メフィラス星人
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メフィラス星人(メフィラスせいじん)はウルトラシリーズに登場するに登場する異星人のひとつであり、ウルトラ戦士と敵対する宇宙人。別名「悪質宇宙人」。特撮テレビ番組『ウルトラマン』、『ウルトラマンタロウ』、『ウルトラマンメビウス』に登場。
名前はゲーテの『ファウスト』に登場する悪魔メフィストフェレスに由来する。デザインはウルトラマンに対抗して銀と黒でまとめたという。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 『ウルトラマン』に登場したメフィラス星人
第33話「禁じられた言葉」(1967年2月26日放送)に登場。
- 身長:2~60メートル
- 体重:40~2万トン
- スーツアクター:扇幸二
メフィラス星から地球にやってきた暴力的な行為を嫌う宇宙人。そのため、武力によらない地球征服にこだわる風変わりな「侵略者」となっている。性格は紳士的で知能もIQ20000と異常に高いが、物事が自分の思い通りに運ばないとすぐに激昂する短気な一面もある。
また、多数の凶悪宇宙人のボス的存在として「ケムール人、バルタン星人、ザラブ星人は自分の配下に過ぎない」と称しており、「その気になれば地球征服など簡単である」と力を誇示していた。人間を巨大化させる能力を持っており、科学特捜隊フジ・アキコ隊員を怪獣大に巨大化して東京に出現させ、ムラマツ隊長らを困惑させた。地球人の代表としてフジ隊員の弟サトル少年を選び、サトルが「地球をあげます」と自発的に言うよう仕向け、メフィラス星人曰く「地球人の心への挑戦」をしたが、少年は申し出を拒絶し続けた。
武器は手から発射する波状破壊光線・通称:ベアハンド光線(書籍によってはグリップビームとも)である。ウルトラマンとはほぼ互角の戦闘能力を持った強敵で、もしあれ以上戦闘が長引いていれば、活動時間に限度があるウルトラマンの方が負けていたかもしれない。「私はまた必ずやってくる」と言い残し、地球から去っていった。地球には円盤に乗ってやってきたが、円盤を失い、ウルトラマンと対戦した後でも、自力でメフィラス星へ帰るだけの余裕を残していた。
『ウルトラマン』でのエピソードは、脚本家の金城哲夫が当時くり広げられていた沖縄の復帰運動を目の当たりにして直面した、「自分は日本人か? ウチナーンチュ(沖縄の人)か?」という悩みが反映されたものであるとされ、それは作品中、メフィラス星人がウルトラマンに投げかける言葉、「お前は宇宙人か? 地球人か?」に集約されている。また非暴力主義とも取れるその言動は、暴力・武力で事態を解決して来たとも言えるウルトラマンに対するアンチテーゼであり、スタッフの自問とも言えるこのテーマは次回作『ウルトラセブン』や以降のウルトラシリーズにもしばしば登場する事になる。
[編集] 『ウルトラマンタロウ』に登場したメフィラス星人
第27話「出た! メフィラス星人だ!」に登場。
- 身長:60メートル
- 体重:2万トン
初代に似ず、下品な性格で平気で卑劣な手段を用いる。地球征服が目的で、怪草マンダリン草の神経毒で子供を麻痺させ、世界中の子供を虚弱体質にして地球を乗っ取ろうと画策した。武器は目からの青色破壊光線。その端緒として自動販売機にマンダリン草を仕込み、近づいた子供を次々と麻痺させていった(大人は監禁した)が、ZATにこれを見破られて巨大化、街を破壊した(初代とは全く異なる姿勢である)。ZATの網で捕らえられかけたが、すぐに脱出。また多少の負傷はマンダリン草でたちまち治癒してしまう。ZATを窮地に陥れるが、ウルトラマンタロウのアトミックパンチで腹に穴を開けられ、続けて撃たれたストリウム光線を受け消滅していった。
- 初代と比べて、性格は全くといっていいほど異なるが、子供を地球侵略のキーと見ている点では共通している。
- 初代とのキャラクターの差異については、「元々は全く別の宇宙人の登場する話として書かれていた脚本を急遽メフィラス星人のエピソードに書き直したため」という裏話がある。話題づくりのため、過去の人気怪獣・宇宙人を再登場させるシリーズ企画が持ち上がったためで、同じ企画で他にエレキング、ベムスターらが再登場を果たしている。
- 『ウルトラマン』に登場したメフィラス星人の弟という設定が当時の児童雑誌に掲載された(現在では『タロウ』のDVDの解説や『ウルトラマンメビウス』公式ページにもこの設定が書かれている)。また同様に児童雑誌の設定によれば、このころに登場した再生怪獣達は一つの軍団として位置づけられており、この時のメフィラス星人は軍団の幹部(地位は将軍)とされている(初代は軍団の総大将で多忙な為、弟である二代目が代わりに地球へ向かったことが語られている)。初代と容貌が異なるのもデスクワーク中心の軍務が祟り太ってしまったから、というおよそ異星人らしからぬ理由がつけられている。雑誌の記事では意気揚々と出撃するもタロウに敗北する様子が描かれており、敗北を見た怪獣軍団からは「まるでダメな奴だ」とダメ出しをされてしまっていた。
- 『ウルトラマン物語』では、初代と同一人物のように扱われており、上記のエレキングを改造して地球に連れてきていることにもなっている。
- 「卑怯もラッキョウもあるものか」という迷言を遺した。
- 声はヤプールも演じていた西川幾雄が演じた(他にカタン星人の声も演じている)。
[編集] 『ウルトラマンメビウス』に登場したメフィラス星人
第43話「脅威のメビウスキラー」から第47話「メフィラスの遊戯」に登場。
- 身長:2~60メートル
- 体重:2万トン
謎の皇帝に仕える暗黒四天王の一人で、地位は「知将」。性格や口調は初代と同じ紳士的なものだが、今回は敬語を使っている(しかし、初代と同じく自分の思惑通りに事が進まないと激昂する面もある)。地位にもある通りその知性から実質的な四天王のまとめ役を担っている模様である。また突如出現した(おそらく見せしめのために予め連れて来ていた)グロマイトの攻撃を簡単に弾き返し、得意のベアハンド光線(グリップビーム)によって一撃で葬り去ったり、ウルトラマンの八つ裂き光輪を素手で砕くなど戦闘能力に関しても圧倒的なものがあるが、ウルトラマンにはベアハンド光線が効かなかった。(但し、グロマイトに放った時とは構えが逆だったのと、光線の形もグロマイトに放ったものとは異なっていたのでと別の光線技の可能性もある)。
四天王最後の一人としてメビウス(ミライ)を最も屈辱的な方法で倒すべく作戦を開始。円盤に搭載された「キリアン・リプレイサー」という装置から放射される特殊な波動で、人間たちのメビウスに関する記憶を自身に置き換え、自分の手を汚さずGUYSにメビウスを倒させようとする。しかしミライの必死の呼びかけで正気に戻ったGUYSによって円盤を破壊されて巨大化、初代ウルトラマンやメビウス、ガンフェニックストライカーと激しい空中戦を繰り広げ、互角以上に渡り合うが、「手を出した事で既に負けた」とウルトラマンに指摘されて潔く負けを認め、再び挑戦すると言い残し地球を去って行った。しかし宇宙空間に出たところで皇帝(エンペラ星人)が(粛清のために?)放った攻撃を受けてしまい、バリアで防御したが耐えられず爆死してしまった。
- 初代や二代目との関連については劇中では明言されなかったが、児童誌の記事や脚本家小林雄次の日記では別個体の「メビウス・メフィラス」とされている。また、メビウス公式ページでのプロフィールでも、初代や二代目とは兄弟関係であることを思わせる解説がされている。(円谷プロ公式サイトの四月馬鹿ネタであるM-78(エムナナハチ)でも初代メフィラス星人があれは自分の弟だと発言している。)
- 声は初代と同じ加藤精三が演じている。
[編集] 『レッドマン』に登場したメフィラス星人
特撮テレビ番組『レッドマン』22話、23話、25話に登場した。22話ではウーと共に、25話ではゴモラと共に戦うがレッドナイフで、23話ではレッドアローでレッドマンに倒された。
[編集] その他
- ウルトラマンの宿敵であるバルタン星人よりも格上であり、同じく最大の敵であるゼットンと違い理性を持つ宇宙人である事から、その後のウルトラマンを題材にした漫画・ゲーム作品ではウルトラマンのライバルや怪獣軍団の首領として位置付けられている事が多い。
- ゲームソフト『ヒーロー戦記 プロジェクト オリュンポス』では侵略者の一人として登場。大地震によるマグマ流入を利用してツァイト市を沈めようとしていたが、同市にやってきたモロボシ・ダンの前に人間の姿で現れ、計画を明かす。ダンの知略によりマグマ流入は未然に防がれるがそのためにバードンの巣穴が開かれてバードンによってツァイト市が滅びる事を告げ、セブンと戦闘。その後、単身バードンの巣に入ったダンを追ってバードンの巣に入り、敗北を認めたメフィラス星人は改心してダンになついてしまったバードンの雛を伴い、どこへともなく去る。ツァイト市の少年に原作同様のやり取りを要求したりと、『ウルトラマン』におけるスタンスを守った形だが、最後はバードンを戦力として狙うヤプールに殺されてしまう。メフィラス星人を臆病者と罵ったヤプールに対して、ダンは激しい怒りを見せ、そのためか、最終ダンジョンに出てくるボスキャラでは(剣聖ビルゲニアを除いて)唯一死亡してしまった。
- ゲームソフト『スーパーヒーロー作戦』では凶悪宇宙人の連合組織 ETF の首領格として登場。ガイアセイバーズを度々苦しめる。最後はゴルゴダ星での決戦でヤプールに裏切られ、ウルトラ兄弟に最後の戦いを挑む。
- ゲームソフト『ウルトラマン Fighting Evolution Rebirth』でのオリジナルストーリーではジェロニモンに怪獣達を復活させたり、バルタン星人に改造怪獣を作らせたり、カオスロイドを送った黒幕として登場。必殺技には得意のベアハンド光線(グリップビーム)の他に、多数の円盤群を召喚し一斉攻撃をさせる技も持つ(彼が宇宙人のボス的存在であることを象徴するかのような技である)。最終的にはカオスヘッダーと融合してネオカオスダークネスとなる。
- ウルトラマンライブステージではバルタン星人、メトロン星人、ザム星人らと結託して邪神獣ゲスグロウを復活させ、宇宙支配を企むが、ゲスグロウ復活を目前にして、ウルトラマンゼアスの奮戦によって倒される。
- ウルトラシリーズや円谷プロ作品にリメイク的なキャラクターは存在しないが、東映作品の『電撃戦隊チェンジマン』の宇宙獣士ハウストがメフィラス星人を意識したキャラクターである(デザインは出渕裕)。また名称もメフィラス星人がメフィスト・フェレスから命名されたのに対して、こちらはファウスト博士から命名されている。
[編集] 関連項目
カテゴリ: ウルトラ怪獣 | 架空の地球外生命体 | ウルトラマンの登場怪獣