ヤドクガエル
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?ヤドクガエル科 Dendrobatidae | ||||||||||||||
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アイゾメヤドクガエル Dendrobates tinctorius 神戸市立須磨海浜水族園アマゾン館での展示 |
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分類 | ||||||||||||||
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ヤドクガエル(矢毒蛙)は、ヤドクガエル科(Dendrobatidae)に属するカエルの総称。
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[編集] 分布
[編集] 生態
低地の熱帯雨林から高山の雲霧林まで多くの種類が産する。体長は数cmほどの小型のカエルだが、皮膚に毒をもつ。派手な色彩の体色をもつことでも知られており、これは毒をもつことを周囲の動物に知らせる警戒色と考えられている。
また、同じヤドクガエル科でも、種類によって繁殖形態が多様化しているのも特徴である。ふつうのカエルのように水たまり、沼、川などに産卵するものもいるが、木のうろや着生植物の葉の間などのわずかな水に産卵するものもいる。このような狭い水環境では幼生(オタマジャクシ)の食べる餌にも事欠いてしまうが、幼生が餌を摂らずにカエルまで成長するもの、メスが産む無精卵を食べて成長するもの、親が卵や幼生を背負って適した水場まで移動するものなど、幼生を成長させるための様々な適応が見られる。
[編集] 毒
ヤドクガエルの毒はアリを捕食する際に取り入れられるもので、毒を持った餌を与えない養殖個体には毒がない。
毒はアルカロイド系の神経毒で、20μgで人間の大人を死に至らしめるという、生物が持つ毒ではパリトキシンに次いで危険とされるバトラコトキシンのほか、ヒストリオニコトキシン、プミリオトキシンなどを持つものがある。
特にバトラコトキシンを備えるフキヤガエル属の3種は最も危険とされ、モウドクフキヤガエル Phyllobates terribilis(皮膚に絶えず毒素を分泌していおり、触ることも危険)、ココエフキヤガエル(ココイヤドクガエル) Phyllobates aurotaenia、アシグロフキヤガエル(ヒイロフキヤガエル) Phyllobates bicolorはこの順に毒が強く、命に関わることもある。ただしこれ以外の種ではそこまで強い毒を持つものは少なく、毒がないものもある。
1990年に、ニューギニア島に生息するピトフーイ(ズグロモリモズ)という鳥類の皮膚にもバトラコトキシンが含まれていることが明らかになった。この鳥類の毒もヤドクガエル類のものと同様捕食物に関係があるのではないかと考えられている。
[編集] 分類
9属200種以上が知られている。
- Allobates属
- Aromobates属
- コオイガエル属 Colostethus
- Cryptophyllobates属
- ヤドクガエル属 Dendrobates
- Epipedobates属
- Minyobates属
- Mannophryne属
- フキヤガエル属 Phyllobates
[編集] 人間との関係
かつて先住民がフキヤガエル属の内、数種からの毒を抽出し吹き矢に塗って狩猟等に用いたことが名前の由来。
毒があり飼育自体も難しいので、ペットとしては敬遠されていた。しかし毒のない養殖個体が出回り始め、派手な体色から、ペットとしてのヤドクガエルの人気が高まっている。飼育方法としては観葉植物や苔を植え込んだテラリウムを維持するといったもので生物を飼育するより、生物が生息する環境を飼育するといった感に近いものがある。縄張り意識が強い種もいるためカエルの大きさや数に対して大型のケージが必要。(体長6cm以下のカエルのペアに対して60cm規格水槽等)
ただし、ヤドクガエル属とフキヤガエル属は全種がワシントン条約付属書IIに指定されている。
[編集] 関連項目
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