スイカ
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スイカ | ||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||
Citrullus lanatu | ||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||
Water melon |
スイカ(西瓜、学名: Citrullus lanatus)は、果実を食用にするために栽培されるウリ科の蔓(つる)性一年草。 原産は熱帯アフリカのサバンナ地帯や砂漠地帯。 日本に伝わった時期は定かでないが、室町時代以降ではないかと言われる。
夏に球形または楕円形の甘味を持つ果実を付ける。この果実を野菜とみなすか果物とみなすか混乱があるが、伝統的な日本語の概念では、野菜と果物の区別は草本か木本かによるため野菜に分類される。英語の vegetable と fruit の区分は日本語とは異なるので、スイカは野菜であってなおかつフルーツであり、今日の日本語の生活感覚ではむしろ、果物は英語のフルーツに対応した語に変貌していたためにこうした混乱を来たしているとみなせる。
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[編集] 形態
葉は切込みがふかく、丸みを帯びている。葉身は約25cm。つる性である。雌雄異花で花色は黄色。雌花は子房下位。水に濡れると花粉が破裂するため、受粉後約4時間以内に降雨に遭うと着果しない。果実の外観は緑色に深い緑色の縦縞が入ったものが一般的であるが、薄緑色のものや黒に近い深緑色のものもある。果肉の色は赤もしくは黄色。大玉の品種で糖度(Blix)は11~13度程度。果実中心及び種子周辺の果肉の糖度が最も高い。
[編集] 食材
同じウリ科の果菜類であるメロンは、主として甘く熟した果皮の部分を果肉として食べるが、スイカの果皮は内側の薄い層しか甘く熟せず、果肉の主体は種子をつける胎座の部分である。このためメロンは甘い胎座ごと種子を除いても甘い果肉が十分な量残るが、スイカは胎座を種子ごと除くとほとんど甘みのある食用部分は残らない。スイカを食べるときに種子ごと食べて種子を口の中でより分けなければならないのはこのためである。
果肉は水分が多く90%以上。様々な品種があるが、一般に果肉は紅、甘くて多汁である。果実を薄切りにしたり、小片に切って食べる。のどの渇きを癒すために食べることが多い。皮はもようのある外側のうすかわをとり塩をふってしぼり酢の物にする。
野生のスイカはほとんど甘みがないが、水分だけは胎座部分に大量に蓄えられている。自生地は乾燥地帯であるため水に乏しい。野生動物は水分を目当てにスイカの果実を摂食することになり、胎座の水分ごと種子を飲み込んで糞とともに排泄し、種子散布が行われる。人類によるスイカの利用もこの水分を目当てに始まり、同時に脂肪と蛋白質に富んだ種子をも食用にするようになったと考えられる。品種改良によって果肉が甘くなったのは比較的後のことであった。
スイカの品種には、果肉の色が黄色や白色のもの、また種子をコルヒチン処理し倍化させることで一代限りの三倍体にして種を無くした種なしスイカがある。特殊なものとしては源五兵衛(げんごべえ)と呼ばれる品種があり、幼果を粕漬けにする。
外皮は緑と黒の縞模様である品種が一般的であるが、黒いものも存在する。
アジアでは種子を炒って歯で割り、中身を食べる地域が多い。こうした利用を中心に品種改良された、種子の大きな品種も存在する。もちろん原産地であり利用や栽培の始まったアフリカでも、種子を炒って粉末にするなどして、食材として利用する食文化が存在する。特に原産地に自生する果肉の苦味の強い近縁種は、果肉自体は人間の食用に適さないので飲料水以外の生活用水として利用し、種子のみを食用とする。また、スイカ皮や、より品質の高い果実を収穫するために摘果した小さな未熟果実の漬物・ピクルスもポピュラーである。日本ではスイカ割りが夏の風物詩である。
栽培時には、連作障害やつる割病に弱いため、台木としてユウガオやカボチャなどを用いる接木栽培が通例である。コストのかかる輪作などによって、これらの障害を回避して生産された、スイカ自身の根によって育った果実は、高級品として取引されている。
スイカは秋の季語としても用いられる。これはスイカの旬が立秋(8月7日頃)を過ぎる頃であるからで、この時期は暦の定義では秋になり、秋の季語として使われるわけである。また、盂蘭盆で施餓鬼を行う地域では、餓鬼棚にスイカを添えることがある。これは、餓鬼となった亡者の喉の渇きを癒す為でもある。
[編集] 生産
スイカの生産において、圧倒的な地位を占めるのが中華人民共和国である。2004年の統計(FAO)によると、世界生産量9562万トンのうち、71%(6831万トン)を中国一国で生産している。2位以降はトルコ(382.5万トン、4%)、イラン(215万トン、2%)、ブラジル(172万トン、2%)、アメリカ合衆国(167万トン、2万トン)である。以下、エジプト、メキシコ、ロシア、大韓民国、スペインが続く。日本の生産量は45万4100トン(0.47%)に過ぎない。
[編集] 日本における流通・消費形態
まるごと販売されるのが基本であるが、スイカはかなり大きな果実のため、日本の今日の家族形態の大半を占める、小規模な核家族では冷蔵庫等で保存しにくい、食べきれない、という問題がある。そのため、八百屋、果物屋、あるいはスーパー等では、1/2、1/4、1/6等に切断し、フィルム包装の上冷蔵したものを販売していることも多い。かつて農村の大家族では、井戸で冷蔵保存し、一度に消費し切るだけの人数がいたし、都会でも濃密な近所付き合いがあり、隣近所に配布(いわゆる「おすそわけ」)されてしまったため、こうした問題は存在しなかったのである。
また、指先の打診で中身の品質を判断できたような熟練した店員がおり、同じ地域のメンバーとして消費者と信頼関係が構築されていた商店街の小規模商店が衰退、減少した今日では、切断したものの方が、消費者自身の目によって中身を確認できるという利点もある。
また、装飾・贈答用に特製のケースに入れて栽培した四角いスイカや、異常に巨大に成長した物なども販売されて好評を博している。ただし、値段は通常のスイカの5~10倍程度であり、庶民が簡単に買える物ではないということも事実である。また、味も大味になりがちとの説も存在する。
[編集] 産地
[編集] 関連項目
- スイカ割り
- デトックス食材