離乳食
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離乳食(りにゅうしょく)は、乳幼児に対して栄養源を母乳やミルクから切り替えるための食品を言う。また、離乳食を供する期間を 離乳期という。
期間としては、個人差もあるが4、5ヶ月から1歳半くらいまでに離乳食を完了させ、通常の食事へ移行させることが一般的である(この期間には諸説あるが、いずれにしても乳幼児本人に無理のない時期で行われるのが望ましい)。
また、離乳期は乳幼児の月齢や食物の状態により、初期、中期、後期、完了期と分類される。この区分には含まれないが、離乳準備期(単に準備期とも)と言われる期間もある。 月齢はあくまでも目安であり、子どもの発育状態などによって進め方は異なる。早く完了させたいからと次の段階に無理に進めると、下痢を起こしたり食事への興味を失ってしまうことがあるので注意が必要である。
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[編集] 離乳期区分
[編集] 準備期
離乳に入る前の準備として、果汁や麦茶、野菜スープなどをスプーンで与える。味付けはせず、果汁はみかん、りんご、苺、スイカ、桃など酸味の少ない果物を絞り、湯冷ましで薄めて与える。ただし、糖分を多く含むため果汁を与えることの是非については、国内外で論議を呼んでいる。
母乳やミルク以外の味やスプーンに慣れさせることが目的である。月齢2〜3ヶ月頃から与えて良いが、子どもが嫌がるなら無理強いはせず、機嫌の良い時に与えるようにする。
[編集] 初期
月齢の目安は5〜6ヶ月。舌で食物を喉の奥に送り、飲み込めるようになる。つぶし粥やすりおろした食品など、噛まずに飲み込めるドロドロ状の食事を与える。目安はポタージュの固さである。授乳回数を1回減らし、離乳食に切り替える。(慣れてきたら更に授乳回数を減らし、離乳食を2回にする)
子どもにとっては初めての食品となるので、1さじ与えることから始め、徐々に慣らしていく。
魚類は白身魚のみ、肉類は飲み込みにくいため控えた方が良い。油脂や塩分・糖類などの調味料は控え、極力素材の味のみで与える。
[編集] 中期
月齢の目安は7〜8ヶ月。舌の動きが活発になり、顎と舌で食物をつぶせるようになる。固さの目安は豆腐の固さである。授乳3回、離乳食2回が1日の目安である。
魚類は赤身魚も与えられるようになる。肉類は脂肪分の少ない鶏ひき肉がよく用いられる。油脂や調味料も用いて良いが極めて薄味にする。(大部分の大人は物足りない、もしくは味を感じない程度)
[編集] 後期
月齢の目安は9〜11ヶ月。舌の動きが更に活発になり、食物を歯ぐきで噛み潰せるようになる。固さの目安はバナナの固さである。授乳2回、離乳食3回が1日の目安である。
穀類は粥状から軟飯に移行し、全卵(卵白)も少量から与えて良くなる。また、子どもが自分で手を出して食べたがる行為も、この頃から見られるようになることがある。
[編集] 完了期
月齢の目安は11〜15ヶ月。舌が自由に動かせるようになり、また、歯も生えて来て摂食活動が活発になる。食物の固さは後期よりやや固い程度で、目安は肉団子の固さである。この頃から母乳や粉ミルクではなくフォローアップミルクに移行する場合もある。
穀類は軟飯から大人と同じ白飯が食べられるようになる。大人の食事から取り分けたものを食べさせても良いが、基本は薄味にする。
[編集] 与えてはいけない食品
食物アレルギーの発症の危険や、消化能力の発達、免疫の発達などを勘案し、特定の時期まで与えてはいけない、もしくは控えた方が良い食材・食品もある。
ただし、学会、有識者、地域や家庭独自の教えなどで、「果汁は6ヶ月まで与えない方がいい」「バナナは1歳まで与えない方がいい」「牛乳は1歳まで与えない方がいい」など、時代や場合によって、与えていけないといわれる食品の内容は異なる(前2者に関しては、幼少の頃から糖分の高い物を与えない方が良い、という考えに基づくものだと考えられる)。万が一の事故やアレルギー疾患を予防するためにも、子どもの状態を見極め、医師や保健所などの適切な指導を受けることが肝要である。
[編集] 市販品
離乳食は手作りによるものが望ましいとされるが、共働き家庭や料理が得意でない場合など、離乳食を作ることが親に負担をかける状況が多々ある。そんな家庭向けに、数多くのメーカーからレトルト食品や瓶詰の離乳食が市販されている。主にスーパー、ドラッグストア、コンビニなどで販売されており、離乳期別に固さや適切な栄養バランスが整えられている。食器がついている物もあり、外食時や旅行時に便利である。
また、一部のファミリーレストランでは離乳食をメニューとして供している所もある。
市販品は便利であるが、多用することが子どもの味覚障害につながると考える向きもあるので、使い過ぎには注意が必要と言われている。