竹田宮恒徳王

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比島派遣軍参謀（陸軍少佐）当時の恒徳王

竹田宮恒徳王(たけだのみやつねよしおう;明治42年(1909年)3月4日 - 平成4年(1992年)5月11日)は日本の皇族（竹田宮第2代）、陸軍軍人。陸軍少将竹田宮恒久王第一王子で陸軍大将北白川宮能久親王の孫にあたる。階級は陸軍中佐。勲等は大勲位。昭和22年10月に皇籍離脱し竹田恒徳と名乗る。母は明治天皇第六皇女昌子内親王。妹の礼子女王は佐野常光に嫁す。

学習院から陸軍幼年学校へと進み、昭和5年7月、陸軍士官学校第42期卒。朝鮮王族の陸軍中佐李鍵公(後の桃山虔一)とは同期生。王は馬術を得意とし、陸軍騎兵学校教官を務めた他、騎兵科将校としての道を歩む。昭和13年5月30日、陸軍大学校を卒業し、日中戦争の前線行きを志願したが実現せず、満州ハイラルの騎兵第14連隊第3中隊長に任命された。その後、部隊が前線へ出動する際、王を内地へ戻そうとする動きがあったが、王は東京の陸軍省の人事局長に電話で直談判した末、漸く念願の戦地行きが叶い、この時はじめて戦場に立ったが、「自分に向かって弾が飛んでくるのは気持ちの良いものではなかった」と語る。

太平洋戦争には大本営参謀として、比島攻略、ガダルカナルの戦いに参画する。参謀としての秘匿名は『宮田参謀』であった。しばしば前線視察を希望し、危険が多いラバウル視察を強行するなど、周囲をはらはらさせていた。昭和18年3月中佐昇進、8月、関東軍参謀に転出。新京では満州国皇帝溥儀と交流をもち親しくしていたという。昭和20年7月、第一総軍参謀として内地へ戻り、間もなく終戦を迎えた。因みに、この時王の後任として入れ替わりに関東軍参謀となったのが瀬島龍三中佐である。終戦時には天皇特使として再び満州に赴き関東軍に停戦の大命を伝え、武装解除を厳命した。

王は『スポーツの宮様』として知られ、1936年第11回ベルリンオリンピックで団体6位入賞の結果をもたらしたファーレーズ号の馬主であり、戦後は繊維会社の経営に携わる傍ら日本体育協会専務理事、日本オリンピック委員会委員長、国際オリンピック委員会理事、同名誉委員、日本馬術連盟会長、日本スケート連盟会長、全国ラジオ体操協会会長等複数のスポーツ関連団体の役職を歴任し、同時に十五団体の役員を兼ねている時もあったと言う。また、東京・札幌両五輪の招致に尽力し、体育の日制定にも携わった。

王が戦前まで暮らした所謂竹田宮邸は西武グループに売却され高輪プリンスホテルとなり、邸宅本体は同ホテル貴賓館として活用されている。

一条公輝公爵の次女光子を妃とし、三男二女を儲ける。恒正王、恒治王、素子女王、紀子女王は父宮と同時に昭和22年(1947年)10月14日に皇籍離脱する。第一王子の恒正は根津コンツェルン総帥・東武鉄道会長根津嘉一郎の三女恭子と結婚し、恒徳王の後を継ぎ竹田家当主となる。二男恒治は三越社長の岡田茂の娘幾美子と結婚する。三男恒和は日本オリンピック委員会会長、日本馬術連盟副会長に就任する。

[編集] 経歴

明治42年(1909年)3月4日	誕生
大正8年(1919年)8月23日	竹田宮継承
昭和4年(1929年)3月	貴族院議員(皇族議員)
昭和5年(1930年)7月	陸軍士官学校卒業(42期)
昭和13年(1938年)	陸軍大学校卒業(50期)
昭和15年(1940年)8月	陸軍少佐
昭和15年(1940年)11月3日	大勲位菊花大綬章受章
昭和15年(1940年)12月	参謀本部第１部作戦課員
昭和18年(1943年)3月	任陸軍中佐
昭和18年(1943年)8月	関東軍作戦参謀
昭和20年(1945年)年7月	第1総軍防衛主任参謀
昭和21年(1946年)5月	免貴族院議員
昭和22年(1947年)10月14日	皇籍離脱し竹田恒徳
昭和32年(1957年)	社団法人日本動物福祉協会名誉会長
昭和37年(1962年)10月15日	日本オリンピック委員長
昭和42年(1967年)5月8日	国際オリンピック委員会委員就任
昭和44年(1969年)	日本ビリヤード協会会長
昭和51年(1976年)	国際ロータリー理事
昭和56年(1981年)1月1日	偕行社会長
昭和57年(1982年)9月	特攻隊慰霊顕彰会会長(後の財団法人特攻隊戦没者慰霊平和祈念協会)
平成元年(1989年)12月31日	偕行社会長を退任する
平成2年(1990年)	日本ビリヤード協会会長を退任し坪内嘉雄に交代する。総裁には寛仁親王が就任。
平成4年(1992年)5月11日	薨去