麻婆豆腐
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麻婆豆腐(まーぼーどうふ、中国語 マーポードウフ mápó dòufu)は中華料理(四川料理)の一つで、ひき肉と赤唐辛子・花椒(山椒の同属異種)・豆板醤(豆瓣醤)などを炒め、鶏がらスープを入れ豆腐を煮た料理で、唐辛子の辛さである「辣味」(ラーウェイ)と花椒の痺れるような辛さである「麻味」(マーウェイ)を特徴とする。なお日本では辛みを抑える為か、花椒を抜く事がある。また抜かれていなくても本場の舌の痺れるほどの量をいれている店はほとんど存在しない。
本場四川省では、花椒は粒で入れるほか、仕上げにも粉にしたものを振りかける。少々ではなく大量に掛けるので表面が黒くなるほどである。「麻」(山椒の痺れるような辛味)、「辣」(唐辛子の辛味)、そのどちらが不足しても本物の麻婆豆腐にはならない。
[編集] 歴史
清の同治帝の治世に、成都で陳森富の妻劉氏が材料の乏しい中、有り合せの材料で来客(労働者)向けに作ったのが最初とされる。「麻婆」とはあばたのおかみさんの意で、劉氏があばた面だったことに由来する。中国大陸では文化大革命以降「麻辣豆腐」と称することもあるが、中国語版記事のように「麻婆豆腐」と称する方が一般的である。
日本では四川省宜賓出身の名料理人陳建民によって日本人向けのアレンジがなされた上で、店舗およびテレビの料理番組を通じて広められた。近年、日本では本場風に花椒を効かせたものを「四川麻婆豆腐」や「陳麻婆豆腐」と称して、陳建民が日本人向けにアレンジした「麻婆豆腐」と区別する傾向があり、本場風の麻婆豆腐を主力メニューにしたレストランも現れている。
肉やスープの素などの素材がレトルトパックされていて豆腐と水だけで麻婆豆腐ができる、麻婆豆腐の素も日本で商品化され、普及している。1971年に丸美屋食品が開発、商品化したのが最初で、その後、他の食品メーカーからも相次いで発売された。その後、香港や台湾でも類似の商品が発売され、現在は本場中国でも類似の商品がある。本場成都の陳麻婆豆腐も、激辛のレトルトパック調味料を販売しており、日本に輸入もされている。
なお、日本ではご飯の上に盛り付ける麻婆飯(マーボー丼)と麻婆豆腐とは別の料理であると認識されている(日本人の丼物に対する感覚に基く。詳細は丼物参照)。日本では派生料理として麻婆茄子や麻婆春雨が知られているが、本来は「魚香茄子」(ユーシアンチエズ)と「肉末粉絲」(ロウモーフェンスー)という別の風味の料理である。
[編集] 日本式の作り方(4人分)
- 生姜10gとにんにく10gをみじん切りにしておく。
- 青ねぎまたはわけぎ5本ほどを、小口切りにする。
- 中華鍋で多めのサラダ油を熱して、赤唐辛子は1本(小)と花椒を数個入れ、油に香り移しする。
- 赤唐辛子を鍋から出し種を取って輪切りにする。花椒は擦っておく。
- 木綿豆腐2丁(600gほど)を約2分間湯通ししたあと、水気をきって1.5cm角に切る。
- 中華鍋に豚または牛の挽肉(約200g)と豆板醤(大さじ半分)を炒める。
- 青ねぎは2.の半分量を入れて炒める。
- 砂糖(小さじ1杯)、醤油(大さじ1杯)、牡蠣油(大さじ1杯)、紹興酒(大さじ1杯)を加え、豚肉がパラパラにほぐれたらカップ1杯の鶏がらスープを加え、煮立ってきたら豆腐を加えて軽く煮る。
- 片栗粉(大さじ半分)を水溶きして加え、胡麻油を鍋肌から加えて、サッと煮る。
- 器に盛り、2.の青ねぎの残りと粉花椒(少々)を散らす。
尚、本場四川では葱ではなく葉大蒜を用い、また牡蠣油は用いず、トウチ(豆豉)を用いる。
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