ゴジラ (1954)
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『ゴジラ』は1954年に公開された日本映画で、巨大な怪獣・ゴジラの東京襲来を衝撃的に描いた日本初の特撮映画であり、ゴジラシリーズの第1作。日本の怪獣映画の元祖であると同時に、日本映画史上の古典的名作の一つに数えられる。1954年11月3日公開。観客動員数は961万人。上映時間は97分で、モノクロにて製作された。併映は『仇討珍剣法』。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 舞台背景
南洋の水爆実験のため海底の住み処を追われた太古の怪獣「ゴジラ」が、首都東京に襲いかかるという初代ゴジラ映画。この1作により、特撮技術者・円谷英二の名が広く知れ渡った。作中で鍵となる装置「オキシジェンデストロイヤー」（参考：東宝特撮映画の登場兵器）が有名。
モチーフの背景には、当時のビキニ環礁での米国核実験による、第五福竜丸の被爆など国際社会情勢がある。映画「ゴジラ」は、原水爆反対の思いを込めて企画・製作されたものである。
登場する怪獣はゴジラのみ。主要襲撃地点は大戸島、東京（品川、銀座、霞ヶ関、勝鬨橋）。
[編集] ストーリー
太平洋上で南海サルベージ所属の貨物船「栄光丸」が突然原因不明の沈没事故を起こした。さらに救助に向かった貨物船「備後丸」と大戸島の漁船も次々に沈没。漁船に乗り組んで遭難したもののかろうじて生き残った男は、怪物に襲われたと証言。そのことを聞いた島の老人は、昔から大戸島に伝わる伝説の化け物「呉爾羅（ゴジラ）」の仕業だと言う。直後の暴風雨の夜、島に巨大生物が上陸し、その生物によって襲われた家屋などが大被害を受けた。古生物学者の山根恭平博士は国会の依頼を受けて調査団を編成、娘で助手の恵美子や彼女の恋人で謎の事故によって船を失った南海サルベージ所長の尾形らを同行して大戸島に向かい、ついに巨大生物を目撃した。博士は島の伝説からその巨大生物をゴジラと断定。「海底に潜んでいたジュラ紀の生物が度重なる水爆実験で住みかを追われて出現したのではないか」とする見解を国会に報告する。報告を受けた国会では、この事実を国民に公表すべきかどうかということで議員同士が衝突してしまう。
一方、かつての許婚者であった科学者の芹沢大助博士のもとを訪ねた博士の娘・恵美子は、そこで極秘の実験を見せられ、絶対に他言しないようにと口止めされた。国会などでゴジラ対策が審議される中、山根博士は貴重な古代生物であるゴジラを防衛隊が危険な怪物とみなして殺そうとするのに反対していた。だが、ついにゴジラは街の明かりに誘われて東京に上陸、街を破壊して海へと去る。防衛隊は東京湾内に5万ボルトの高圧電流を流した有刺鉄条網を張り巡らせ、ゴジラの感電死を図って再上陸を阻止しようとするが、ゴジラは電流・防衛隊の攻撃の双方をものともせずに防衛線を突破して再び東京に上陸。テレビ塔をなぎ倒し、ビルや国会議事堂をも叩き壊し、白熱光で街を火の海に変え、ジェット戦闘機の攻撃もはねのけて東京湾に去った。
恵美子は被災者たちの救護に当たったが、傷つき、焼けただれ、肉親を失った人々の悲惨な状況を見ているうちに耐えられなくなり、尾形に芹沢との秘密を明かす。芹沢の研究所で見せられたのは、水中の酸素を破壊し、あらゆる生物を液化して消滅させる「酸素破壊剤（オキシジェンデストロイヤー）」であった。これならゴジラを殺すことができると考えた尾形は恵美子を連れて芹沢のもとに急行、懸命にオキシジェンデストロイヤーの使用を求めるが、芹沢は頑として受け入れない。オキシジェンデストロイヤーは核兵器以上の恐ろしい兵器になり得る。これを公表すれば軍事用に使われ人類滅亡につながるかも知れない、と。だが、テレビに映し出されたゴジラの被災者たちの姿にある決意を秘め、一度だけの使用に応ずる。
東京湾上。ゴジラの潜む地点に停泊した船から尾形と芹沢は潜水し、オキシジェンデストロイヤーをセットする。しかし尾形を先に上がらせた芹沢は、オキシジェンデストロイヤーの放出を始めると共に潜水服の命綱を自ら切った。｢尾形、恵美子さんと幸せにな｣と言い残した彼は、世界平和のために自分の命と共にオキシジェンデストロイヤーの秘密をも永遠に葬ったのである。のた打ち回るゴジラはついに息絶え、東京湾の海底で跡形もなく溶けて消滅した。歓喜に沸く人々に混じり、山根博士はつぶやく。「人間が水爆実験をやめない限り、新たなゴジラが現われるかも知れない・・・」
[編集] 登場人物
- 尾形秀人
- 南海サルベージKKの所長。親会社である南海汽船の船舶が謎の沈没事故を起こした事から調査を行い、山根博士と大戸島に同行、ゴジラと遭遇する。27歳。
- 山根恭平
- 大戸島に上陸した巨大生物を調査するために災害調査団を結成した古生物学者。調査に向かった大戸島でゴジラに遭遇する。55歳。後に『ゴジラの逆襲』にも登場。
- 山根恵美子
- 山根博士の娘で尾形の恋人。博士の助手を勤める事もあり、調査団に同行する。22歳。後に『ゴジラvsデストロイア』にも登場。
- 芹沢大助
- 郊外に研究所を構える物理学者。山根博士の弟子で恵美子の許嫁者でもあったが、戦争で顔に傷を負った事から彼女の前から身を引いた。彼の発明したオキシジェンデストロイヤーが物語の鍵となる。『ゴジラvsデストロイア』『ゴジラ×メカゴジラ』にもライブフィルムで出演した。
[編集] スタッフ
[編集] キャスト
[編集] 後日談
この作品はアメリカに買い取られ、1956年にテリー・モース監督によりレイモンド・バーをカイロ赴任途中に友人の芹沢博士に会うため日本に立ち寄ってゴジラ事件に遭遇するという新聞記者役で出演した『怪獣王ゴジラ（Godzilla，king of the monsters）』として再編集された。この映画は全米のみならず世界50ヶ国で上映されて人気を呼び、400億円もの外貨を得ると共にゴジラの名を世界に轟かせて国際的にする端緒となった。なお、名匠スティーヴン・スピルバーグやジョージ・ルーカス、フランシス・コッポラも、この『怪獣王ゴジラ』を幼いころに見て大きく影響を受けたという。
作品中に登場する大戸島は実際には島ではない三重県鳥羽市石鏡町がロケ地である。ただし、助監督として参加した梶田興治によると、撮影当時の石鏡町周辺は幹線道路が貧弱であったため、鳥羽市から船を使用し、2時間もの時間を要して機材を運ぶような「陸の孤島」であったと語っている。なお、この石鏡町の撮影には地元住民約300人がエキストラとして参加している。
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