少年犯罪
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少年犯罪(しょうねんはんざい)とは、少年が犯した、または犯したとされる犯罪のこと。学校や家庭などにおける対人関係のストレスやトラブルが元になることが多いとされる。
日本では、少年法2条1項に定義されている少年、すなわち20歳に満たない者(男女とも)が犯した、または犯したとされる犯罪に対してこの言葉を用いる。以下、日本法から定義されるこの呼称に基づく日本の少年犯罪について記す。
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[編集] 審判手続
[編集] 概況
- 法務省が発行する犯罪白書によれば、凶悪犯罪は、ピーク時(1960年代)と2000年代を比較すれば件数は4分の1にまで低下している。昭和30年代には年間8000件を超えていたが、その年をピークに件数は年々減少し、昭和50年以降は低水準で安定的に推移している。
- 不景気が影響し、窃盗・横領が特に増加傾向。(詳細は万引きを参照)
- 少年法で裁かれた被疑者が成人後に逮捕された場合、マスメディアに対し規制が入るケースがある。女子高生コンクリート殺人事件の被疑者が出所後に脅迫容疑で逮捕された時には、一部写真週刊誌以外のマスメディアが実名・顔写真の報道を控えた。
- 戦後の少年事件として有名なのが浅沼稲次郎暗殺事件である。右翼思想に感化された少年が演説中の浅沼稲次郎を短刀で刺殺し、これを契機に少年の刀剣所有禁止が定められた。
[編集] 有名な少年の凶悪犯罪
- 浅沼稲次郎暗殺事件 1960年10月12日(発生)
- 少年ライフル魔事件 1965年7月25日(発生)
- 永山則夫連続射殺事件 1969年4月7日(逮捕)
- 神奈川金属バット両親殺害事件 1980年11月29日(発生)
- 名古屋アベック殺人事件 1988年2月23日(発生)
- 女子高生コンクリート詰め殺人事件 1989年3月29日(発覚)
- 市川一家4人殺人事件 1992年3月5日(発生)
- 神戸連続児童殺傷事件 1997年6月28日(逮捕)
- 栃木女性教師刺殺事件 1998年1月28日(発生)
- 光市母子殺害事件 1999年4月14日(発生)
- 栃木リンチ殺人事件 1999年12月4日(発覚)
- 西鉄バスジャック事件 2000年5月3日(発生)
- 東洋ボール殺人事件2000年5月13日(発生)
- 大分一家6人殺傷事件 2000年8月14日(発生)
- 山口市母親殺人事件 2000年8月31日(発生)
- 尼崎小6母親刺殺事件 2001年4月14日(発生)
- 長崎男児誘拐殺人事件 2003年7月9日(補導)
- 長崎小6女児同級生殺害事件 2004年6月1日(発生)
- 飯舘村出会い系サイト強盗致傷事件 2005年6月19日(発生)
- 町田女子高生殺害事件 2005年11月11日(発生)
- 岐阜中2少女殺害事件 2006年4月21日(発覚)
[編集] 最近の少年犯罪の動向
[編集] 少年の凶悪犯罪は本当に増えているのか
マスメディアが少年の凶悪犯罪が急増などと喧伝するが、そのような事実はない。犯罪白書によれば、少年犯罪の発生は1960年代前・中盤が最も多く、1960年代後半から激減。1970年代以降はほぼ横ばいで推移している。
[編集] 厳罰化の傾向
1997年以降、マスコミでは少年犯罪の凶悪化が報じられることが多くなった。また、犯罪被害者の心情を重視するようになり、刑事裁判に直接関与できる制度が検討されている。以上の背景から、「未成年であるとしても、現行の少年法では刑が軽すぎる」といった声が上がり、厳罰化の傾向にある。
しかし、マスコミ報道による少年犯罪の凶悪化論は根拠が乏しいと指摘する意見も少なくない。 マスメディアでは、凶悪事件の発生原因を、やたらアニメやコンピュータゲームによる影響と報じるケースが多いが、科学的根拠はない。また、そうした外的要素がひきがねになって犯罪を犯すことは今に始まったことではない。(ゲーム脳も参照のこと)
特に、最近の報道は凶悪な事件をよりセンセーショナルに報じ、些細な事件まで報道すること傾向があることから、実際の少年犯罪の発生件数より多く発生しているような印象を市民に植え付け、少年法の厳罰化や教育の厳格化を求める社会不安(モラル・パニック)を引き起こしているとの批判もある。
[編集] 少年犯罪者の個人情報
[編集] 報道規制
少年法第61条により、家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。
「家庭裁判所の審判に付される」か「犯した罪により公訴を提起される」場合、規制対象になるとしている。ただ、少年法第61条には罰則規定がないので、出版物で犯罪少年を実名暴露しても(その筋からの叱責はあるようだが)刑罰はない。実際には裁判所の審判に付される前段階である捜査段階や逮捕勾留段階から報道機関は自主規制して加害少年を匿名化し、実名報道を避けている。しかし、逮捕前に実名が出てしまっているケースもあり、こちらは規制できないのが現状である。
[編集] インターネットの規制
インターネット上の公開も規制が行われている。しかし、インターネットに少年法が適用されるかは、法曹界の統一見解はまだない。しかも、少年法第61条には罰則規定がない(罰則がない法律に違反しても犯罪ではない)ので、法務省による強制力のない行政指導、そしてプロバイダでの「自主規制」による規制しか行えないのが現状である。
一部の電子掲示板などでは規制に反して実名・顔写真が掲載され、問題になっている。この問題に対して2ちゃんねるは、住所や電話番号などプライバシーを侵害する記述がない限り、削除しない運営をしている。その理由は、
1.公開が規制されている場合は、その掲載が事実か確認する手段がない、つまりでたらめな掲載であるから
2.裁判所に行けば一般人でも被告人の氏名が確認できるので、その氏名は公開情報とみなせるから
だという。(少年犯罪板の削除人のレスより) 葵龍雄など実名を暴露している者は2の手段を利用していると思われる。知り得た実名を電話帳で検索すれば、個人情報を得るのも容易だろう。電話帳は個人情報保護法第19条~第23条の規制の対象にならないので、対処のしようがない。さらに、海外のウェブサイト上でも掲載されることがある。こちらは国内法である少年法では法務省も対処できないようで、野放し状態である。
なお、本サイト、日本語版ウィキペディアでは、日本国の法律の適用を受けることから、少年事件の記事においても加害少年に関する情報記載を規制している。
[編集] 関連項目
[編集] 少年犯罪を扱った作品(漫画・映画・ドラマ・アニメ・etc)
- 『家栽の人』 - 毛利甚八作・魚戸おさむ画の青年漫画。各種少年犯罪および家庭裁判所での少年審判を題材とした漫画。
- 『ゲド戦記 』スタジオジブリ の作品。監督・宮崎吾朗 主人公アレンが、冒頭、父親を殺す所から始まり、ゲドと出会い、最後に立ち直ったと目される描写から、少年擁護と少年の内面と自立の観点から描いた作品として捉えられ、各方面、各所で注目されている。だが、その描かれ方やクオリティ、また原作との齟齬(そご)を問題視する声もあり、賛否両論。
- ほぼ同時期に同テーマを少年法の是非を問題提起する観点から描いた 『太陽の傷』 監督・三池崇史、主演・哀川翔も公開される。
- 2007年新春には山口県で実際に起きた光市母子殺害事件を題材にした映画『天国からのラブレター』が公開される予定。事件被害者と被害者遺族の書簡を集めた同名書籍を元に製作した作品である。被害者遺族である本村洋の事件後の活動は今後の少年法の論議やあり方などに一石を投じ、影響を与えている。