国鉄ヨ8000形貨車
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ヨ8000形は、日本国有鉄道(国鉄)が1974年(昭和49年)から1979年(昭和54年)までに製造した事業用貨車(車掌車)である。
[編集] 車両の概要
従来から使用されてきたヨ5000形やヨ6000形の補充や、それ以前の雑多な緩急車などの置き換え用として、総数1168両が製造された。
一般用途の車掌車としてはヨ6000形以来の製造となり、コキフ10000形やコキフ50000形で採用された「車掌室ユニット」を2軸車の台枠に載せた構造である。これにより性能や外観が従来の車掌車から大幅に変化し、車掌車としては初めて便所も設置された。最高速度85km/hの走行性能をもつ。
製造初期の車両は最高速度65km/hの車掌車・緩急車が多数残存していた北海道に集中投入され、当該車両は寒冷対策として2重窓とされている。
[編集] 現状
1986年(昭和61年)の緩急車連結廃止により通常の貨物列車に使用されなくなったため、大半が余剰になり廃車になったが一部は残され、1987年(昭和62年)の国鉄分割民営化後はJR各社に継承された。会社ごとの継承両数は、北海道旅客鉄道(JR北海道)が36両、東日本旅客鉄道(JR東日本)が55両、東海旅客鉄道(JR東海)が23両、西日本旅客鉄道(JR西日本)が4両、四国旅客鉄道(JR四国)が4両、九州旅客鉄道(JR九州)が16両、日本貨物鉄道(JR貨物)が148両の計336両であった。
鉄道車両の甲種輸送や大物車による特大貨物列車への係員添乗用や工事用など特殊用途で、わずかながら現在でも使用されている。また、特殊用途の改造車としては、1987年にJR九州において、当時は非電化であった豊肥本線水前寺への電車特急「有明」乗入れ用の電源車として2両が改造され、28000番台(28001,28002)とされたほか、JR貨物においては日豊本線の貨物支線である小波瀬西工大前~苅田港間の貨物列車推進運転用に1両が改造され、38000番台(38001)に改められた。
2006年4月1日時点の在籍数は、JR東日本に2両、JR西日本に3両、JR九州に1両、JR貨物25両の計31両である。