西武多摩川線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
多摩川線(たまがわせん)は、東京都武蔵野市の武蔵境駅と府中市の是政駅を結ぶ西武鉄道の鉄道路線である。俗に、終点駅の駅名から、是政線とも呼ばれる。

目次 |
[編集] 路線データ
[編集] 概要
武蔵境駅でJR中央線に接続し、乗客の流れとしては事実上同線の支線的存在である。同駅から先、同線と並走する区間は2006年12月に一部高架化されている。同駅の高架化を含めた全面完成は2008年度を予定している。
この路線は西武鉄道の路線であるが、歴史的経緯上、他の西武線と接続している駅はなく、それが利用客の素朴な疑問・ウンチクとして語られることも多い。なお、同駅と新宿線田無駅・池袋線ひばりヶ丘駅の間に西武バスが多数運行されているので、西武を使った乗り換えはバスで可能である(かつては東伏見駅や保谷駅まで西武バスが運行されていた)。
また、保線作業など職員の一部は多摩川線専属の人が在籍せず、新宿線の上石神井駅から出張してくる。このため、車両の大規模な検査や整備を行う場合は、甲種輸送の形でJR線・武蔵境~新秋津間を貨物列車として機関車に牽かれて、同駅と所沢を結ぶ連絡線を経由して整備工場である西武所沢工場(現在は武蔵丘車両検修場)へ回送していた。現在、中央線の高架化に関連して甲種輸送ができなくなったため、部品の輸送で対応しているが、これは高架化後に連絡線が設けられるまでの暫定措置と見られる(参考:武蔵境駅付近高架化のプレスリリース(PDF))。
全駅に自動改札機が設置されていないため、プリペイドカードはパスネットのようにストアードフェア機能がないレオカード(すでに発売終了)のみを自動券売機で乗車券を購入するためだけに使用することができる。なお、2007年3月18日からサービスを開始したICカードPASMOは多摩川線にも導入され、JR東日本の簡易Suica改札機のような改札機を各駅に設置して対応している。また、武蔵境駅でも簡易改札機が設置されているが、高架駅完成時には自動改札機の導入とJRへの連絡改札口が設置される模様である。
[編集] 運転
日中は12分毎、早朝と夜間は20分毎の運転である。早朝には白糸台始発の列車がある。列車の行き違いは、日中は新小金井駅と白糸台駅で、早朝と夜間は多磨駅で行う。
[編集] 車両
多摩湖線国分寺口とともに最も古い車両が集約される路線として知られる(こうした車両転用は支線の数が比較的多い大都市の鉄道会社ではよく見られる)。また、列車無線、列車種別表示、連結器の電気栓(電気連結器)、スタフ(乗務員用の時刻表)など、本線系でしか使わない機能の一部が独自仕様または省略となっている。
ワンマン運転化の直前には401系や701系が使用されていたが、1996年からワンマン運転用の改造が施された101系が使用されている。ただし、各駅は有人のため、運転手はドア操作や次駅の放送のみで、車内での運賃の収受はない。
[編集] 歴史
多摩川線は、1910年8月に設立された多摩鉄道によって開業した路線である。多摩川河原で採取した川砂利を運搬するのが目的であった。
1917年10月22日に境(現・武蔵境)~北多磨(現・白糸台)間、1919年6月1日に北多磨~常久(現・競艇場前)間、1922年6月20日に常久~是政間が開業した。1927年8月30日に(旧)西武鉄道に合併され、同社の多摩川線となった。1950年に電化され、1967年に貨物輸送を廃止した。
元は川砂利運搬と沿線工場(戦中は中島飛行機の工場・引き込み線があった)への貨物輸送のための路線であったが、沿線にあるアメリカンスクール、多磨霊園、多摩川競艇場のアクセス路線として活用されてきた。近年には沿線の宅地化が進み、また東京外国語大学、警察大学校、警視庁警察学校、さらには味の素スタジアム(東京スタジアム)が多磨駅に近い関東村跡地に建設されたことから、輸送需要が増えつつある。
2007年3月18日からは、ICカードPASMOが導入された。
[編集] 駅一覧
駅名 | 駅間キロ | 累計キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|
武蔵境駅 | - | 0.0 | 東日本旅客鉄道:中央線(快速) | 東京都 | 武蔵野市 |
新小金井駅 | 1.9 | 1.9 | 小金井市 | ||
多磨駅 | 2.2 | 4.1 | 府中市 | ||
白糸台駅 | 1.4 | 5.5 | 京王電鉄:京王線(武蔵野台駅・多磨霊園駅:徒歩乗り換え) | ||
競艇場前駅 | 1.5 | 7.0 | |||
是政駅 | 1.0 | 8.0 | 東日本旅客鉄道:南武線(南多摩駅:多摩川に架かる是政橋を渡り徒歩乗り換え) |
※2001年3月28日に多磨駅は多磨墓地前駅から、白糸台駅は北多磨駅からそれぞれ改名。
[編集] その他
過去に是政から南西、東京競馬場、上石神井駅などへの延長構想があった。さらには多摩ニュータウン計画では西武・京王・小田急の3社が多摩市へ延伸すると調印し、西武は多摩川線を延伸しようと試みた。当初の終着駅は多摩センターの予定で、さらに他の2社と同じく橋本・城山方面への延伸も目論んでいた。しかし、武蔵境駅で接続する国鉄(当時)中央線の混雑をさらに助長するとの判断から鉄道敷設免許申請が取り下げられ、唯一延伸されなかった。