月華の剣士
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『月華の剣士』(げっかのけんし)はSNKがネオジオ用に開発・販売した対戦型格闘ゲームシリーズである。同社の『サムライスピリッツ』とは異なる趣をからめた「サムライアクション」となっている。
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作品解説
物語は日本の江戸時代後期の幕末が舞台となっており、新撰組なども設定として登場する。また、陰陽道や四神といったオカルト要素も設定に深く関わっている。キャラクターイラストはTONKO(せんのあき)が担当。
1997年12月に『幕末浪漫 月華の剣士』が業務用MVSで発売され、翌1998年11月には続編の『幕末浪漫第二幕 月華の剣士 ~月に咲く華、散りゆく花~』が同じく業務用MVSで発売された。
特色
同社の『サムライスピリッツシリーズ』と同様に、キャラクターが刀などの武器を使うのが特徴のチャンバラ格闘ゲームになっている。
ただ、一撃必殺の色が濃い『サムライスピリッツシリーズ』に比べ、連続技を重視するシステムが多く採用されており、『サムライスピリッツ』とは明確な違いを生み出している。
剣質
ゲーム開始時にプレイヤーが使用するキャラクターと、そのキャラの戦闘スタイル「剣質」を選択する。
- 剣質「力」
- 一撃の威力が高く、通常攻撃をガードさせても僅かにダメージを与えられる(削り)。
- 一部の必殺技から超奥義(超必殺技)に繋げられる「昇華(スーパーキャンセル)」により、高威力の連続技を期待できる。
- 『二幕』では中段攻撃(『二幕』での「打ち上げ斬り」)がない代わりに、発生が遅いがガード不能の「防御不可斬り」を使える。
- 超奥義を超えた奥義「潜在奥義」を繰り出せる。
- 剣質「技」
- 小攻撃から大攻撃へと通常技を繋ぐ「連殺斬(チェーンコンボ)」を繰り出せる。ただし、ひとつひとつの攻撃力は他の剣質に大きく劣る。
- 熟練すれば、小技から様子を見て大技まで繋ぐこともできるため、ダメージチャンスを多く得られる。
- また、「乱舞奥義」は入力が難しいが、うまく決まれば大ダメージを奪える。『一幕』ではいわゆるオリジナルコンボ。『二幕』では連続入力式コマンドとなっており、4つのルートに分かれる。
- 剣質「極」(隠し要素)
- 『二幕』限定の剣質。「力」と「技」双方の特徴をほとんど併せ持つ(「防御不可斬り」のみなし)剣質。
- 攻撃面では非常に優遇されているが、防御力が極端に低く、また剣質ゲージ(後述)も上がりにくい。上級者向けの剣質といえる。
キャラクターによっては剣質専用技が存在することもあり、同じ外見ながら性能が段違いになる組み合わせも多い。また剣質ごとにキャラクターの服装カラーや勝利演出が違うなど、細かいところにも差が出るようになっている。
弾き
従来の対戦型格闘ゲーム同様にA・B・Cボタンがそれぞれ弱斬り・強斬り・蹴りと攻撃にあてがわれているが、Dボタンは防御行動「弾き」専用のボタンとなっている。
Dボタンを押すと身を引くような動作と、その残影が現れる。このモーションを相手の攻撃に合わせると、それを弾き返して相手を硬直させることができる。この硬直は長く、普通はなかなか当てられない技などをこの隙にぶつけることも可能。
ただし、タイミングが合わないと普通にダメージを受けてしまう。また、飛び道具・投げ技に対しても無力である(このため、投げは確実にダメージを奪える重要な技となる)。
- 『一幕』の弾き
- Dボタン+レバー操作によって「立ち弾き」「しゃがみ弾き」「立ち必殺技弾き」「しゃがみ必殺技弾き」の4種類が存在、弾ける技の性質が異なっていた。
- 必殺技を弾くにはレバー前方(しゃがみ前方)+Dに入力する必要があったが、これがガード方向と逆に入れるリスクも相まって使い勝手はあまり良くなかった。
- 『二幕』の弾き
- 前作を踏まえてか、レバー前後の性質は廃止され、「立ち弾き」「しゃがみ弾き」「空中弾き」の3種類となり、必殺技は弾き動作の出がかりで受け止めると弾けるようになった。
- 新登場の「空中弾き」は、従来の対戦格闘において一方的な強さを持った「対空攻撃」を潰すことができ、空中戦に新たな読み合いを加えた画期的なシステムとなっている。
- また、手数で押された状態を吹き飛ばす「ガードキャンセル弾き(ゲージ消費)」も登場した。
なお、コンピューターも弾きを使ってくる(特に『二幕』ラスボス・黄龍)ため、迂闊な技を出すことはできない。サムライスピリッツのものとはまた別の「動いたほうが負け」感を作り出している。
剣質ゲージ
近年の対戦型格闘ゲームに多く見られる「パワーゲージ」と同じで、剣質がここに表示されるのでそう呼ばれる。
主に通常攻撃を相手に当てていくことによって蓄積、一部のキャラには溜めるための専用技が備わっている。最大まで溜めるとゲージが白く光り、それを消費することによって「超奥義(潜在奥義)」「乱舞奥義」「ガードキャンセル弾き」などといった強力な特殊行動を発動できる。
ゲージの使い道は多岐にわたるものの、ストックを保持できないため、使いどころを誤ると大きな不利となる。また、剣質によって溜まり易さも異なる。
武器飛ばし
『一幕』のみの仕様。
武器攻撃を繰り返しガードし続けると、武器が耐え切れずに弾き飛んでしまう。素手になるとリーチ面で非常に不利になり、一部の必殺技も使えなくなるため、できるだけ避けたい要素である。弾き飛んだ武器は地面に落ち、拾うことによって再度使用できる。
『サムライスピリッツ』とは違い、超奥義で飛ばされることは無い。
手数が多ければ多いほど発生させやすいため、連殺斬のある「技」を大幅有利にしてしまうシステムになっている。また、李烈火などの武器依存率が低いキャラはあまり不利にならない(素手のほうが強いキャラもいた)などの要因もあってか、『二幕』では廃止されている。
シリーズ作品
- 1997年 幕末浪漫 月華の剣士 (アーケード、ネオジオ)
- 第1作。2作目の略称から『一幕』とも呼ばれる。
- 1998年 幕末浪漫第二幕 月華の剣士 ~月に咲く華、散りゆく花~ (アーケード、ネオジオ)
- 第2作。略称は『二幕』。剣質「極」が初登場するが、隠しコマンドで出現させる必要がある。
- 1999年 幕末浪漫 月華の剣士 (プレイステーション)
- 『一幕』の移植版。オープニングにアニメムービーを使用し、おまけ要素も充実。
- 武器が飛ばなくなったため、一部キャラの技仕様が異なる。
- 2000年 幕末浪漫特別編 月華の剣士 ~月に咲く華、散りゆく花~ (ネオジオポケット)
- ネオポケ恒例のSDキャラ格ゲー。基本的には『二幕』を基にしているが、一度クリアするまではストーリーが一幕のものになっている(嘉神の覚醒は演出のみで、性能は変わらない)。
- 十三、紫鏡(骸)、示源は登場しない。
- 2000年 幕末浪漫第二幕 月華の剣士 Final edition (ドリームキャスト)
- 『二幕』の移植版。隠しコマンドなしで剣質「極」が使用可能になっている。
- ネオジオ版と技のエフェクトが違うものがある。
- 2006年 幕末浪漫 月華の剣士1・2 (プレイステーション2)
- 『NEOGEO オンラインコレクション』第2弾で、『一幕』と『二幕』が同時収録されている。
- 第1弾の『餓狼 MARK OF THE WOLVES』とは違い、ネオジオ版をほぼそのまま移植している。
登場キャラクター
- 楓[Kaede](声:水津浩志)
- 主人公。活心一刀流の使い手で、死した養父・概世より四神の一角・青龍を継ぐ事になる。青龍としての力を発揮すると、黒髪が金髪に変わり(このとき結んだ髪も解ける)やや気弱だった性格も猛々しくなる。『一幕』ではその力に恐怖し思うように使えなかった(ゲーム中ではコマンド入力で「覚醒」する必要がある。また覚醒中は体力が徐々に減少する)が、EDでそれを受け入れ『二幕』では常に力を発揮できるようになった。
- ちなみに、『二幕』でも力を発揮していない状態の方(覚醒前)を隠しキャラとして使用できる。ただし、『一幕』の様に「覚醒」をする事は出来ない。
- 御名方守矢[Moriya Minakata](声:橋本じゅん)
- 楓の義兄。没落士族の子供であったが概世の元へ養子に入る。活殺逸刀流(元は活心一刀流)の使い手。弟達に父殺しの犯人だと思われていたが、後に誤解は解ける。
- 雪[Yuki](声:西川葉月)
- 概世に拾われ育てられた異人の女性。楓の義姉であり、守矢からすれば義妹。凍術と槍術を使う。実は封印の巫女であり、『二幕』EDでその命と引き換えに地獄門を封印した。
- 一条あかり[Akari Ichijo](声:おみむらまゆこ)
- 代々陰陽師の家系に生まれた少女。幼いながらも、類稀な才能で様々な式神を使役する。「えんぐりっしゅ(英語)」に強い関心を持っており、会話の中に織り交ぜる。なお達磨という兄がいるが、本編に出てきたことはない。楓が好み。SNK初の関西弁を話す女性キャラ。PS版では十三と共に「おまけ」のキャラクター紹介で喋りまくる。
- 神崎十三[Juzoh Kanzaki](声:タイソン大屋)
- あかりの家に居候している巨漢。金棒を使う。あかりに頭が上がらない。あかりの病弱な姉・ひかりに惚れ込んでおり、『二幕』では彼女にいい所を見せようと躍起になる。
- 玄武の翁[Okina](声:中井重文)
- 四神の玄武である老人。概世亡き後、楓と雪を養っていた。概世と嘉神の師でもあり、昔は相当な剣豪だったらしい。釣竿や魚篭を武器にする。
- 鷲塚慶一郎[Keiichiro Washizuka](声:小西克幸)
- 新撰組副長・土方歳三直属の部下(どの隊にも属していない)。地獄門について調査を命ぜられる。忠義に生きる男。
- このシリーズで唯一の「タメキャラ」である。
- 天野漂[Hyo Amano](声:大塚明夫)
- 仕込み刀を持ち歩く遊び人。だが、よほどの事がない限り仕込み刀は木刀として使っている。遊び人という身分なおかげかとにかく交友関係が広いらしく、響の父・源蔵とも親交があった(仕込み刀も彼に打ってもらったもの)。『一幕』、『二幕』共にEDには選択肢が存在し、選んだ方によってEDの展開が変化する。
- 奥義(必殺技)は将棋をモチーフにしたものになっている。
- 李烈火[Lee Recca](声:橋本じゅん)
- 本名は李成龍。支那の嵩山少林寺から来た、正義を重んじる武術家の青年。武器として扇を持っているが、通常技はほぼ全て蹴りや掌打となっている。力に頼って物事を解決してしまった事に悩み、『一幕』EDで日本にそのまま滞在。さらに答えを導き出すべく、『二幕』EDでアメリカに渡る。なお、ノーコンティニュー、乱入なしでクリアした場合とコンティニュー、もしくは乱入有りでクリアした場合とでEDの展開が異なる。
- 斬鉄[Zantetsu](声:大友龍三郎)
- 「龍虎の拳」の如月影二の流派、如月流忍術の開祖(『一幕』EDではその影二も登場する)。我こそ最強という証明を求め、地獄門に集まる猛者たちに戦いを挑む。『二幕』のボス戦直後に絶命し、EDで孫の三太が二代目斬鉄として如月流を継いだ。
- 紫鏡[Shikyoh]/骸[Mukuro](声:モンスター前塚)
- 元新撰組の人斬り。柄の所で連結させられる、二本の包丁のような刀を使う。『一幕』EDで地獄門に吸い込まれ、『二幕』で奇跡的に生還するものの腐乱死体のような姿(骸)に変わり果てる。
- 新撰組の誇りも忘れ人外に堕ちた悲劇のキャラクター(『二幕』の登場デモで鷲塚のみ正体に気づき無念がるシーンがある)の設定だが、勝ちゼリフやエンディングには微塵も感じられない気楽さを見せている。作品世界に最も拘束されず、我が道を行くキャラクターであったといえる。
- 直衛示源[Shigen Naoe](声:伊藤えん魔)
- 四神の白虎である巨漢の男。武器らしい武器は持たず、その身を鋼鉄の様に硬くする呼吸法を用い徒手空拳で戦う。友であったはずの嘉神に封印されてしまい、怒りと狂気に囚われ封印を破り暴走。だが虎徹の声により、正気を取り戻す。『二幕』EDで地獄門を封印したものの、その命を落としてしまう。
- PS版では封印されていた間の影武者である「木偶の示源」も隠しキャラとして使用できる。
- 直衛虎徹[Kotetsu Naoe](声:生駒治美)
- 示源が養子にしていた娘。一見すると男の子に見える(一人称も「オイラ」)。父の死後、白虎を継ぐことに。『二幕』で隠しキャラとして使用できる…のだが、実際に戦うのは示源である。
- 暁武蔵[Musashi Akatsuki](声:フランキー仲村)
- 『一幕』の中ボスで、嘉神の手により復活した宮本武蔵。やや不完全に復活したため、片目が潰れている。また、髪型が『サムスピ』の覇王丸とそっくりになっている。プレイヤーに敗れた後、満足して常世に帰っていく。
- 『二幕』の移植版であるDC版にも、アーケードモード以外で使えるキャラとして追加されている。
- 嘉神慎之介[Shinnosuke Kagami](声:粟根まこと)
- 『一幕』のボス。四神の朱雀であるが、地獄門の力を欲し概世を殺害した。一本敗れると中間デモが入り、地獄門の力を吸収して対戦を再開する。プレイヤーに敗北した後地獄門に身を投じるが、奇跡的に生還。『二幕』では改心し地獄門の封印に尽力する。
- 家庭用のみ、『一幕』でも使用キャラとして選択することができる。楓と同様にコマンド入力で覚醒(地獄門の力を吸収した性能。ボス出現時の二本目以降)することが可能だが、ネオジオCDなどローディングの遅い機種では覚醒前と覚醒後から選択するようになっている。なお、『二幕』の性能は覚醒前のものに近い。
- 真田小次郎[Kojiroh Sanada](声:中谷さとみ、小山彰一[PS版])
- 『二幕』で参戦。新撰組・零番隊隊長。同じ新撰組の鷲塚とは親友同士。実は『一幕』の頃に既に紫鏡に殺害されており、『二幕』で出てくるのはその姿を借りた妹・香織である。
- PS版では存命時の彼を隠しキャラとして使用できるが、上記の設定のためにキャラクターの性能は『二幕』と大幅に異なる(鷲塚とほぼ同じ性能)。
- 高嶺響[Hibiki Takane](声:氷上恭子)
- 『二幕』で参戦。刀匠・高嶺源蔵の娘。居合の剣を使う。CPU戦で斬殺を繰り返すと人が変わってしまう。なお、高嶺の名は、ネオジオバトルコロシアムの牙神幻十郎EDにも登場する。
- 刹那[Setsuna](声:山内圭哉)
- 『二幕』で参戦。常世の使者。またの名を「イノチヲカルモノ」。現世及び常世の(自分自身を含む)ありとあらゆるもの全てを憎んでいる。
- 黄龍[Kouryu](声:石井康嗣)
- 『二幕』のボスで、常世を守る存在。その正体は先代の青龍・概世であったが、常世の思念に支配されプレイヤーの前に立ちはだかる。
- 対戦中に剣質を変える技を持つ。
エピソード
時代設定が幕末で、新撰組なども登場するところから、そこを生かし隠しキャラとして人気漫画「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」の緋村抜刀斎をゲスト出演させる予定もあったという(FALCOONがインタビューにて回答)。が、権利関係がうまく行かなかったらしくお流れになっているとのこと。「るろうに剣心」の作者である和月伸宏は単行本のフリートークで本作の話題を出しているが、抜刀斎の出演については何も言及していなかった。
関連項目
外部リンク
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