ウルトラマンゼアス
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『ウルトラマンゼアス』は、1996年、1997年に公開されたウルトラシリーズの特撮映画、または、その作品に登場するキャラクターの名前。
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[編集] 概要
ウルトラシリーズ誕生30周年を記念して制作された本作は、主役のヒーローであるウルトラマンゼアスに、協賛していた出光興産のガソリンブランド名「ゼアス」の名を冠し、当時出光のイメージキャラクターだったとんねるずも出演している。また、主演に本職の俳優どころか芸能人ですらない関口正晴(とんねるずのマネージャー)を起用し、過去のウルトラシリーズの出演者も多数カメオ出演、物語は全編に渡ってコメディ形式で進行するなど、一種の“お祭り映画”としての色彩が強い。しかしながら主人公=ウルトラマンを人間的な弱さや欠点を抱えた等身大の青年として描くなどの試みは新しく、「未熟なヒーローの成長物語」として芯の通ったストーリーなど、高く評価される面もある。
1997年には続編『ウルトラマンゼアス2 超人大戦・光と影』が公開された。本項ではそれぞれ「1作目」、「2作目」と呼称する。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ウルトラマンゼアス
Z95星雲"ピカリの国"出身のウルトラマン。地球をきれいにするためにやってきた、まだ半人前の戦士。初代ウルトラマンに憧れている。地球上では Mydo 見習い隊員(2作目では正隊員)朝日勝人として暮らしており、電動歯ブラシピカリブラッシャー(2作目ではピカリブラッシャー2)で変身する。
- 身長:60メートル
- 体重:5万4540トン
- 飛行速度:マッハ19.9
- 走行速度:マッハ5.55
- 水中速度:時速889キロ
- 潜地速度:マッハ1
- ジャンプ力:1000メートル
- 特徴:まだ半人前の戦士。自信を失うと弱くなる。1作品目では極度の潔癖症で、体が汚れると変身さえできなかったが、見事に克服した。2作目では自分の力を信じる事を知り、一人前と呼べるまでになった。
[編集] ウルトラマンゼアスの能力
- スペシュッシュラ光線
- 腕を十字に組んで放つ必殺光線。最初に赤い光線が発せられてレーザーサイトのごとく敵を捕捉し、それに沿って破壊光線が放たれる。初代ウルトラマンのスペシウム光線を参考に、鏡を見ながら練習したため、スペシウム光線とは左右逆の構えになっている。1作品目では練習段階であり、変な方向に飛んだり、岩壁に乱反射したりしていたが、後に自由に撃てるようになった。2作目においてはさらに洗練されて威力が上がっており、また、赤い光線が放たれずとも正確に放射できるようになっていた。ゼアスが自信を失うと威力が落ちる。
- クロス・スペシュッシュラ光線
- ウルトラマンシャドーとの最終決戦で、スペシュッシュラ光線と敵のシャドリウム光線のぶつかり合いになった際、世界中の人々の声援を受けたゼアスが編み出した新必殺光線。口を開いてかけ声を上げ、両腕をクロスに構え直して腕全体から放つ十字型の光線。スペシュッシュラ光線の10倍の威力を誇り、敵の出力最大シャドリウム光線を押し戻してシャドーを倒した。一人前に成長したゼアスに相応しい必殺光線だが、ゼアスが気合で生み出した偶然の産物であるため、今後も自由に撃てるのかどうかは不明。
- ウルトラワープビーム
- ゼアスの目から放つ、瞬間移動光線。影美道場にさらわれた人々を救出した。
- スーパーゼアスキック
- 高速スピンしながら敵に突進し、連続回し蹴りを決める。回転中はベンゼン星人の光線も弾き返し、ベンゼン星人とコッテンポッペをまとめて宇宙まで蹴り飛ばした。
- ウルトラかかと落とし
- 勝人が正道会館でかかと落としに目をつけ、角田師範から命じられた、木に吊るしたボール(地上より5mは上)を蹴る特訓を行った結果、編み出した必殺技。空中で敵の攻撃をかわし、その勢いでもって回転しながら急降下し、エネルギーを集中させて発光させた足でかかと落としを決める。作中ではウルトラマンシャドーの頭部にクリーンヒットさせ、大ダメージを与えた。別名:ゼアスヒールクラッシュ。
- ゼアスマシンガンキック
- 敵にストレートキックや延髄蹴り等、4種類のキックを連続で食らわす。
- ゼアスニーキック
- エネルギーを集中させて発光させた足で、敵に膝蹴りを食らわし、電流で追加ダメージを与える。
- ゼアス・フライングドロップキック
- 最高速度で飛来し、急降下しながら敵にドロップキックを食らわす。コッテンポッペの角を破壊した。
- ゼアシュトー
- 急降下しての脳天チョップ。ベンゼン星人に使用。
- ゼアスクロスVol1.0
- ジャンプして、空中で敵とすれ違いざまにチョップを食らわす。命中すると爆発が起こる。ベンゼン星人に使用。
- ゼアスKOパンチ
- 普通のパンチ。しかし、極めて正確にみぞおちをねらうため、威力は大きい。ウルトラマンシャドーに使用。もっとも、ロボットであるシャドーに食らわせたところで、威力が上がったのかは不明だが。
- 自動販売機を誤作動させる能力(名称不明による暫定的な呼称)
- 変身前の能力。勝人が缶ジュースの自動販売機の前でスペシュッシュラ光線の構えを取り、「シュワッチ」と叫ぶと、何故かお金を入れなくてもポカリスエットが1本出てきた。
- ゼアスキャン(本編未使用)
- 半径50キロ以内の地域を除菌する。いまだに使用された場面は見られないが、これの3倍の範囲に有効な「スーパーゼアスキャン」も開発中らしい。
- ウルトラリワインド(本編未使用)
- 少しだけ時間を戻す。
- ウルトラストレッチ(本編未使用)
- 一時的に時間の流れを遅くする。
- ウルトラブレンダー(本編未使用)
- 一時的に亜空間を作り出す。
- ゼアスカウンターブロー(本編未使用)
- 手にエネルギーをため、手の内側で水平チョップを放つ。
[編集] 超宇宙防衛機構Mydo
Mysterious Yonder Defence Organization。宇宙規模の防衛組織。アジア本部は東京都心のガソリンスタンドにカムフラージュしている。何度か近所の人間に怪しまれたことがあるがなんとか切り抜けている。ネーミングは出光の「Mydoカード」から。
- スカイフィッシュ
- Mydo の主力戦闘機。本部がカムフラージュしているガソリンスタンドの看板から発進する。黄色と水色という派手な配色のため、1作目ではレポーターに「悪趣味」と評された。2作目では同型で違う塗装(赤と銀色)の2号機が登場。この2号機のデザインはファンからの応募の中から決められた。
- スカイシャーク
- 2作目に登場した Mydo の戦闘母艦。高度な飛行技術と戦闘力を誇り、宇宙空間でも活動可能。かなりの火力を持っているはずだが、劇中ではゼットンが初代ウルトラマンを倒した際に使用した光線を、6000万アンペアの電流と2500万ガウスの電磁を交錯させる事で再現した「ゼットン光線砲」を装備していたのみであった(かなり強力な兵器であり、クリーンヒットすれば大ダメージは間違いなかったが、カラータイマーへの攻撃を見越していたシャドーに難なく跳ね返されて逆に喰らってしまい、墜落)。
- 大河内神平隊長、小中井仏吉副隊長
- Mydo アジア本部の指揮官。どこか間が抜けているように見えるが実力は確かで、隊員達は皆、2人を慕っている。2作目では出世し、本部へ異動となっていた。そのため、モニターで少し指示を出しただけで出番が終わった。
[編集] 登場怪獣
[編集] ベンゼン星人
1作目に登場。
- 別名:慢性ガス過多症宇宙人
- 身長:2~63メートル
- 体重:123キログラム~7万6千トン
地球上では「悪神亜久馬(おがみあくま)」という人間に変身している。狡猾な男でヘリコプターに変形する黒い車で暗躍する。最終決戦で変身巨大化、ゼアスと戦闘するがキックで大気圏外へ追放される。化学物質のベンゼンから名前がとられている。なお、本編未登場のベンゼン星として、ベンゼンの原子構造と同型に複数の惑星が連結したデザイン画が描かれている。
”破壊”にある意味異常な美学をもっており、たびたび「破壊こそ芸術の極致」などとつぶやいている。それ故に、ゼアスを”破壊”することにも異常な執念を注いでいる。
[編集] レディベンゼン星人
2作目に登場。
- 別名:妖艶宇宙女王
- 身長:1.8~59メートル
- 体重:90キログラム~4万9千トン
ベンゼン星人の妻。地球上では「影美」という女性に変身している。母星のベンゼン星人と通信しながら愛の交感をするなど打算的な面も見られ、カプセル怪獣の戦闘を無駄な闘いと評した。戦闘能力は未知数で、シャドーが撃破された際、ゼアスとは戦わずに、捨て台詞を残して帰ってしまった。
[編集] コッテンポッペ
1作目に登場。
- 別名:吸金爆獣
- 身長:71メートル
- 体重:9万7千トン
コッテンポッペと言う名称はビードロの音に似た咆哮から Mydo でつけられたもので、ベンゼン星人は「ゴルドルボムルス」と呼んでいた。金を食べる怪獣で、地中から世界中の金を融解して長い舌で飲みこんでおり、ウルトラマン地球来訪30周年記念の黄金のウルトラマン像や金閣寺の外装も食べた。全体が爆弾になっており迂闊な攻撃はできないため、ゼアスのニーキックを喰らって失神し宇宙空間まで運ばれた後スペシュッシュラ光線で爆破された。
[編集] ウルトラマンシャドー
2作目に登場。
- 別名:宇宙戦闘ロボット
- 身長:62メートル
- 体重:6万5千トン
- 飛行速度:マッハ21
- 走行速度:マッハ6
- 水中速度:マッハ1
- ジャンプ力:1200メートル
- 腕力:ミラクロンも片手で弾き飛ばす。
ウルトラマンゼアスの前に現れた黒いウルトラマン。その正体はレディベンゼン星人が作り上げた対ゼアス用ロボット。本物のウルトラマンではないので、時間制限は特に無い。大ダメージを受けると動けなくなるが、影美道場から発射されるリセットビームを受けると回復する。行動は本物のウルトラマンとおおむね似ているが、ウルトラマンが平手の部分(飛行時など)は、大抵拳を握っている。
[編集] ウルトラマンシャドーの能力
- シャドリウム光線
- 拳を握りしめ、腕をL字型に組んで放つ必殺光線。スペシュッシュラ光線と同等の威力がある。ウルトラマンゼアスとの最初の戦いでは、シャドーへの恐怖が芽生えたゼアスのスペシュッシュラ光線を押し戻してゼアスを倒した(恐怖が芽生えた事で威力が落ちていたため)。最終決戦では、スペシュッシュラ光線と互角の威力でぶつかり合い、影美が光線の出力を最大にしたために一度はスペシュッシュラ光線を押し戻すも、クロススペシュッシュラ光線で逆に押し返されて倒された。
- マインドコントロールビーム
- シャドーの目から放つ、洗脳光線。ゼアスの敗北で希望を失った人々を洗脳し、影美道場にさらっていった。洗脳された人々を引きとめようとすると、電流で弾き飛ばされる。希望を失っていない人々にはきかない。
- シャドーメリケンパンチ
- 両手にシャドーメリケンを出現させ、敵の顔面にパンチを食らわす。左右交互に繰り出す事で連打可能。ゼアスとの最初の戦いでは、この技でゼアスの片目を傷つけ、ゼアスの心に恐怖を植えつけ、それによって勝利をもぎ取る。しかし最終決戦では、前回を上回る勢いでラッシュを繰り出したものの、自分の力を信じる心を得たゼアスに全て難なくかわされた。
- シャドーメリケンミサイル
- シャドーメリケンから連射する小型ミサイル。装弾数は800発。
- 防御シールド
- カラータイマーに装備されているシールド。カラータイマーが狙われると自動的に出現し、カラータイマーを守る。カラータイマー目掛けて放たれた、スカイシャークのゼットン光線をも反射した。
- シャドーハイパーキック
- 強力な回し蹴り。他にも、膝蹴りや急降下キック、蹴り上げ等のキック技が得意。
[編集] ダークラー
2作目に登場。
- 別名:Sカプセル怪獣
- 身長:ミクロ~66メートル
- 体重:7万4千トン(最大時)
レディベンゼン星人のカプセル怪獣で、ゼアスのミラクロンに対抗してシャドーが出した。ベンゼン星に住む怪獣クラオスをレディベンゼン星人が改造し、純金製のトゲ付きプロテクターで強化したもの。腹が弱点だが、プロテクターでカバーしている。武器は角から放つクラクラビームである。かなり凶悪そうな顔をしており、名前の由来は「凶悪」から来ている。頭上からでてきてミラクロンをビルに激突させた。クラクラビームでミラクロンを苦戦させるが、ミラクロンの念力光線・ミラクロンエレキネシスで吹っ飛ばされて元に戻された。ウルトラマンゼアスとは戦わなかった。
[編集] ミラクロン
2作目に登場。
- 別名:Zカプセル怪獣
- 身長:ミクロ~58メートル
- 体重:7万トン(最大時)
ウルトラマンゼアスの父がくれたカプセル怪獣で、ウルトラマンシャドーに敗れ戦意喪失したゼアスが出した。名前、容姿共に、あのミクラスにどこか似ている。頭上からでてきたダークラーにビルに激突させられ、クラクラ光線を当てられ苦戦するが、最後は念力光線・ミラクロンエレキネシスでダークラーを吹っ飛ばして倒す等、マヌケな顔をしている割には強い。しかし、シャドーと戦ったときにはかなわず片手で受け止められた。最後はシャドーのパンチで吹っ飛ばされたために元に戻された。
[編集] デジタルカネゴン
2作目に登場。
- 別名:宇宙カード珍獣
※詳しくはカネゴンの項目を参照。
[編集] 1作目
[編集] 興行
- 公開日:1996年3月9日
- 興行系列:松竹
- 同時上映作品
- 『甦れ!ウルトラマン』
- 『ウルトラマンカンパニー』
- 興行全体は『ウルトラマン ワンダフルワールド』と称された。
[編集] スタッフ
中島はCMディレクターとして知られており、本作に起用され話題となった。
[編集] 出演
- MYDO
- ベンゼン星人側
- 悪神亜久馬:鹿賀丈史
- ゲスト出演
- スーツアクター
- ウルトラマンゼアス:長谷川恵司
- ベンゼン星人:岡野弘之
- コッテンポッペ:三宅敏夫
[編集] 2作目
[編集] 興行
- 公開日:1997年4月12日
- 興行系列:松竹
- 同時上映作品
[編集] スタッフ
- 監督、特技監督:小中和哉
- 脚本:斎藤和典
- 音楽:ジェイムス下地
[編集] 出演
- MYDO新隊員
- ゲスト出演
[編集] 主題歌
- シュワッチ!ウルトラマンゼアス
- 作詞:じんましんや/作曲:ジェイムス下地/歌:とんねるず
2作とも同じ歌が使用された。公開当時は出光のキャンペーン特典及び劇場前売り券の購入特典として配布された非売品「ウルトラまいどCD」にしか収録されておらず、2006年12月27日発売の「ウルトラマンシリーズ生誕40周年記念 ウルトラマン 主題歌大全集」が初の市販化となった。
[編集] 関連項目
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