Ju 88 (航空機)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Ju 88 は、第二次世界大戦前にドイツの航空機メーカー、ユンカース社によって製造され、大戦終了までドイツ空軍で運用された中型双発爆撃機。空軍のコンセプト「戦闘機より速い爆撃機を」のもとで高速を重視して開発された。
目次 |
[編集] 開発経緯
ドイツ空軍は1935年に「戦闘機より速い爆撃機を」のコンセプトで、800 kg の爆弾が搭載でき、500 km/h を出すことの出来る爆撃機の開発を各社に要求した。ユンカース社はこれを実現するため、徹底した空気力学的洗練を目指して機体を設計した。原型 3 号機は1937年9月当時の Bf 109 戦闘機を 50 km/h も上回る 523 km/h を実現し、実戦配備が決定した(フル装備の量産型は 470 km/h)。
[編集] 実戦
量産型の引渡しは 1939年に開始された。このときまでに戦闘機の性能は著しく向上しており、すでに戦闘機より高速ではなかったが、同時期に開発された中型爆撃機 He 111 よりも損害数が少なく、また急降下爆撃や雷撃までこなす優秀さを見せた。バトル・オブ・ブリテン (1940-41) 以降は爆撃機として一線を退いた He 111 の分も活躍し、大戦終了まで主力爆撃機として活躍した。また、戦争後期は夜間戦闘機として活用されている。
[編集] データ
Ju 88
- 乗員: 4 名
- 全長: 14.40 m
- 全幅: 20.00 m
- 翼面積: 54.49 m²
- 最大速度: 470 km/h
- 上昇限度: 8,200 m
- 航続距離: 2,730 km
- 武装:
- 7.92mm機銃×6
- 爆弾搭載量: 2,000 kg
- 生産数: 14,780 機
[編集] ソ連版
ソ連のアルハーンゲリスキイ設計局では、購入したJu 88A-4を参考に急降下爆撃機Ar-2を完成させた。しかし、党上層部の不理解によりより欠陥の多いPe-2が主力急降下爆撃機に選定され、Ar-2は少数が生産されたに留まった。それらも、独ソ戦の初期に大半が失われた。