JR北海道キハ130形気動車
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キハ130形気動車(キハ130がたきどうしゃ)は北海道旅客鉄道(JR北海道)が日高本線に導入した軽快気動車。1988年(昭和63年)に登場した。新潟鐵工所(現・新潟トランシス)で翌年までに11両が製造された。
日高本線では、従来、キハ40形気動車が使用されていたが、大形でイニシャルコスト、ランニングコストともローカル線には過大な車両であった。そこで、小型でランニングコストの安い新潟鐵工所製のNDCシリーズを一部設計変更し、ワンマン運転可能な合理的な車両として投入されたのが、キハ130形である。
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[編集] 概要
[編集] 車体
車体長15.8mで両側に運転台を装備した鋼製車体で、運転台直後に幅850mmの片引き戸を2か所に設けている。イニシャルコストを下げるため、車体の仕様は極力新潟鐵工所NDCシリーズの標準に合わせられ、特別な北海道対策は施されていないため、側窓は一重の2段窓で、出入口部の仕切り壁も設けられていない。冬季に冷気が車内に侵入するのを防ぐため、客用扉は半自動式としている。この他、標準仕様からの変更点としては、台車の車輪径をJR標準の860mmとした点、在来形気動車との併結、総括制御を可能とした点である。仕様としては、同時期に新製された北海道ちほく高原鉄道CR70形に類似している。
[編集] 機関・台車
走行用機関としては、使用実績のあるDMF13HS(250PS/2000rpm)を1基搭載し、前位側台車の2軸を駆動している。台車は空気バネ式のNDCの標準台車に若干の仕様変更を加えたN-DT130(動台車)、N-TR130(付随台車)である。
[編集] 車内設備
座席は、セミクロスシートで中央部に8組のボックスシートを設置し、出入口付近をロングシートとしている。定員は座席46人、立席54人の計100人である。
また、北海道の夏期の気象条件から、冷房装置は搭載していない。
トイレは、沿線への黄害防止のためタンク式とされ、車両基地において直接バキュームカーで抜き取りを行なう方式として、地上設備への投資を抑制している。
[編集] 廃車
キハ130形は、1988年度に5両、1989年度に6両が日高本線に投入され、同線のスピードアップと運行の合理化に寄与したが、北海道の厳しい気候と車両設計が合致しない(北海道仕様の鉄道車両は通常デッキがついており窓も2重窓になっているがキハ130形はデッキなしに加えて1枚窓であった)うえ、海岸沿いを常に潮風を受けながら走るという環境のために塩害による車体の腐食が進行し、早くも1999年度には老朽廃車が開始され、2000年までに大半が廃車となった。2002年度には最後に残ったキハ130-8が廃車され、JR発足後に登場した旅客車の新形式では初の廃車による形式消滅となり、わずか13年で全車引退。この手の車両の耐久性の乏しさを露呈する格好となってしまった。また、本形式を置き換えたのは、本形式が駆逐したはずのキハ40形350番台(ただし、N-DMF13HZB(330PS/2000rpm)エンジンに換装および砂撒き装置などの改造を受けている)という皮肉な結末であった。
老朽廃車の他、1996年には1両(キハ130-5)が踏切事故により事故廃車されている。この車両の代替として新製されたのがキハ160形である。廃車になった原因は台枠が歪んだからとされている。なおこのキハ130-5は解体されず、いたましい事故の傷を残したまま現在も札幌市手稲区手稲前田の荒野にキハ56などと共に放置されている。