・シュミット
- 脚本:エドワード・ニューマイヤー、マイケル・マイナー
- 製作総指揮: ジョン・デイビソン
- 撮影:ヨスト・バカーノ
- 音楽:ベイジル・ポールドゥリス
- 視覚効果:ティペット・スタジオ
[編集] キャスト
- ロボコップ(タイトル・ロール)/アレックス・マーフィー:ピーター・ウェラー
- アン・ルイス:ナンシー・アレン
- リチャード・ジョーンズ:ロニー・コックス
- クラレンス・ボディッカー:カートウッド・スミス
- ロバート・モートン:ミゲル・ファーラー
- オムニ社会長:ダニエル・オハリヒー
[編集] アカデミー賞
1987年(第60回)
[編集] 続編
[編集] 映画
[編集] TVシリーズ
- ロボコップ ザ・シリーズ(1994年公開)パイロット版として、ロボコップ・ニューバトルが同年公開されている。
- ロボコップ プライム・ディレクティヴ(2001年公開)
[編集] アニメ
- ロボコップ(アメリカのみ公開/1988年公開)
[編集] 漫画
[編集] 小説
- ロボコップ(エド・ナーハ/斎藤伯好訳・ハヤカワ文庫)
- ロボコップ2(エド・ナーハ/鎌田三平訳・二見書房)
[編集] ゲーム
- ROBOCOP(発売/開発:データイースト)
- ROBOCOP2(発売/開発:データイースト)
- ROBOCOP3(発売/開発:データイースト)
- ロボコップVSターミネーター
- ROBOCOP~新たなる危機~(発売:タイタスジャパン/開発:タイタス)
[編集] 見所
本作公開当時、一見純粋な娯楽作品に見えるこの作品の秀逸な設定に多くのSFファンが唸った。それは本作主人公ロボコップ=マーフィー刑事が、「法医学的に死体の状態で機械的に復活した人間」という点で、この点がこの作品を観る上で非常に重要というファンも多い。当時、サイバーパンク系のSF作品が流行していた最中、「死を克服したヒーロー」ではなく「死んだ状態で生前の意識を持ち活躍するヒーロー」という設定が、非常に明快なサイバーパンク的描写であると評価された。実際、劇中でも主人公は機械的に「蘇生」したわけではない。単に死体の状態での細胞死を迎えていない新鮮な生体部分をロボットの部品として利用されている存在にすぎないと描写されている。
それ故、ロボコップ2のオムニ社役員と2号機の開発者との会話で、ロボコップをサイボーグとしているが、生体の一部を機械化したサイボーグとは定義が異なる為正しくない。しかし、生前の記憶がフラッシュバックしたり、プログラムではなく自我による言動も見られることから、ロボットという表現も適切ではない。
また、劇中に何度か挿入されるニュース番組やCMは、近未来の物語らしく、今後起きるであろう事件・事故・商品を報じている。それは単に未来を予想したものではなくブラックユーモアを内包しており、ロボコップの特色の1つと言える。
[編集] 備考
- 本作は元々、バーホーベン監督がストップモーション・アニメーションの第一人者であるフィル・ティペットと共に進めていた『宇宙の戦士』の映画化企画(後の『スターシップ・トゥルーパーズ』)が一時頓挫した為に、「ストップモーションを活かした作品」として企画された作品である。それだけにティペットの手掛けたED-209や続編『ロボコップ2』のロボコップ2号(ケイン)のパワフルなアクションは秀逸である。
- 劇中劇として登場する『T・Jレイザー』はウイリアム・シャトナー主演の『T・Jフッカー(邦題・パトカー・アダム30)』のパロディ。
- 「ED-209」は「Enforcement Droid(法務執行ドロイド)」の略。
- 俳優の吹越満は、WAHAHA本舗所属時代にロボコップの動作を真似た「ロボコップ演芸」と言う持ちネタで好評を博した。
- 大相撲力士の高見盛は、その仕草等から「ロボコップ」と言うニックネームを持つ。
- 有名テレビ情報雑誌『ザ・テレビジョン』の表紙にロボコップがレモンを持ち、表紙に飾った。
[編集] 日本語吹替版
- 1990年4月1日 テレビ朝日『日曜洋画劇場』
- マーフィ:磯部勉
- ルイス:小宮和枝
- ジョーンズ:中村正
- クラレンス:田中信夫
- モートン:富山敬
- オムニ社会長:納谷悟朗
- 制作:東北新社
- 翻訳:平田勝茂
- 演出:伊達康将/木村絵理子
- 調整:小野敦志
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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