地球防衛企業ダイ・ガード
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『地球防衛企業 ダイ・ガード』(ちきゅうぼうえいきぎょう ダイ・ガード)は、1999年10月5日~2000年3月28日までテレビ東京系列局各局で放送されたロボットアニメ。全26話。アニメーション制作:XEBEC。
本作の漫画版(菅野博之、全3巻)及び小説版(青木智彦、全2巻)が角川書店より発売された。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] ストーリー
12年前、突如日本に出現した謎の生命体「ヘテロダイン」
ヘテロダインに対しては軍による総攻撃も意味を成さず、最終的にOE兵器の使用という惨事をもたらして、事件は終結した。
それを撃退する為に自衛軍が建造したスーパーロボット「ダイ・ガード」は、12年間ヘテロダインが出現しなかった事により、無用の長物として民間企業である「21世紀警備保障」に払い下げられていた。
しかし、そこに突如としてヘテロダインが出現、現場に居合わせたダイ・ガードのパイロットにして21世紀警備保障の社員である赤木は、避難命令を無視してダイ・ガードを動かし、災害支援に出動する。
[編集] 登場人物
[編集] 広報2課 ダイ・ガード チーム
- 赤木 駿介(あかぎ しゅんすけ) 声:伊藤健太郎
- 本作の主人公。21世紀警備保障株式会社企画部広報2課に勤務するサラリーマンで、ダイ・ガードのパイロット(操縦担当)。25歳。防衛大学卒業後、21世紀警備保障に入社。大学での成績はお世辞にも良かったとは言えないが、実技応用は大変優れていて、先生からは一目置かれていた。理詰めよりも直感と感情で行動するタイプで、作戦中は他のパイロットの意表を付くような行動や一見非効率そうな行動をあっさりと選択する。しかし、彼のそういった行動がチームの危機を幾度となく救うこととなる。子供っぽいところもあり、対極的な立場にいる城田とは度々意見の対立を繰り返すが、その中で互いの信頼を深めていった。中学2年の時からダイ・ガードに乗ると言っていた。次回予告での「サラリーマンだって、平和を守れるんだ! 」という彼のセリフは非常に印象的である。
- 桃井 いぶき(ももい いぶき) 声:平松晶子
- ダイ・ガードでの索敵や現場でのデータ解析を担当する搭乗ナビゲーター。20歳。高校卒業と共に21世紀警備保障に入社したので、赤木よりも年下だが仕事の上では先輩。その為、赤木は彼女のことを「さん」付けで呼んでいる。複雑な家庭環境を背景に育った過去が、ダイ・ガードに乗る動機と大きく関わっているが、そのことに彼女自身は気付いていない。そして、自らの過去と向き合った時、ダイ・ガードに乗り続ける理由を失いかける事となる。赤木とは子供染みた口喧嘩を繰り広げることもあり、CDドラマ内のストーリーでは彼との関係を周囲から疑われている。
- 青山 圭一郎(あおやま けいいちろう) 声:三木眞一郎
- ダイ・ガードの動力機関のバランスコントロールを担当する搭乗エンジニア。赤木の無茶な行動に肝を冷やし、過剰にダイ・ガードのブレーキを掛けてしまうこともしばしばある(但し、操縦席の位置が3人中最も低い部分にある点等も一因と思われる)。3人の中で最もダイ・ガードに乗る動機が薄く、物語序盤ではごく普通のサラリーマンという位置付けであった。一時は職務を放棄し、会社を辞めることも考えていた。しかし、物語中盤での事件を契機にダイ・ガードに乗る理由を手に入れてからは、勇敢にヘテロダインに立ち向かっていくようになる。ハンサムで話術も上手く、どこかキザな印象を与えるが、本来の彼は他人に関わることを嫌うマイペースなタイプ。同時に、末っ子で母親思いという一面も。喫煙者。
- 城田 志郎(しろた しろう) 声:小野健一
- 安保軍から21世紀警備保障に派遣された戦術アドバイザー。理詰めで合理的な戦術をとる為、相対する信念を持つ赤木とは何度となく意見を衝突させた。そんな彼も、ストーリーの中盤からは赤木とは次第に心が通じ合い、息が合うようになっていくが、西島が敷いた新体制や佐伯の思惑により、自宅謹慎にまで追い込まれた。CDドラマでは、佐伯とかくし芸の練習をしてばかりだった。
- 墨田 洋介(すみた ようすけ) 声:結城比呂
- ダイ・ガードのメカニック。赤木とは思考回路が似ているのか、非常に馬が合う。女性の趣味が少々特殊らしい。
- 百目鬼 里香(どめき りか) 声:新谷真弓
- ヘテロダインの撃退方法を発見し、21世紀警備保障開発部ダイ・ガード開発チームの主任研究員に就任した天才学生博士。17歳。開発チームの責任者としてダイ・ガードの大幅なパワーアップに大きく貢献したが、彼女が開発を手掛けるダイ・ガードの武装品にはいささかやりすぎな感も否めない。その知能の高さに反し外見や言動は子供っぽく、初対面の人間からは誤解されることもしばしば。食事はあまりきちんと取っておらず、いつも栄養価の偏った物ばかりを食べている。
- 佐伯 徹(さえき とおる) 声:柏倉つとむ
- 城田の後輩。登場当初は赤木たちと出会う前の城田の教えを絶対としていた節があり、一旦は赤木たちの影響を受けた城田を「あなたは変わった」と拒絶する。作戦をデータや理論で判断する頭でっかちなところがあり、それに従わない赤木たち(特に赤木)とはしばしば衝突していた。しかし、作戦を共にするうちに自身も城田のように少しづつ変わっていき、最終的には作戦の成否をダイ・ガードに託し「彼らを信じましょう」と笑顔で言うまでになる。
- 大杉 春男(おおすぎ はるお) 声:広瀬正志
- 21世紀警備保障企画部広報2課課長。性格は至って温厚。会社で居眠りをしたりするなど、管理職に就いているとはとても思えないような人物。しかし、裏では社長とすらパイプを持つなど、実は相当なやり手らしい描写が作中にいくつも散見される。昔は軍にいて、大河内(現・社長)の下で通信上等兵として従事していた。
- 大山 紀子(おおやま のりこ) 声:根谷美智子
- 広報2課のお母さん的な存在の女性。いつまでも独身でいることを母親に心配されている。どうやら同じ広報2課のある男性(赤木)に好意を抱いているようだ。広島県の出身で、母と話す場面では広島弁を使っていた。CDドラマ内のストーリーでは、酔っ払って暴走、怒ったり泣いたり絡んだりと大騒ぎをし、桃井とのデュエットで「年下の男の子」を歌ったりと、非常にノリノリな性格の一端を見せる。
- 入江 静香(いりえ しずか) 声:笠原留美
- 広報2課の女性陣で一番の長身。無口・無表情で何を考えているか判らない風に見えるが、小声で突っ込みを入れるのが得意。実は課の中で最年少である。
- 谷川 風花(たにがわ ふうか) 声:田村ゆかり
- 広報2課のガングロギャル。言動も、その外見から想像し得る通り。広報2課のムードメーカー的存在で、噂話が大好き。しかし、彼女が秘書友達から毎度仕入れてくる社内のゴシップの真偽はいいところ半々である。私生活での彼女は非常に家庭的で、家事が得意。伊集院が掛けるモーションに対しては非常にドライにあしらってはいるが、本心では満更でもない様子。
- 中原 千秋(なかはら ちあき) 声:大野まりな
- 広報2課に所属。背が低く、子供と間違えられそうな風貌だが、実際は入江よりも年上の25歳。どうやら同じ広報2課のある男性(青山)に好意を抱いているようだ。
- 田口 友朗(たぐち ともろう) 声:肥後誠
- 広報2課の幼馴染トリオその2。伊集院と同じく彼も太っている(眼鏡と蝶ネクタイが特徴)。子供っぽい性格で、自分の机の上にダイ・ガードのおもちゃを飾っている。
- 石塚 智美(いしづか ともみ) 声:泉尚摯
- 広報2課の幼馴染トリオその3。やはり彼も太っている。27歳とは思えない程の、相当の老け顔。
- 山田(やまだ) 声:関智一
- ダイ・ガードに憧れて21世紀警備保障に入社した、新卒の社員。第23話に登場。同じXEBEC制作のSFアニメ『機動戦艦ナデシコ』の登場人物ダイゴウジ・ガイが本作にゲスト出演という形のキャラクターである(ダイゴウジ・ガイの本名はヤマダ・ジロウ)。
[編集] 登場メカ
- ダイ・ガード
- 国連安全保障軍(通称・安保軍)が開発し、国連が出資する民間企業「21世紀警備保障株式会社」が運用する、対巨大災厄ヘテロダイン用ロボット。全高25.0m、重量156.0t。運用の際には分解して搬送し、現地で各部パーツを組み立てねばならず、しかもある程度の広さの敷地がないと組み立てられないなど運用には支障を来たしていたが、物語中盤でガードファイター、ガードストライカー、ガードビークルの3機に分離・合体することが可能となる。運用当初は武装も全く無く、肉弾戦が主体であった(第3話で使用したロケットパンチは、正確には武装ではない)。しかし、ダイ・ガードがヘテロダインという自然災害に対して非常に有効である事実が明らかになるにつれ、構造材の強化、武装や新機能の追加が図られるようになる。主な武器はドリルアーム、フィンガーネットアーム、ノットバスター、ノットパニッシャー、グレートノットパニッシャー等。小説では、これにアサルト・ノットパニッシャーが加わる。
- デザイン的には、鉄人28号から連なる純粋な日本スーパーロボット的デザインであるにも関わらず、登場当初はトタン板より多少はマシな装甲、火器、内蔵武器無しと言うまさに「ハリボテ」状態あった。(これは、対ヘテロダイン用に開発されたダイ・ガードが、ヘテロダインが出現しない12年の間に『無用の長物』として民間に払い下げられていた為。その間の主な業務は、ショーの見世物だった。)
- その後も基本的に民間所有の為火器を装備できない等こまかな制限を持っており、「リアル系スーパーロボット」「熱血リアルロボット」等とファンの間で呼称される。
- その圧倒的な「見掛け倒し」感と、ストーリーが進むに連れて少しずつ強化されていき、本当に「スーパーロボット」に成長していく事等から、現在でも根強いファンがいるロボットでもある。
- コクボウガー
- 国防軍(作中における、自衛隊のような組織)が運用する、もう一体の対巨大災厄ヘテロダイン用ロボット。ダイガードの試作フレームに儀装を施して完成した。質実剛健な軍隊らしく、カラーリングは深緑一色である。災害からの国防という、公共性の高い作業を民間企業に任せることを快く思わない国防軍内部勢力の圧力によって配備された。その構造から、ダイ・ガードと同じ武装を使用することが出来るのが大きな特徴。主な武器はノットバスター、リボルバーアーム等。物語中盤では、前以て接収したノットバスターで見事にヘテロダインを消滅させることに成功している。
[編集] ヘテロダイン
- ヘテロダインとは、自然現象「界震」により発生する生命体の総称である。
- いわば「怪獣」とでも呼称するような、奇怪な外見と巨体を持った存在だが、ヘテロダインには明確な意思や知能、目的を持ったモノが極めて少ない。
- ダイ・ガードの敵ではあるのだが、その実彼らは作品内において、常に「自然災害」に近い描写をされており、いわば台風や地震のようなモノとして扱われている。
[編集] 作品に対する評価
- 主人公赤木の「サラリーマンだって平和を守れるんだ!」と言う言葉が示すとおり、サラリーマンが巨大ロボットに乗って怪獣と戦う、と言う荒唐無稽な娯楽作品として一部根強いファンがいる。
- しかし、彼らの敵は前述の通り、徹底して「自然災害」であり、頼みの巨大ロボットもイマイチ頼りなく、動かすには上司の許可が必要で、会社員だから平時の仕事もしなくてはならない……と、徹底して「リアリティ」を与える理由付けがなされており、そういった点を愛するファンも多い。
- また、各所にちりばめられた伏線が後半に明かされる丁寧な物語の描き方も定評があり、決して認知度が高いとは言えないものの、ファンの間では非常に評価の高い作品である。
[編集] スタッフ
- 原作: XEBEC(角川書店刊)
- 企画プロデューサー: 松山進(TV TOKYO)、湯浅昭博(創通エージェンシー)、佐藤徹(XEBEC)
- シリーズ構成: 志茂文彦
- SFコンセプト: きむらひでふみ
- キャラクター原案: 菅野博之
- キャラクターデザイン: 石原満
- サブキャラクターデザイン: 富岡隆司
- メカニックデザイン: 大塚健
- プロップデザイン: 山岡信一
- 美術監督: 高山八大(プロダクション・アイ)
- カラーデザイン: 関本美津子
- 撮影監督: 谷内潤
- 編集: 大竹弥生
- 音楽: 田中公平、川井憲次
- 音響監督: 三間雅文
- 音響効果: 倉橋静男(サウンドボックス)
- 録音制作: テクノサウンド
- 音楽プロデューサー: 佐々木史郎、井上裕香子
- 音楽制作 / 協力: ビクターエンタテインメント、TV TOKYO MUSIC
- プロデューサー: 岩田伸一(TV TOKYO)、日向泰隆(創通エージェンシー)、千野孝敏(XEBEC)
- 監督: 水島精二
- 製作: TV TOKYO、創通エージェンシー、XEBEC ※
※番組のオープニング、エンディングでは「製作 TV TOKYO、創通映像、ビクターエンタテインメント」と表記している。
[編集] 主題歌
- オープニングテーマ 『路地裏の宇宙少年』
- 作詩・作曲:川畑アキラ、歌:ザ・コブラツイスターズ
- エンディングテーマ 『走れ走れ』
- 作詩・作曲:遠藤響子、編曲:菅野よう子、歌:遠藤響子
本作サウンドトラックCD封入書での田中公平の記述によると、田中が主人公たち人間側のテーマを、川井憲次がヘテロダイン側のテーマをそれぞれ受け持ったという。
[編集] 放映リスト
- 海から来た災厄
- 夜のお台場大攻防戦
- ヒーローの事情
- ヒロインのゆううつ
- 夕日に向かって走れない
- 思い出は教えてくれた
- ファイヤー&アイス
- 奇妙な一日
- 炸裂! ノットバスター!!
- 正義に見合う給料
- 不在証明 二大ヘテロダイン東京襲撃
- 夜の新宿大決戦
- 許される者 許されざる者
- 大杉レポート
- ぼくらはみんな生きている
- いつも心に太陽を
- 夢見るようにねむりたい
- 明日に向かって走れ
- 白の契約
- 青の約束
- 偽りの記憶
- 私が私であるために
- 守りたいもの、なんですか?
- 空を覆うもの
- 重なりゆく思い
- 明日への凱歌
テレビ東京系 火曜18:00枠 | ||
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