国際オリンピック委員会
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
国際オリンピック委員会(こくさいオリンピックいいんかい、仏Comité International Olympique、英International Olympic Committee、略称:IOC)は、近代オリンピックを主催する団体であり、またオリンピックに参加する各種国際スポーツ統括団体を統括する組織である。本部はスイス・ローザンヌ。運営資金は主に放送権料販売とスポンサーシップ収入による。国連等の国際機関の一つと思われがちであるが、私的団体の一つに過ぎない。
目次 |
[編集] 歴史・役割
1894年にクーベルタン男爵が近代オリンピックの設立を提言し、オリンピックを通じて世界平和を実現しようと訴えた。IOCは各オリンピック大会を運営する各大会組織委員会の親組織であり、五輪の商標、過去の大会の映像などの著作権その他の、オリンピック関連の知的財産権を国際的に保有する唯一団体である。また、オリンピックに関する、スポーツ競技大会以外の活動(文化オリンピック活動、オリンピック博物館など)も含めた、「オリンピック・ムーブメント」の運営統括団体である。
またスポーツ振興のための国際組織として、国際競技連盟(International Federations、IF)とも非常に密接な関連を保っており、またIOCの下部組織である国内オリンピック委員会(National Olympic Committees、NOC)を通じ、世界各国のスポーツ振興にも注力している。
[編集] 公用語とオリンピック賛歌
IOCの公用語はフランス語、及び英語でIOCのすべての会議は仏英二カ国語で運営される。また「オリンピック賛歌(Olympic Anthem)」が国歌の様な扱いとして行事で歌われる。
[編集] 招致都市
オリンピック競技大会を招致したいと言う意志のある都市は、IOCに申し入れし、IOC総会にてIOC委員(IOC members)の投票によって決定される。過去招致都市決定について、一部のIOC委員が買収されたりというスキャンダルがあったため、ロゲ会長の強力なリーダーシップにより、近年投票による公正な選定プロセスが運用されるようになった。
[編集] 組織
国内オリンピック委員会がある国に在住する者が、国ごとに1名(オリンピック運動が盛んな国やオリンピック開催経験がある国からは2名)がIOC委員として任命され、委員で組織するIOC総会が最高位の意思決定機関となる。
IOC総会によって会長、副会長、理事、会計役が選出され、これらの者で理事会を構成する。理事会の元に各種委員会が組織される。委員会のメンバーはIOC委員以外からも選任されることがある。
[編集] 理事
[編集] 歴代会長
- デメトリウス・ヴィケラス(Demetrius Vikelas)(1894年 - 1896年)ギリシャ
- ピエール・ド・クーベルタン(Pierre de Coubertin)(1896年 - 1925年)フランス
- アンリ・バイエ・ラトゥール(Henri de Baillet-Latour)(1925年 - 1942年)ベルギー
- ジークフリード・エドストレーム(Sigfrid Edström)(1946年 - 1952年)スウェーデン
- アヴェリー・ブランデージ(Avery Brundage)(1952年 - 1972年)アメリカ
- キラニン卿(Lord Killanin)(1972年 - 1980年)アイルランド
- フアン・アントニオ・サマランチ(Juan Antonio Samaranch)(1980年 - 2001年)スペイン
- ジャック・ロゲ(Jacques Rogge)(2001年 - )ベルギー
[編集] 委員
[編集] 日本から選出された委員
1950年5月にコペンハーゲンで開催されたIOC総会で日本のIOC委員は2名と定められている。
- 嘉納治五郎 1909年(明治42年)5月から1938年(昭和13年)5月まで(死去)
- 岸清一 1924年(大正13年)6月から1933年(昭和8年)10月まで(死去)
- 杉村陽太郎 1933年(昭和8年)6月から1936年(昭和11年)7月まで(辞任)
- 副島道正 1934年(昭和9年)6月から1948年(昭和23年)10月まで(死去)
- 徳川家達 1936年(昭和11年)7月から1939年(昭和14年)6月まで(辞任)
- 高石真五郎 1939年(昭和14年)6月から1966年(昭和41年)4月まで(死去)
- 永井松三 1939年(昭和14年)6月から1950年(昭和25年)5月まで(辞任)
- 東龍太郎 1950年(昭和25年)5月から1968年(昭和43年)まで(辞任)
- 清川正二 1969年(昭和44年)6月から1990年(平成2年)まで(辞任)
- 竹田恒徳 1967年(昭和42年)2月から1982年(昭和57年)まで(辞任)
- 岡野俊一郎 1990年(平成2年)9月から。
- 猪谷千春 1982年(昭和57年)から。2006年現在IOC副会長。
[編集] 非正式競技の承認競技
IOC承認国際競技団体連合 (ARISF) に国際競技団体 (IF) が加盟しているスポーツ
- 滑空
- 自動車
- バンディ
- ビリヤード
- ペタンク(他、スポールブール)
- ボウリング
- コントラクトブリッジ
- チェス
- ダンス
- ゴルフ
- 空手
- コーフボール
- ライフセービング
- オートバイ
- 山岳競技
- ネットボール
- オリエンテーリング
- ハイアライ
- ポロ
- ラケットボール
- ローラースポーツ
- ラグビー
- スカッシュ
- サーフィン
- 綱引き
- 水中スポーツ(スキューバダイビングなど)
- 水上スキー
- 武術太極拳
- ジェットスキー
- ボディービル
- 相撲
このほかに、承認競技ではない競技も含むIOC公認団体国際競技団体連合 (GAISF) に国際競技団体 (IF) が加盟している競技がある。正式競技は夏季オリンピック、冬季オリンピック、夏季オリンピックの競技一覧、冬季オリンピックの競技一覧を参照。
[編集] 関連項目
- 日本オリンピック委員会(JOC)
- アメリカオリンピック委員会(USOC)
- 夏季オリンピック
- 冬季オリンピック
- 国際パラリンピック委員会 (IPC)
- 国際スポーツ団体総連合 (GAISF)
- IOC承認団体。
- IOC後援国際競技大会。
[編集] 外部リンク
|
|||||
---|---|---|---|---|---|
オリンピック競技 • メダル獲得数 • NOCコード メダリスト • シンボル |
|||||
夏季オリンピック:1896, 1900, 1904, 1906¹, 1908, 1912, (1916)², 1920, 1924, 1928, 1932, 1936, (1940)², (1944)², 1948, 1952, 1956, 1960, 1964, 1968, 1972, 1976, 1980, 1984, 1988, 1992, 1996, 2000, 2004, 2008, 2012, 2016, 2020 | |||||
冬季オリンピック:1924, 1928, 1932, 1936, (1940)², (1944)², 1948, 1952, 1956, 1960, 1964, 1968, 1972, 1976, 1980, 1984, 1988, 1992, 1994, 1998, 2002, 2006, 2010, 2014, 2018 | |||||
¹IOC非公認大会 ²戦争のため中止 |