方鉛鉱
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方鉛鉱(ほうえんこう、Galena)は、鉛の硫化鉱物である。化学組成:PbS、比重:7.5~7.6、モース硬度:2.5、晶系:等軸晶系。
低~高温熱水鉱床、スカルン鉱床、黒鉱鉱床に産する他、含銅硫化鉄鉱床に産出することもある。
色は銀白色、新鮮なものは強い金属光沢があるが、雨などに晒されるとだんだん光沢がなくなる。これは表面が硫酸鉛鉱(PbSO4)に変化するためである。完全な劈開を持つため、割るとさいころのように立方体の形に割れることが特徴的である。また結晶は多くの場合六面体であるが、まれに八面体結晶も見られる。比重が7.6程度もあって重いことや、特徴的な割れ方、強い金属光沢など、野外でも同定は簡単だろう。
鉛の最も重要な鉱石鉱物。また方鉛鉱はほとんど常に数百ppm程度の銀を含み、銀も回収される。この銀含有量が多いものは含銀方鉛鉱と呼ばれる。この他、金、ビスマス、アンチモン、テルルなどを微量含む。閃亜鉛鉱、黄鉄鉱、黄銅鉱などと伴って産出し、特に閃亜鉛鉱とは密接に伴って産する。そのため鉛鉱床、亜鉛鉱床はこれらを一括して鉛・亜鉛鉱床と呼ばれることも多い。
日本国内でも産出する鉱山は非常に多く、神岡鉱山、豊羽鉱山、花岡鉱山、小坂鉱山などの鉛・亜鉛鉱山で主要鉱石として採掘されていたが、2006年現在では鉛を採掘する鉱山は日本国内では全て閉山してしまった。海外ではアメリカ、オーストラリア、ボリビアなどの生産量が多い。