山口女子高専生殺害事件
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山口女子高専生殺害事件(やまぐちじょしこうせんせいさつがいじけん)は、2006年8月28日、山口県周南市にある国立徳山工業高等専門学校の研究室で、この学校に通う5年生の20歳の女子学生が、他殺体で発見された事件。(時系列は全てJST)
[編集] 事件の経緯
2006年8月28日、ある女子学生の姿が見えなくなったのを友人の女子学生が不審に思い、教員と共に探していた。当日は夏休み中であったが、被害者等は卒業論文作成のため、自主登校していた。
午後3時頃、女子学生の所属する研究室で、探していた女子学生が荷造り用のビニール紐で首を絞められた状態で発見される。この研究室には鍵が掛かっており、密室状態であった。なお、事件が起きたと見られる研究室の鍵は、海外に出張中の女性教員の他に、この研究室に所属する5人全てが合い鍵を所持していた。
山口県警察本部は、被害者の体などに付着していた毛髪をDNA鑑定し、毛髪がこの研究室に所属する19歳の男子学生のものであると判断、翌日の8月29日にこの学生を殺人の疑いで逮捕状を山口地裁に請求。即日発付され、9月1日にこの学生を殺人の疑いで全国に指名手配した。
犯人と見られる少年は、自身が保有しているホンダ製の青い原付バイクが自宅から無くなっていることから、これを使って逃走していたとみられていた。
その後9月7日に学校からほど近い山口県下松市の山林脇に少年のものと同じ青い原付バイクを発見、さらにそこから入った山林の中で自殺と見られる少年の遺体が発見される。この遺体は指名手配中であった男子学生と確認された。遺体は一部が白骨化しており、事件から程なくして亡くなったものとみられている。
同年10月31日、死亡した同少年を山口県警察が被疑者死亡のまま強姦致死容疑で山口地方検察庁に書類送検した。
[編集] 少年という壁
指名手配の際、山口県警は男子学生が未成年であることと、再犯の可能性が薄いことを理由に匿名のまま少年を指名手配したが、これに対して一部専門家の間で「手配中は氏名と顔写真を公表すべきだ」という意見がなされた。少年法には手配中の未成年者を公表してはならないという条文がないので、本来は公表しても違法ではないが、報道各社は協定により、自粛していた。
だが9月7日には週刊新潮が重大事件を起こしかねないと独自に判断し、顔写真と氏名を掲載したものの、発売当日の午後になって少年の遺体が発見されることとなった。また、結果的に指名手配された少年が亡くなったため、一部マスコミ(テレビ朝日と日本テレビ・読売新聞など)では「(匿名とする理由としている)少年の更生の機会が失われた」との理由で容疑者として少年の実名を報道した。そのほかの新聞社によっても対応が分かれており、朝日新聞社では朝日新聞は匿名であったが、週刊朝日は実名報道をした。また産経新聞社は少年が発見されない段階では少年犯罪者の匿名報道に批判的な記事を掲載していたが、実名報道は最後まで自粛した。
これらの実名報道の実施に対しては報道機関としてのスタンスよりも自社の視聴率・売り上げを重視したための方便ではないかとの批判の声も多く、賛否両論が巻き起こっている(特に日本テレビは逮捕された自社アナウンサーを他局が実名報道を行ったのにもかかわらず実名報道を行わなかったため、特に批判が多い)。また、この事件が記載されている新聞・雑誌を保管する一部の図書館などでは、事件に配慮し実名や顔写真を黒く塗りつぶしたりして保管したり、該当号の閲覧制限を行った例が見られた。