河合隼雄
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河合 隼雄(かわい はやお、Hayao KAWAI、1928年6月23日 - )は、兵庫県多紀郡篠山町(現篠山市)出身の男性心理学者、心理療法家。専門は分析心理学、臨床心理学。2000年文化功労者。平城遷都1300年記念事業特別顧問。
分析心理学(ユング心理学)を日本に紹介した学者として知られ、以来、日本におけるユング心理学の第一人者とされる。
1952年、京都大学理学部を卒業後、数学の高校教諭として働く。その後、京都大学大学院で心理学を学び、1959年にフルブライト奨学生としてカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)へ留学し、クロッパー教授やシュピーゲルマン(Spiegelman JH)の指導を受ける。河合は彼にスイスのチューリッヒで心理学を学ぶ事を勧められる。
その後、1962年から1965年までスイスに渡り、ユング研究所(Jung Institut Zuerich)で日本人として初めてユング派分析家の資格を得る。その際、マイヤー(Meier CA)に師事。帰国後、1972年から1992年まで京都大学教育学部HP・教育学研究科で教鞭を取る。退官後、プリンストン大学客員研究員、国際日本文化研究センター所長を歴任する。
河合は、箱庭療法(Sandplay Therapy, Sandspiel Therapie)を日本へ紹介し、臨床場面で幅広く使用される契機を作った。河合は非言語的な表現が多い日本人に向いていると考えていたという。その後、日本箱庭療法学会の設立に携わる。又、1985年に国際箱庭療法学会が設立され、河合はその後、日本心理臨床学会を設立し、同理事長に就任。日本臨床心理士会会長も務める。
2002年1月18日より文化庁長官に就任。民間人(非官僚)の起用は今日出海、三浦朱門に続き17年ぶり3人目となった。2年の任期が終了した後も、お得意の駄洒落で盛り上げる講演会をするなど、文化庁の知名度向上に貢献した手腕を買われ、2度にわたって留任を要請され、2006年10月31日まで4年勤めた。同年11月1日病気療養のため休職。
霊長類学者で京大霊長類研所長等を務めた河合雅雄は兄。弟に精神科医で京都大学医学部助教授等を務めた河合逸雄がいる。ユング心理学研究者で京都大学教育学部教授の河合俊雄、法社会学者で桐蔭横浜大学法学部教授の河合幹雄は息子。工学者で京都大学国際融合創造センター非常勤研究員を務めた河合一穂は甥。
2006年8月17日午前、奈良市内の自宅で脳梗塞の発作で倒れ緊急手術を受ける。
2007年1月17日付けで文化庁長官としての任期は満了した。
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[編集] 心理療法への貢献(箱庭療法)
河合は、スイスのドラ・カルフが幼児や精神障害(疾患)の患者へのセラピーとして用いた箱庭療法(Sandplay Therapy, Sandspiel Therapie)日本へ紹介し、臨床場面で幅広く使用される契機を作った。河合は非言語的な表現が多い日本人に向いていると考えていたという。その後、日本箱庭療法学会の設立に携わる。又、1985年に国際箱庭療法学会が設立され、河合はその創設メンバーであった。
精神科医で風景構成法を考案した中井久夫(神戸大学名誉教授)は、東京で河合の箱庭に関する発表を聞き、箱庭に枠が使用されている点に注目した。そして、患者が箱庭の「枠」がある為に、箱庭による自己表現が可能であり、治療効果がある事に気づき、自身の風景構成法の「枠付け法」に応用した中井や山中康裕などの医療系の精神科医が、箱庭療法を病院に導入した為、箱庭が教育現場だけでなく、病院臨床でも使用される契機となる。
[編集] 学歴
[編集] 職歴
- 1952年 - 天理高校教諭(数学担当)。
- 1955年 - 天理大学講師。
- 1969年 - 同教授。
- 1972年 - 京都大学教育学部助教授。
- 1975年 - 同教授。
- 1980年 - 同学部長。
- 1990年 - 国際日本文化研究センター教授兼任。
- 1992年 - 京都大学名誉教授(定年退官)。
- 1994年 - 国際日本文化研究センター名誉教授。
- 1995年 - 国際日本文化研究センター所長(2001年まで)。
- 2002年 - 第16代文化庁長官。
- 2006年 - 文化庁長官を離任。
- 2007年 - 文化庁長官を任期満了に伴い退職。
[編集] 受賞歴
[編集] 著書
[編集] 単著
- 『ユング心理学入門』(培風館)
- 『コンプレックス』(岩波新書・岩波書店)
- 『無意識の構造』(中公新書・中央公論新社)
- 『影の現象学』(思索社)
- 『母性社会日本の病理』(中央公論新社)
- 『中空構造日本の深層』(中央公論新社)
- 『昔話と日本人の心』(岩波書店)
- 『明恵 夢を生きる』(京都松柏社)
- 『子どもの宇宙』(岩波新書・岩波書店)
- 『とりかえばや男と女』(新潮社)
- 『こころの処方箋』(新潮社)
- 『イメージの心理学』(青土社)
- 『心理療法序説』(岩波書店)
- 『対話する人間』(潮出版社)
- 『対話する生と死』(潮出版社)
- 『中年クライシス』(朝日新聞社)
- 『河合隼雄著作集・第一期』(岩波書店・全14巻)
- 『おはなしおはなし』(朝日新聞社)
- 『ユング心理学と仏教』(岩波書店)
- 『物語とふしぎ』(岩波書店)
- 『子どもと悪』(岩波書店)
- 『日本人という病』(潮出版社)
- 『日本人の心のゆくえ』(岩波書店)
- 『日本文化のゆくえ』(岩波書店)
- 『日本人とアイデンティティ -心理療法家の着想-』(講談社+α文庫)
- 『こころと人生』(創元社)
- 『平成ふしぎ話』(潮出版社)
- 『おはなしの知恵』(朝日新聞社)
- 『猫だましい』(新潮社)
- 『人の心はどこまでわかるか』(講談社+α新書・講談社)
- 『紫マンダラ』(小学館)
- 『物語を生きる』(小学館)
- 『河合隼雄著作集・第二期』(岩波書店・全11巻)
- 『「出会い」の不思議』(創元社)
- 『より道 わき道 散歩道』(創元社)
- 『ナバホへの旅 たましいの風景』(朝日新聞社)
- 『心理療法入門』(岩波書店)
- 『臨床心理学ノート』(金剛出版)
- 『縦糸横糸』(新潮社)
- 『神話と日本人の心』(岩波書店)
- 『カウンセリングと人間性』(創元社)
- 『ケルト巡り』(日本放送出版協会)
- 『ココロの止まり木』(朝日新聞社)
- 『深層意識への道』(岩波書店)
- 『父親の力 母親の力』(講談社+α新書・講談社)
- 『大人の友情』(朝日新聞社)
- 『過保護なくして親離れはない』(五月書房)
- 『心の扉を開く』(岩波書店)
- 『神話の心理学』(大和書房)
- 『未来への記憶 上 自伝の試み』 (岩波新書)(上巻は幼少期から心理学との出会い)
- 『未来への記憶 下 自伝の試み』 (岩波新書)(下巻は米国留学&ユング研究所で分析家の資格を取得するまでが記されている)
- 『Q&A こころの子育て』(朝日新聞社)
[編集] 共著
- (谷川俊太郎)『魂にメスはいらない』(朝日出版社)
- (中村雄二郎)『トポスの知』(TBSブリタニカ)
- (湯浅泰雄、吉田敦彦)『日本神話の思想』(ミネルヴァ書房)
- (鶴見俊輔)『時代を読む』(潮出版社)
- (中西進、山田慶児)『むかし琵琶湖で鯨が捕れた』(潮出版社)
- (杉本秀太郎、山折哲雄、山田慶児)『洛中巻談』(潮出版社)
- (大江健三郎、谷川俊太郎)『日本語と日本人の心』(岩波書店)
- (村上春樹)『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』(新潮社)
- (長田弘)『子どもの本の森へ』(岩波書店)
- (中沢新一)『ブッダの夢』(朝日新聞社)
- (杉本秀太郎、山折哲雄、山田慶児)『先端科学の現在』(潮出版社)
- (梅原猛、松井孝典)『いま、いのちを考える』(岩波書店)
- (山田太一、谷川俊太郎)『家族はどこにいくのか』(岩波書店)
- (小林康夫、中沢新一、田坂広志)『こころの生態系』(講談社+α新書・講談社)
- (松居直、柳田邦男)『絵本の力』(岩波書店)
- (阪田寛夫、谷川俊太郎、池田直樹)『声の力』(岩波書店)
- (加賀乙彦、山折哲雄、合庭惇)『宗教を知る人間を知る』(講談社)
- (白洲正子)『縁は異なもの』(河出書房新社)
- (石井米雄)『日本人とコミュニケーション』(講談社+α新書・講談社)
- (柳田邦男)『心の深みへ』(講談社)
- (鷲田清一)『臨床とことば』(阪急コミュニケーションズ)
- (中沢新一)『仏教が好き!』(朝日新聞社)
- (工藤直子、佐伯胖、森毅)『学ぶ力』(岩波書店)
- (中川牧三)『101歳の人生を聞く』(講談社)
- (谷川浩司)『無為の力』(PHP研究所)
- (養老孟司、筒井康隆)『笑いの力』(岩波書店)
- (鎌田東二、山折哲雄、橋本武人)『日本の精神性と宗教』(創元社)
- (立花隆、谷川俊太郎)『読む力聴く力』(岩波書店)
[編集] 英書
Hayao Kawai,The Japanese Psyche: Major Motifs in the Fairy Tales of Japan,Spring Publications,1961
Hayao Kawai,Dreams, Myths and Fairy Tales in Japan (Paperback),Daimon, 1995
Hayao Kawai,The Buddhist Priest Myoe: A Life of Dreams, Lapis Press,1991 Hayao Kawai, Buddhism and the Art of Psychotherapy (Carolyn and Ernest Fay Series in Analytical Psychology), Texas A&M University Press, 1996
Hayao Kawai,Robert N,Bellah(共著),National Values and International Differences; Moral Visions in Japan and the U.S,(Mansfield American-Pacific Lectures), University of Montana Mansfield,1995
Kawai Hayao,The Hidden Gods in Japanese Mythology, Eranos 54-1985 (Frankfurt am Main: Insel Verlag, 1987), 397-426
[編集] 独書
Hayao Kawai,Myoes Traumchronik.Wie Myoe seine Traeume lebte,Daimon Verlag,2001
Hayao Kawai, Harmonie im Widerspruch. Die Fraum im japanischen Maerchen,Daimon Verlag,2003
Hayao Kawai, Die Frauen um Prinz Genji. Eine japanische Geschichte voller Weisheit,Daimon Verlag,2003