醗酵
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醗酵 (はっこう) とは、一般に菌類(酵母など)や、細菌(乳酸菌など)といった、微生物の働きにより糖などが分解され、アルコールや有機酸、炭酸ガスを生成する過程をいう(「醗」が常用漢字に含まれていないために 発酵 とも書かれる)。 醗酵は酸化の一例でもある。
仕組みは腐敗と同じであるが、特に人間にとって有用な場合に限って「醗酵」と呼ぶ。広義には醗酵も腐敗に含まれる。
時に、菌の作用によるものではないものも醗酵と呼ばれる。茶の半醗酵、完全醗酵は、茶の葉に含まれる酵素による酸化醗酵である。
コメが麹と酵母によって日本酒になったり、酵母によってパン生地の中の小麦粉が分解されてできた炭酸ガスで生地が膨れたりするなどの現象を指す。
最も広く見られるのは、アルコール醗酵を利用した酒など、いわゆるアルコール飲料の製造である。ほぼ世界中に見られ、多様な素材を用いて様々な製造法が行われている。
醗酵作用を利用した醗酵食品は世界各地に見ることが出来る。ある種の微生物が多数を占めるため腐敗に対し耐性を示すことから、保存食として扱われる物もあるが、その鮮度が短いものも多く、発酵食品を保存食品に分類することは誤りである。また中には猛毒であるフグの卵巣を、醗酵作用を通して食用可能にした河豚の卵巣の糠漬けのような醗酵食品もある。
くさや、鮒寿司、納豆 などはアミンや硫化物、アンモニアなどの刺激臭が強いため、これを悪臭と感じる人が多く、好き嫌いがはっきり分かれる食品である。
[編集] 主な醗酵食品
- ビール - 大麦の麦芽をビール酵母で醗酵
- 日本酒 - 米を麹菌と清酒酵母で醗酵
- ワイン - 葡萄をワイン酵母で醗酵
- 醸造酢 - 酒類が酢酸醗酵(アルコールが酢酸になったもの)
- ヨーグルト、チーズ - 牛乳を乳酸菌で醗酵
- 納豆 - 大豆を納豆菌で醗酵
- テンペ - 大豆をテンペ菌(白カビの一種)で醗酵
- パンの生地 - 小麦をパン酵母で醗酵
- 醤油 - 大豆を麹菌、酵母で醗酵
- 味噌 - 大豆を麹菌、酵母、乳酸菌で醗酵
- 塩辛、魚醤、アンチョビ - 魚を醗酵
- くさや 醗酵したくさや液に魚をつけ込み干した干物
- なれずし(鮒寿司など) - 塩漬けにした魚を飯や糠などに漬け込み、それらの醗酵により生じた乳酸等により風味とともに保存性をつけた食品。
- 漬物 - 野菜を醗酵させたもの
- 臭豆腐、豆腐よう - 豆腐を醗酵させたもの
- ナタ・デ・ココ
- シュールストレミング - ニシンを缶詰の中で発酵させたもの