リアエンジン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
リアエンジンとは、自動車の乗車スペースの後方にエンジンを搭載する形式のことである。通常ミッドシップよりもさらに後方、後輪車軸上もしくはその後方に搭載しているものを指す。航空機が機体の後部にエンジンを搭載するものも、リアエンジン方式といえる。
かつては小型から大型までの乗用車に用いられたが、2005年現在では一部のスポーツカーや商用車、バス等に用いられるのみであり、乗用車としてのリアエンジン車は少ない。小型のものではスバル360、大型のものではタトラ等が存在した。小型車ではFF車に、大型車ではFR車に取って代わられた。
後輪駆動の自動車では、エンジンの自重を駆動輪(軸)に掛けることができるため牽引力(トラクション)は向上するものの、運動性でミッドシップエンジン車やフロントエンジン車に、安定性ではフロントエンジン車に劣ること、また、排気管長やマフラー容量が十分に取れないため、出力の面でも不利となること等、大きなデメリットも生じる。
[編集] リアエンジン乗用車の歴史
- 1898年 米国ウィントン・モーター・キャリッジ・カンパニーが最初に販売した車
- 1901年 米国オールズ モーター ワークス オールズモビル カーブドダッシュ
- 1934年-1938年 タトラ T77(試作車は1933年)
- 1935年 メルセデス・ベンツ 170H
- 1937年-1950年 タトラ T87(試作車は1936年)
- 1938年 タトラ T97(試作車のみ。ナチスドイツの命により生産を中止)
- 1938年-2003年 Kdf、後のVWビートル
- 1946年-1961年 ルノー 4CV
- 1947年-1952年 タトラ T600 タトラプラン(1951年・1952年はシュコダ製)
- 1948年タッカー
- 1948年-1965年 ポルシェ 356(試作車は1947年)
- 1950年-1992年 VWトランスポーター T1、T2、T3
- 1953年-1962年 日野 ルノー(PA62)
- 1955年-1969年 フィアット600
- 1955年-1968年 ルノー ドーフィン
- 1956年-1969年 フィアット ムルティプラ
- 1957年-1963年 アルピ-ヌ A106
- 1957年-1975年 タトラ T603(試作車は1955年)
- 1958年 スバル360発売。
- 1958年 シボレー・コルベア:1960年代にラルフ・ネーダーによる消費者運動の標的となる
- 1958年-1962年 NSU プリンツ(I、Ⅱ、Ⅲ、30含む)
- 1959年-1965年 BMW 700 (E107) (カブリオ・E110とクーペ・E119は1959年-1964年)
- 1959年-1968年 ルノー フロリド/カラベル
- 1960年-1963年 アルピ-ヌ A108
- 1960年-1966年 マツダ マツダ・R360クーペ(身障者用は1969年まで)
- 1961年-1968年 アンフィカー
- 1961年-1978年 シムカ 1000 (クーペは1961年-1966年)
- 1961年-1964年 NSU プリンツ4(en)、プリンツ4(de)
- 1961年 コンテッサ900
- 1962年-1977年 アルピ-ヌ A110
- 1962年-1972年 ルノー 8
- 1962年-1970年 マツダ・キャロル
- 1963年-1970年 アルピ-ヌ Gt4
- 1963年-1976年 ヒルマン インプ
- 1964年-1969年 シュコダ 1000MB / 1100MB
- 1964年-1974年 NSU 1000
- 1964年- 生産中 ポルシェ 911(901、911、930、964、993、996、997を含む)
- 1964年 日野・コンテッサ1300
- 1964年-1974年 フィアット 850 (スパイダーは1964年-1967年)
- 1965年-1971年 ルノー 10
- 1965年-1975年 ポルシェ 912
- 1966年-1974年 シムカ CG
- 1974年-1991年 タトラ T613(試作車は1968年)
- 1997年-1998年 タトラ T700 最後のタトラ製リアエンジン乗用車
[編集] 主なリアエンジン車
★印は4WDの設定がある。
[編集] 参考文献
鈴木孝著「エンジンのロマン」
カテゴリ: 自動車のエンジン | 自動車のレイアウト | 自動車関連のスタブ項目