悪戯
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悪戯(いたずら、あくぎ、hoax, trick, funny business)とは、悪ふざけ、人を担ぐこと、わるふざけのことである。
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[編集] 子供の悪戯
子供たちは、発達の過程の中で、親や学校、地域社会のルールとして禁じられた悪戯、悪ふざけをしたりすることがある。時には、危険を伴ったりすることであっても、彼らは成長の中での自分の力試しとしてタブーに挑戦することがある。よその畑から西瓜を失敬するとか、他人の家の敷地を抜ける通り抜け禁止の近道、爆竹遊び、など古きよき時代の子供たちにとっては日常茶飯事だったかもしれない。
ジークムント・フロイトの用語では、タブー破りと呼ばれている。猥褻行為を、俗にいたずらと呼ぶのも、猥褻行為が性道徳のタブー破りと考えられるためであろう。
子供に限らず悪戯が広く許されるのは、4月1日のエイプリルフール(四月馬鹿)、あるいはハロウインの仮装やトリック・オア・トリートである。もちろん、それを許容する文化、習慣への理解が前提となっている。
[編集] 悪ふざけの成功例・失敗例
悪ふざけで、史上最も成功した例は、オーソン・ウェルズが演出した1938年のラジオドラマ『宇宙戦争』だと言われている。これはH・G・ウェルズの原作『宇宙戦争』に基づいたもので、それをリアルなニュース報道のかたちを採って演じたものである。聴衆は真に迫った演技に本物の宇宙人の来襲だと信じ込んでしまい、大混乱が起きたと伝えられている。
逆に、もっとも深刻な結果を招いたのではと思われるのは、日本の仁治3年(1242年)、12歳の少年君主である四条天皇が、正月の祝いに参内する公卿達を困らせようと、御所の廊下に滑石を撒いたところ、却って自らが転倒してしまいそのまま脳挫傷(?)により崩御(死亡)したことにより、深刻な政治空白を引き起こしたというケースであろう。
大学の学生寮などでは、誕生日や卒業・学位取得のお祝いに、当人を着のみ着のまま学内の池に投げ込んだり、あるいは独身最後の夜のバチュラーパーティや、結婚式の新郎新婦に教会の出口でお米や花びらのシャワーを浴びせたりというのも、これに入るだろう。好意と友情としゃれのない交ぜになったようなもので、これもまた悪戯のひとつ。ただし、そのような行為を受けた人が喜ばないならば、悪戯とは言えず、善戯となる。
[編集] 報道におけるイタズラ
報道などにおいて悪質な悪戯と表現する場合は、多くの場合において他人の名誉を毀損したり、器物を損壊したり、業務を妨害したりなど犯罪行為であることが多く、本来の「悪戯」には当たらない。人に危害、損害を与えてひそかにほくそ笑むような愉快犯の行為は悪戯とはいえない。
[編集] 悪戯をテーマにした作品
児童文学
- 新美南吉『ごん狐』
- 椋鳩十編『いたずらわんぱくものがたり』童心社
- ダイアナ・W・ジョーンズ『いたずらロバート』ほるぷ出版 1992年
- ハインリッヒ・ホフマン『もじゃもじゃペーター』
- ヴィルヘルム・ブッシュ『マックスとモーリッツ』
- マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』
- ルードヴィヒ・トーマ『悪童物語』
小説
- ゴットフリート・ビュルガー編『ほら吹き男爵の冒険』(ミュンヒハウゼン男爵は実在の人物。)
- 『ティル・オイレンシュピーゲルのゆかいな悪戯』
音楽
- フランツ・ヨセフ・ハイドン「ビックリ交響曲」
- プロコフィエフ「ピーターと狼」