電器店
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電器店(でんきてん)とは、家電製品を販売する小売店のことである。
- 元々は電球や二又ソケットなどといった電気関連の器具(照明器具)を販売していたため、“電気”の「気」や“機械”の「機」ではなく“器具”の「器」を使う。ただしこれら電器店の屋号では、「○○電気」や「○○電機」などもしばしばみうけられる。そのため、電気店や電機店という表記もあながち間違いではない。そもそも、電気工事主体からはじめた「でんきてん」のように様々な店舗があり、決まった形がないためである。
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[編集] 概要
これらは、店舗の形態としては特定のメーカーのみ取り扱う「取次店」や複数メーカーの製品を扱うが個人経営など小規模な店舗である、いわゆる「街の電器屋さん」と、複数のメーカーを取り扱い、なおかつ一括大量仕入れによって大量に安く販売する「量販店」の二通りに分かれる。量販店の詳細に関しては家電量販店の項を参照されたし。
前者は地域密着型のアフターサービスの親切さ・きめ細かさを、後者は価格の安さ・取り扱い商品種類の豊富さをそれぞれセールスポイントとしている。ただ最近は、量販店もアフターサービスの充実に力を入れるようになってきている傾向が見られる。
この他、スーパーマーケットやホームセンター、さらにデパートも家電コーナーを設けている店が多いので、これらも「量販店」に含まれる。
その一方でパソコンやその周辺機器は総合家電メーカーでも製造・発売しているが、これらの製品は量販店や専門店での取り扱いが主体となっており、いわゆる「街の電器屋さん」では扱わない事が多い。ただし、「街の電器屋さん」の業務内容は多岐にわたることも多く、(経営者の世代交代によってなど)取扱のあることもあり、問い合わせをしてみなければ、個々の店舗の業務についての判断は難しい。
[編集] リサイクルと電器店
日本に於いてはテレビ(ブラウン管式)・エアコン・冷蔵庫・洗濯機・パソコンを買換や引越などで廃棄処分する際は家電リサイクル法(パソコンは資源リサイクル法)の規定により、使用済み商品の再資源化、運搬、引き取りなどの諸費用(の一部)をユーザーがメーカーあるいは電器店に支払うことになっている(費用はメーカーや店舗により異なる)。
これらは日本国内で1980年代以降、家電製品が「修理に出すより買い替えた方が安く付く」や「製品の陳腐化(旧態化)が激しく、壊れる頃が買い替え時」といった風潮から大量の家電製品が大量生産・大量消費されていた事がごみ問題を招いた所に負う部分が大きい。同法施行直前に駆け込み需要が見られたものの、施行後は一般家電の売上げ微減傾向も見られる。
[編集] 街の電器屋さん
これらの電器店は主に、大衆が家電製品を日常生活の中で一般的に使い始めた高度経済成長期に急速に増えていった。その多くは個人経営の商店だが、各々の家電メーカーはこれらを手厚く保護する事で、他業種には類を見ない流通形態が形成されるに至っている。
その一端が一般にはメーカーの直営店だとすら誤解される「メーカー名を前面に押し出した店の外装」に現れている。これらはメーカーの宣伝広告費などから出される開店・改装の補助金制度の条件としてメーカーから提供されるもので、これらには店の屋号と共に扱う商品のメーカーが一目でわかるようになっている。
古くは1950年代の三洋電機が、自社製品の洗濯機を普及(当時はまだ「たらいと洗濯板」という様式が一般的だった)させるべく実演販売を定期的に行ってもらう事を条件に特約契約を結んだ形態が存在する。
[編集] 爆発的普及
後の1960~70年代には家電製品が多様化、いわゆる三種の神器に代表される大衆の強い購買意欲の対象となる家電製品が登場する頃には、各家電メーカーやその前身の電気機器メーカーはこぞってそれらを発売、激しく競争して全国各地の電器店を支援しながら特約店契約を結ぶ事で地域の電化に貢献・メーカーも潤い電器店も繁盛した。
この過程に於いて各メーカーは電器店から得られた「消費者のナマの声」を新製品開発にフィードバックする事で、製品の質向上や取り扱い製品の拡充を行っており、また各々のメーカーはそれぞれ独自色を持たせながらも他メーカーと競合する製品を市場投入したが、各々メーカー側の特約電器店同士が距離的に離れているため、緩やかな販売競争は見られたものの、概ね共存状態に在った。
この時代を通じて、各々の大手家電メーカーは「一つの家庭が求める全ての家電製品を一通りは作っている」という総合家電メーカー化を果たしている。これにより各々の特約店は安心して一社の総合家電メーカーに依存する形となった。(→電機メーカー)
この時代にあっては、日本全国津々浦々…という形容詞通りの状況で、地方農村・漁村や離島にまで様々な家電メーカーの名を掲げた「電器屋さん」が見られた。その数は、現在のコンビニエンスストアにも劣らない。一例として、2001年頃の松下電器の系列の「電器屋さん」とセブンイレブンの店舗数を比べるとまだ圧倒的に「電器屋さん」の方が多数である。
当時の家電製品は単純な構造をしており、簡単な機構的なトラブル(消耗品の損耗や部品の劣化・破損など)はこの「街の電器屋さん」に持ち込めば、消耗品等は電器店に一定のストックが在ったために大概はその場で修理され、必要な部品を取り寄せる場合でも一週間程度で電器店自らが直していた。なお、どうしても直せないものだけがメーカーに送られ、専門の修理スタッフが対応した。
メーカー各社も各々の特約店に修理のための技術提供を積極的に行うと共に、これら「街の電器屋さん」に積極的な支援を行うため、各都道府県事にサービスステーションや支社の形で出先機関を設けて対応、ほとんど「各電器屋さんの裏庭まで各家電メーカーがバックアップに来ている」という状況を形成していた。定期的に電器店向けに商品説明会(商品の取り扱いから修理に至るまで、全般的に)を行い、各電器店では更に契約している家電メーカーとの共存関係に在ったが、これと同時にメーカー側は幾ら自社で製品を販売する力があっても直営店を設けたりせず、また各々の支社でも直接消費者に製品を販売はしなかった。
[編集] 製品の高度化と電器店の衰退・量販店の勃興
1980年代に入ってくると、次第に家庭向けの電気機器は高度で複雑な物となり、また取り扱う種類も増えたために一介の「街の電器屋さん」では修理はおろか詳細な製品説明すら難しくなった。またテレビゲームや8ビットパソコン(8ビット御三家やMSX等を参照されたし)・ワープロのような電子機器の市場に総合家電メーカーが興味を持ち始め、益々「街の電器屋さん」の手に負えない状況となった。
特に、家電普及当初にその多くが開店した「街の電器屋さん」では高齢化も進み、新製品への対応が難しくなった所もあるが、その一方で精密な製品も増え、到底「街の電器屋さんに持っていけば直してくれる」というサービス形態を維持できず、「壊れた家電製品はメーカー修理」が当たり前となってしまった。加えて専門の技術者による修理では人件費も高く付くため、結果的に「修理に出すと高く付く」という傾向が発生している。
またこの時期には、量販店の走りとも言えるディスカウントストアが増加、雑貨に混じって家電製品も扱うようになり、多少品質的には難の在る製品(安価な三流メーカーや海外メーカーのコピー商品や型遅れの旧来製品)を安価で扱うようになると、次第に定価販売が原則の「街の電器屋さん」の市場を侵食して行った。ただこの当時、ディスカウントストアで扱われる製品は必ずしも全ての消費者に受け容れられていた訳ではなく、品質や性能に難が在っても、安売りを狙う消費者のみが利用していた。
1990年代になるとこの傾向は益々加速、海外生産拠点で安い人件費で組み立てられた安価な製品が出回るようになると、修理費と買い替えた時の価格の逆転現象すら発生、更には家電量販店が出て来た事でますます修理コストのほうが割高となる傾向が顕著と成ってしまった。
この時代に於いて「街の電器屋さん」は、もはや消費者にとって「家電メーカーとの取次ぎ」でしかなく、精々「電気製品を家に配達してくれて、設置までしてくれる」という存在に過ぎなくなってしまっていた。この状況下では「街の電器屋さん」は魅力を欠き世代交代が起こり難くなったため、店主の高齢化を理由に店を畳むケースも続発している。地方町村ではこの名残で、錆びたシャッターや色褪せた看板などが、当時の面影を残している。
[編集] 街の電器屋さん再編成の動き
一度は家電量販店に追われる形でその役目を終えたかのように見られていた「街の電器屋さん」だが、1990年代後半から2000年代に掛けて、次第にその様相を変えながら、再び注目を集めるようになって来ている。
その一端がホームシアター等に代表される娯楽家電機器の流行に見られる。これら機器は相互に接続して初めてその機能を発揮するが、様々なAV機器は非常に多くのコネクターを持ち、その配線は一般の消費者には理解し辛い。また地上デジタル放送対応機器(いわゆる「デジタル家電」)は従来の機器と異なり、接続の他に様々な初期設定が必要である(取扱説明書が目的別に分割されていること、新しい専門用語が多数出てくること、さらに従来のアナログ機器にはなかった新しい項目が加わって昔より設定項目が増えたことから、接続や初期設定はアナログ時代と違って素人に年々難しくなっている)。さらに、個々の技量により、可能な業務をパソコンのLAN配線など家電の範疇を超える煩雑な業務まで広げている店舗もある。
このような機器の設置工事においては、購入した家電の配送までしか対応しない家電量販店よりも(量販店では設置・接続・初期設定の作業まで依頼すると出張手数料が別にかかることが多い)、地域に密着して信頼のある「街の電器屋さん」に依頼するケースも増え、中高年層を中心に、これを通じて次第に家電量販店から「街の電器屋さん」へと回帰する傾向も見られる。
元々、街の電器屋さんは、様々な形態があり、電気工事店としての側面を併せ持つことも多い。中には、そちらが主要業務であることも少なくない。ノウハウの差こそあれ、第二種電気工事士の資格を持つ者がほとんどであり、さらに様々な資格を持ち、家電の枠に収まらないこともある。特に、ブロードバンド時代となってきたため、BS/CS110/地上デジタル受信可能な機器等では電話回線用モジュラージャックやLAN用10/100BASE等のモジュラージャックがついているため、増設・延長をすることが必要になってきた。既存の回線で分配できる場合は問題ないが、新規でブロードバンドを引く場合や屋内分配をする場合、状況によって工事担任者資格が必要になる。家電量販店では電気工事士の資格は持っていても、工事担任者の資格は持っていない場合が多く、NTTやNTT-MEの下請け等も引き受けている街の電気屋さんに依頼する場合が多い。
この他、高齢化によって余り出かけることの無い高齢者宅や核家族化によって高齢者のみの世帯も増え、これらへの細かいケアが可能な「街の電器屋さん」では積極的にこれら消費者の元に出掛けて行き、メンテナンスを通じて信頼関係を築く方法も模索されている。
こういった動きを受けてか、一部の家電量販店では「街の電気屋さん」とフランチャイズ契約を結び、さらなる販路の拡大や大型店で販売した商品の細かいアフターケアに充てようとする者も現れるようになった。
さらに電機メーカー各社は松下電器の「スーパープロショップ」制を皮切りに、系列店を「売り上げ増により意欲的な店舗のみ」に再編する施策を進めている。
特に松下電器は販売の力点を量販店からナショナルショップへ移行させ、団塊世代大量退職による新規顧客増に備えると共に、各種工事の注文がナショナルショップ一カ所でまとめてできる「ワンストップサービス」の充実も図る。
東芝ストアーや日立チェーンストールなど他社の系列店数が全国で5,000店未満なのに対し、ナショナルショップは店舗数が全国で1万8,000店という我が国最大の地域電器店ネットワークのため、松下側はこのメリットを最大限に活かして今後の売り上げ増への足がかりにさせる計画。
(以上の事柄は2007年4月5日付、日刊工業新聞1面及び7面の記事による)
[編集] 街の電器屋さんと家電量販店の長所・短所
[編集] 街の電器屋さん
■長所
- (修理・取付工事などへは顧客の都合に合わせて)電話1本ですぐ来てくれるので順番待ちが無く小回りが利き、簡単な修理はその場ですぐにしてくれる(自店で取り扱うメーカー以外の他社製品や他店購入製品修理も受付)。
- 店に足を運ぶのが難しい高齢者や遠方在住顧客の場合、小型商品や消耗品の配送・出張修理もしてくれる(ユーザー自身による持ち帰りにするか各家庭まで配送するかは顧客の都合などに応じて判断)。
- 高い技術力と豊富な商品知識があり、素人に難しい作業(デジタル家電の接続や初期設定・アンテナ工事・各種配線工事など)も気軽にすぐしてくれる(電気・ガス・水道・電話などの各種工事や家電修理などの国家資格を有する従業員がいるため)。
- 「家電のホームドクター」として顧客1軒1軒の道順・家の間取り・家族構成・使用している電化製品などの状況を把握している(配送のみならず取付工事・修理は顧客の家の中に上がって行うことが多く、また顧客一人ひとりの情報を台帳や名簿に整理・登録しているため)。その為顧客の生活スタイルに合わせての商品提案が可能。
- 例えばエアコンの機種選定の場合、部屋の間取り、広さ、窓の向き大きさ、熱源の有無、顧客がその部屋をどのような使い方をしているか等を把握できている為プロの目から見て最適な機種をアドバイスできる。(よく使う部屋には省エネタイプを、あまり使わない部屋には安価な機種を提案、台所など熱源のある部屋、日当たりの強い部屋、人がよく集まる部屋等にはワンランク能力の高い機種を提案等、量販店の場合販売スタッフが顧客宅へ直接訪問する事はまずありえないのでこのような提案は不可能。顧客の素人判断による機種選定でエアコンが効きにくい等の事態が発生しやすい。)
- さらに商品販売後もアフターサービスなどの面で顧客との付き合いがあるため、量販店のような手抜き工事がしにくい。
- 例えば既設住宅で電気配線工事を行う際(エアコンなど)は壁の間や天井、床下に配線を通し、できるだけ配線が見えないように工事を行ってくれる(このような工事は時間と手間が掛かる為、量販店に頼むと断られるか、すべて露出配線で行われる。)
- 各店独自の方法で地域密着型の商売ができる。
- 大半が個人経営の店であるため転勤がなく、顧客や地域と息の長い付き合いができ、お互い顔なじみになれる(本店以外で別地域に支店を展開している店もあるが、範囲は量販店より狭く、支店は本店経営者の子息・親類が単身赴任という形で切り盛りするケースが多い)。
- 電化製品についての素朴な疑問・質問にじっくりわかりやすく答えてくれ、さらにデジタル家電などの操作方法をユーザーが完全に理解するまで根気強く教えてくれる(出張サービスもあり)。
- 新築・増改築(リフォーム)の相談にも気軽に応じてくれる(系列の住宅メーカー取次店であることが多いため)。
- 顧客が遠隔地に転居するためこれまで付き合ってきた店からのサービスが受けられなくなる場合、転居先にある系列優良店を紹介してくれる(近年は電機メーカー各社がそれぞれの系列小売店をインターネット上で紹介)。
- 故障部分に関わらず、何度でも使える長期保証を行ってくれる。
- 松下電器系列店(ナショナルショップ)の場合、長期保証(パナ安心カード)に加入して年会費を支払えば、電気店で購入したナショナル・パナソニック製長期保証対象商品において、その期間内(5年以内)であれば故障部分を問わず何度でも無償で修理してくれる。(ただし対象外商品、DVDレコーダーのHDD部分(別契約にて対応)、松下以外の他社製品、定期的に交換が必要なエアコンの空清フィルター等の消耗品、他店購入品、長期保証加入前の購入品は対象外。また年間修理金額が40万円を超えた場合は超過金額は有料、保証期間中に長期保証を解約した場合は購入5年以内であってもその時点で保証期間終了になる。)
- リコール商品などの対応が迅速に行える。
- 前述の通り普段から顧客との接点が多いことと、一見客の場合でも大物(高額)商品を購入した場合は顧客名簿を作成しているので、ユーザー自身がメーカーに直接問い合わせなくても店側でリコール対象商品を販売した顧客を迅速に把握出来る。また国家資格を有していたり、メーカー・業界団体実施の講習会を定期的に受講しているため、製品知識の豊富な販売店自身が点検サービスを実施でき、メーカーサービスマンの順番待ちがない。
■短所
- 販売価格が高い。(量販店系チェーンの場合、基本的な販売価格は直営店と同等だが、メーカー協賛セールなど特殊なセールを行わないため、この傾向はある)
- 店内が狭いため全ての製品を店頭展示できるとは限らず、品揃えも少ない。(量販店系チェーンの場合、POSに登録されている商品であれば取り寄せは可能だが、取り寄せには数日~数週間かかる)。
- 取扱メーカーが偏っている(各メーカーの系列店チェーンであるため)。
- 系列外のメーカーによっては、部品の取り寄せに時間がかかることや商品の情報量の差などによって、修理業務にも偏りがある。
- それぞれの経営者・従業員の力量により、可能な業務に差異が多い。
- 一人の従業員が全ての商品を勉強しなければいけない為、商品知識に偏りがある場合がある。
- 経営者や従業員の病気や怪我により、業務がこなせなくなることがある。
- 訪問販売をされる事がある。(ただし本当に顧客の為になる商品を薦めてくれるケースが多い。)
- 大半が個人経営の店であるためスタッフの人数が少なく、人件費が限られることから従業員を量販店のように多くは雇えない。
- 来客用駐車スペースが狭いため、駐められる台数は大幅に限られる(営業車の保管場所には近隣の月極駐車場を借りる場合が多い、特に都市部。)。
[編集] 家電量販店
■長所
- 大量一括仕入れのため販売価格が安い。さらに配送料無料の製品もある(但し各店指定の大型商品のみ)。
- 全メーカーの製品を取り扱っている。
- 店内が広く品揃えが豊富。
- スタッフの人数が多い(パート・アルバイトも含め)。
- 多くは郊外型大型店なので来客用駐車スペースが広く、駐められる台数も多い。
- 上位企業では北海道から沖縄まで全国隅々に店舗を展開(全国チェーン)している。
■短所
- (修理・取付工事にすぐ来てくれるなど)アフターサービスが隅々まで行き届いているとは限らない(「家電修理技術者」という肩書きの国家資格を有する従業員が量販店にはいないことが多いため、修理はメーカーに返送して各メーカーの修理部門へ丸投げする。このため完了までに日数を要し、往復送料が別に加算されることがある。また出張修理は冷蔵庫やテレビ受像機など大型商品に限定され、小型商品についてはユーザー自身で店頭に持ち込むのが基本)。
- 全国チェーンのため転勤が多く、担当者が短期間で変わるため顔なじみの店員・顧客ができず、地域密着性に欠ける。
- お年寄りや身体の不自由な人には店内がかなり広く感じられ、歩き回るのに苦労する。
- 配送は大型商品に限定され、玄関口までとなるケースが多い(基本的にユーザー自身で持ち帰り、配送依頼の場合は別途送料が発生。家の中に上がって取付・設定などを行うことが少ない)。さらにデジタル家電やパソコンの接続・設置や初期設定作業はユーザー任せとなるケースが多く、店員が出張してこれら作業を行う場合は電器店と比べて高額な出張手数料が別に加算されることがある。(設定作業料も含めると電器店で購入する方が安上がりな場合もある。)
- 長期保証などを謳っていても、一回利用すると保証終了や年数が経過する度に保証金額が減額される、期間内に何度も修理可能と謳っていても消耗部品は適用外(消耗部品がどの部分なのか具体的に明記されていない場合が多い。)など、顧客が誤解しやすい長期保証制度を謳っている事が多い。
- 店員が多数の来店客に対応するため顧客とじっくり話し合う時間が限られる。
- 設置工事などが電気店と比べて雑な仕上がりになりやすい。例・エアコン等の取付工事は、下請け取り付け業者が一軒いくらという形で請け負って行うことから、一日に大量に取り付け工事を行わないと取り付け業者が利益を出せない。
- この為短時間で工事を終わらせようとする。(特に夏場の最盛期)
- このことから使いやすさや快適さを無視した工事の行いやすい場所へ取り付けたり、仕上がりも雑になりやすく、ガス漏れ、水漏れ、冷えない等のトラブルが起こりやすい。
- また、下請け取り付け業者にとって顧客は量販店であり、量販店でエアコンを購入した顧客ではないうえ、その後業者自身がエアコン取り付けを行った顧客宅へ訪問する事は皆無であるため、心理的にも仕事が雑になりやすく、さらに注文から作業開始まで数日間あるいは数週間待たされる(順番待ちとなる)ケースも多い。
- また使用する部材もコスト削減の為安価なものを使用する為電器店が使用する部材に比べて耐久性に問題がある。
- デジタル家電やパソコンの操作は、ユーザーが取扱説明書(マニュアル)を読んで自ら習得するのが原則で、従業員が出張して操作方法を教えてくれるサービスはない。
- リコール商品が発生した場合に迅速な対応が行えない、あるいはユーザー自身が直接メーカーへ問い合わせしなければならない。
- (販売台数が多くそのうえ顧客管理を行っていないため販売した顧客を把握できない。)
- 松下電器産業が起こした石油温風機事故の未回収台数のほとんどは、量販店で販売されたものである。
[編集] 補足
- 価格については、一部の商品において量販店の方が明らかに高い価格を提示している場合もある。多く目にするのは白物と呼ばれる冷蔵庫や洗濯機などの新製品である。また、給湯器などは、定価が非常に高く設定されており、工事を伴い、さらに光熱費が安くなることも手伝って分かりづらいため、安くしていないケースがある。
- また、電機メーカー自身も差別化を行う傾向にあり、量販店用と街の電器屋さん(電器専門店)用、さらに工事専門店用(設備系)に別々の商品を用意したり、同一の商品でも異なる型番を記す傾向がある。
- 街の電器屋さんは、取扱商品が単一メーカーのみと思われがちだが、実際は偏っているものの、多くは、国内メーカーのほとんどと取引できるようにしているケースが多い。それは、多数のメーカーと取引している卸会社が各地に存在しているという背景がある。さらに大手の電機メーカーでは、他社商品を修理するためや、部品を供給するためのルート、CDやDVD、パソコン周辺機器等を注文できるルート、電話会社等と取引するためのルートなど、さまざまな仕入れルートを街の電器屋さんのために用意しているケースもある。また、個別にさまざまなメーカー、卸会社と契約を交わすことも多い。
- 近年は顧客名簿を取捨選択し(積極的に製品を購入したり店に足しげく通う客のみに絞り込み)、一軒一軒よりきめ細かいサービスが提供できるようにしている店もある。
[編集] 店舗チェーン
[編集] 主な「街の電器屋さん」チェーン(五十音順)
[編集] メーカー系列のチェーン
- 三洋電機特約店(かつては「サンヨー薔薇チェーン」といった。現在は「スマイルNo.1ショップ」)
- シャープ特約店
- ソニー特約店(白物家電は他社製品を扱う)
- 東芝ストアー
- ナショナルショップ(松下電器産業、2007年現在は、「ナショナル・パナソニックのおみせ」または「あなたの街のでんきやさん」である)
- ビクター特約店(白物家電は他社製品を扱う)
- 日立チェーンストール
- 三菱電機ストアー
[編集] 量販店系列のチェーン
[編集] その他のチェーン(地域店FC)
- アトム電器
- セブンプラザ
※なお「全国電機商業組合連合会」という業界団体があり(本部:東京都文京区)、全国の「街の電器屋さん」の殆どがこの組合に加盟している。
[編集] 街の電器屋さんが開催する展示会
街の電器屋さんでは年に数回、地区毎に展示会を開催して旬の電化製品を通常期より大幅に安い価格で提供している他、来場記念品や成約記念品も用意している(来場の際、事前に特約店から配布された招待状の提示が必要)。なお展示会の開催方式はホールなどを借りて行う「合同展示会」と、各店で個別に開催する方式の二通りがある(前者はスペースの都合でふだん自店に展示できない大型製品も展示できる)。
・主な展示会の名称
- ナショナル・パナソニックフェア(ナショナルショップ)
- 東芝とびっきり大市(東芝ストアー)
- きになる日立の気になるフェア(日立チェーンストール)