国会 (日本)
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日本の統治機構 | ||
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日本国憲法 | ||
天皇 | ||
立法 | 行政 | 司法 |
国会 ・衆議院 ・参議院 |
内閣 ・内閣総理大臣 ・国務大臣 ・行政機関 |
裁判所 ・日本の裁判所 ・最高裁判所 ・下級裁判所 |
地方自治 | ||
地方公共団体 ・地方議会 |
・首長 |
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国民(主権者) | ||
・日本の選挙 | ・日本の政党 |
日本国憲法において、国権の最高機関であり、かつ、国の唯一の立法機関と位置づけられている(日本国憲法第41条)。
国会の議事に用いられる国会議事堂の所在地は、東京都千代田区永田町1丁目7番1号。
目次 |
[編集] 沿革
- 1874年 - 板垣退助らが、民撰議院設立建白書を提出。
- 1881年 - 国会開設の詔。政府が10年後の議会創立を約束。
- 1889年 - 大日本帝国憲法公布。貴族院・衆議院の両院からなる帝国議会を規定する。
- 1890年 - 第1回帝国議会開会。
- 1936年 - 永田町に帝国議会議事堂(現国会議事堂)が竣工。
- 1947年 - 日本国憲法施行。国権の最高機関として衆議院・参議院の両院からなる国会を設置。第1回国会開会。
[編集] 構成と組織
国会は、衆議院と参議院によって構成される。両議院とも、主権者である国民の選挙によって選ばれた国会議員(衆議院議員480人、参議院議員242人)によって構成される、民選議院型の両院制である(衆議院は下院、参議院は上院に相当する)。
両議院を補佐する機関として、各議院に事務局と法制局が置かれ、また議院に直属しない補佐機関として国立国会図書館がある。このほか、日本国憲法に定める国会による裁判官の弾劾を行うため、裁判官訴追委員会と裁判官弾劾裁判所が置かれている。
[編集] 運営
[編集] 会期
国会は、会期の間だけ活動する。ただし委員会は、閉会前に手続きを取ることにより、閉会中も審査を行うことができる。
- 常会(通常国会)
- 毎年1回、1月中に召集。会期150日(延長は1回のみ可能)
- 臨時会(臨時国会)
- 特別会(特別国会)
- 衆議院の解散から特別会までの期間に緊急の議決事案が生じた場合は、参議院において開くことができる。緊急集会の議決は、国会の議決として効力を生ずるが、あくまで臨時のものであり、事後に衆議院の同意が得られない場合は、将来に向かって効力を失う。
[編集] 委員会
帝国議会時代の議案審議が本会議中心であったのに対して、戦後国会はアメリカ連邦議会に範をとって国会審議は、委員会を中心に行われている。
各議院の委員会には、常設の常任委員会と、案件ごとに各議院が必要に応じて設けることが可能な特別委員会の2種類がある。
また、具体的な議案の付託を待たずに、じっくりとした調査を行うため「調査会」が幾つか設けられている。(国会法では「第5章の2 参議院の調査会」と「第11章の2 憲法調査会」を分けているので、上記組織図でも分けた)
- 常任委員会の例 - 予算委員会
- 特別委員会の例 - イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会(参議院)
- 参議院の調査会の例 - 共生社会に関する調査会
[編集] 常任委員会
- 内閣委員会
- 総務委員会
- 法務委員会
- 外務委員会(衆院のみ)
- 安全保障委員会(衆院のみ)
- 外交防衛委員会(参院のみ)
- 財務金融委員会(衆院のみ)
- 財政金融委員会(参院のみ)
- 文部科学委員会(衆院のみ)
- 文教科学委員会(参院のみ)
- 厚生労働委員会
- 農林水産委員会
- 経済産業委員会
- 国土交通委員会
- 環境委員会
- 国家基本政策委員会
- 予算委員会
- 決算行政監視委員会(衆院のみ)
- 決算委員会(参院のみ)
- 行政監視委員会(参院のみ)
- 議院運営委員会
- 懲罰委員会
[編集] 議院組織
[編集] 議事手続
- 方法
- 定足数(審議・議決に必要な出席者数)
- 表決数(意思決定に必要な賛成表決数)
- 公開の原則・記録の公表
- 本会議(憲法第57条)
- 両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
- 両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
- 出席議員の5分の1以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。
- 委員会は原則非公開。議員のみが傍聴可能。但し、報道関係者などで委員長の許可を受けた者は傍聴可能。(国会法52条)
- 本会議(憲法第57条)
[編集] 権限
[編集] 立法
国の唯一の立法機関であるため、憲法上の人権に関する条文などで見られる「法律の定めるところにより」「法律の定める手続によらなければ」とある場合には、国会のみが具体的な条件・詳細な規定等を定めることができる。なお、立法府としての国会がその判断において、実施細則、具体的な基準等についての決定を行政府たる内閣等に委任することはできる。ただし、この場合でも一定の制約を付することが必要とされる。
憲法は、所定の憲法改正手続を経なければ、国会だけの判断により改正することはできないが、その憲法の範囲内において、立法をなすことができるのは国会だけであり、行政府の活動については法律に従ってなされる必要があるから、行政の活動は、当然に国会の意思に縛られることになる。日本では議院内閣制をとっていることから、通常は、国会の意思と行政府を指揮する内閣の意思とは一致する傾向にある。
裁判官は法律に拘束される(憲法第76条第3項)。憲法に違反する場合には、裁判所が違憲立法審査権を行使して当該法律の無効と判断することはあるものの、法律を制定する国会の意思は、裁判を通して日本国の全てに及ぶものといえる。
[編集] 行政との関係
- 憲法は内閣に対して「行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ」(第66条第3項)と定める。仮に法律に直接根拠がない行政を何らかの必要上することがあっても(外交折衝等が好例である)、国会の意思を尊重しなければならないし、しない場合には覚悟が必要だということである。その担保として憲法は第69条で、不信任決議に対する総辞職義務を内閣に課しているのである。
- ここで注意すべきは、不信任という強権発動による内閣監督義務を、憲法は衆議院に課していること、そしてまた総辞職義務は衆議院が解散された時は一時的に免れるということである。こうして事実上、衆議院と内閣の関係を密接、殊によると融合せしめている点が重要である。
- 無論、不信任決議は最強力の責任追及手段であり、両院ともその他に質問権・大臣の出席要求権や国政調査権を持っている。
- 立法に関しても、議院内閣制では議員立法ではなく、内閣が施政方針に基づいて作成・提出した法案が中心になり、それらの重要法案を成立させるかどうかが内閣の信任・不信任と同じ意味を持つ。2005年の郵政民営化法案否決にともなう郵政解散が一例である。
- 予算承認
- 予算の法的性質を巡っては諸説あるが、少なくとも行政に対する国会からの統制となることは疑いない。日本の憲法上は、法律制定による行政統制と見る必要は特になく、行政過程への介入による統制と見ても、国会の予算修正権等、一向に問題はない。予算否決という強権は、日本国憲法では事実上衆議院のみに認めているが、参議院の自然成立前に予算が執行される場合は、暫定予算を衆参で議決する必要がある。
- 条約
- 国政調査権
- 国政調査権
- 必ずしも行政機関のみに限らず、公私の諸団体・個人にも及び。
[編集] 司法との関係
- 弾劾裁判所の設置
[編集] 議院の自律権
- 議員の資格争訟の裁判権(憲法第55条)
- 出席議員の3分の2以上の多数による議決で議員の議席を失わせることができる。議員に就任した後に議員資格を有するか否かを判断する権限が各議院に付与されている。
- 役員選任権(憲法第58条第1項)
- 規則制定権(憲法58条2項前段)
- 議員に対する懲罰権(憲法58条2項後段)
- 院内の事項に限られ、院外については及ばない。議員を除名するには出席議員の3分の2以上の多数による賛成が必要
[編集] 衆議院の優越
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 衆議院(公式サイト)
- 参議院(公式サイト)
- 国会会議録検索システム(公式サイト)
- 国会審議の活性化及び政治主導の政策決定システムの確立に関する法律(法令データ提供システム)