八ヶ岳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
八ヶ岳の領域の定義は幾つか説があり、場合により使い分けられる。
八ヶ岳 | |
---|---|
![]() 八ヶ岳 釜無川の開国橋上から望む |
|
標高 | 2,899 m |
位置 | 北緯35度58分東経138度22分 |
所在地 | 長野県・山梨県 |
山系 | -- |
種類 | 山塊 |
初登頂 | -- |
八ヶ岳(やつがたけ、八ケ岳とも表記される)は、長野県の諏訪地域と佐久地域および山梨県の境にある山塊。南北30km余りの山体で、大火山群である。日本百名山の一つ。
目次 |
[編集] 概要
赤岳を最高峰に横岳などで構成。その山容は、夏沢鉱泉と本沢温泉を結ぶ夏沢峠を境界として、北八ヶ岳と南八ヶ岳に大きく分けられる。北八ヶ岳の方は、樹林帯が山稜近くまで続き、また比較的なだらかな峰が多く、湖沼も点在する。それに対して南八ヶ岳は、主峰の赤岳をはじめ、横岳・硫黄岳・阿弥陀岳の鋭い峰々や、横岳西面の大同心・小同心に代表される岩峰群などがあり、急峻な地形となっている。このため、日本有数のロック・クライミングの岩場があることとして知られ、また冬場は氷瀑のアイス・クライミングでも知られる岩稜が中心となっている。このように、南北の山容は対照的である。なお、狭義では南八ヶ岳のみを八ヶ岳と言うことがある。日本百名山の八ヶ岳とはこの狭義の山域を指す。八ヶ岳連峰では他に蓼科山も日本百名山に選ばれている。
この一帯は、火山地帯のため、多くの温泉を有している。火山としての八ヶ岳は歴史時代、確実な噴火記録は残っていないが、888年に北八ヶ岳の天狗岳が大崩壊を起こし、その結果、松原湖などの湖が誕生したことがほぼ確実視されている。大崩壊の原因は噴火とも地震とも言われているが、地震、噴火とも今もって全く証拠が見つからず、大きな謎になっている。
東側の広大なすそ野は清里や野辺山高原などで知られ、西南側は富士見高原などがある。夏の冷涼な気候を利用してレタスなどの野菜の栽培が行われている。
八ヶ岳の周辺部、特に西南側のすそ野では、縄文時代の遺跡(井戸尻遺跡、尖石遺跡など)が数多く発見されていることでも知られている。
[編集] 主な山・峠
[編集] 南八ヶ岳
- 編笠山 (2524m)
- 西岳 (2398m)
- 権現岳 (2715m)
- 赤岳 (2899m) - 最高峰。
- 阿弥陀岳 (2805m)
- 横岳 (2829m)
- 峰の松目 (2567m)
- 硫黄岳 (2760m)
- 夏沢峠 - 南八ヶ岳・北八ヶ岳の境界とされる。
[編集] 北八ヶ岳
- 箕冠山 (2590m)
- 根石岳 (2603m)
- 天狗岳 (2646m)
- 中山 (2496m)
- 丸山 (2330m)
- 麦草峠 - 国道299号が通過。
- 茶臼山 (2384m)
- 縞枯山 (2403m)
- 北横岳(横岳) (2480m)
- 大岳 (2381m)
- 双子山 (2224m)
- 大河原峠
- 蓼科山 (2530m)
- 八子ヶ峰 (1833m)
[編集] 動植物
植生は、海抜1700-800m以下が落葉広葉樹林、海抜約2500m以下が亜高山帯針葉樹林、それ以上がハイマツ帯となっている。西岳の海抜1700m付近の一角には、希少種のヤツガタケトウヒが自生している。かつては生息していたライチョウは、ハイマツの減少や登山客によるゴミの放置によるキツネなど肉食獣の増加により、八ヶ岳一帯では絶滅したものと見られている。
[編集] 神話
八ヶ岳には「富士山と背比べをして勝利、しかし富士山に蹴り飛ばされて八つの峰になった」という神話がある(「蹴り飛ばされた」の部分はその他にも説がある。例えば、背比べの際に用いた筒、すなわち富士山と八ヶ岳との間にかけて水を流し、どちらに流れるかを調べるのに用いた筒、を持って富士山が八ヶ岳を叩いたなど)。また、同神話では蓼科山は八ヶ岳の妹で、八つの峰になった八ヶ岳を見て泣いて、それが川になり溜まったのが諏訪湖とされている。
[編集] 主な山小屋
- 赤岳頂上小屋
- 赤岳天望荘
- 硫黄岳山荘
- 赤岳鉱泉
- 本沢温泉