Suicaショッピングサービス
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Suicaショッピングサービス(スイカ-)とは、東日本旅客鉄道(JR東日本)及び東京モノレール・東京臨海高速鉄道が発行するICカード乗車券Suicaを活用した電子マネーサービス。
当初は駅構内での物品販売の混雑緩和やスピーディな買い物に活用することを狙いとしていたが、電子マネーとしての利便性が浸透するに連れ、Suicaを積極的に電子マネーとして利用することによる手数料が新たな収益源として大きく見込めることから、JR東日本の中期経営計画「ニューフロンティア2008」ではSuicaビジネスを「Suicaで新しいライフスタイルを提案します」として新たな経営戦略の中心に据えている。
2007年3月23日現在、1日50万件(PASMO加盟店含む)の電子マネー取扱件数を2008年度には400万件目標とし、現在では、鉄道駅構内(いわゆる駅ナカ)に留まらず街ナカへもSuica対応店舗の積極的な拡大を行っている。2007年4月9日現在の導入店舗数は約12,700店。ビットワレットのEdyとの競争は「電子マネー戦争」とも評される。
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[編集] 概要
電子マネーとしてはビットワレットのEdyが先行していたが、混雑した駅構内では物販の支払いに電子マネーを活用することで釣り銭のやり取りが省けてスピーディな買い物が可能となり、より利便性が高い。この可能性に着目したJR東日本ではSuicaを電子マネーとして活用することとし、2003年11月よりVIEW Suicaカード会員限定でSuica電子マネーモニターを行っていたが、それが好評だったため、2004年3月22日より正式にSuicaショッピングサービスとしてスタートした。
なお、電子マネーに対応したSuicaにはカード右下に電子マネーマークが付いている。2003年6月以前に発行された電子マネーマークのないSuicaは、交換を希望する人のために電子マネー対応Suicaへの無料交換を行っている。発行会社によって対応が異なる。詳細は以下のサイトを参照の事。
[編集] 決済方法
- 駅構内や街中にある店舗での物品の購入の際にレジで店員にSuicaでの支払いを申告する。その後に店員が購入者からSuica支払いの申告を受けた後にレジでSuica支払いボタンを押し、購入者が読み取り機にSuicaをタッチさせることで商品金額の引き去りが行われてタッチ音が鳴動する。
- 一部では、既存のレジとはSuica読み取り端末が独立しており、店員が金額を手入力し、購入者は入力された金額とレジに表示された商品金額が一致していることを目視で確認した上でSuicaをタッチ、その後、店員は商品金額の引き去りが行われたことを確認し、レジで商品券利用扱いで決済を完了させ、レシートを発行する。
- 自動販売機や食券の券売機の場合は、購入する商品のボタンを先に押してからSuicaをタッチする。チャージ額が商品額を上回っていると、商品金額の引き去りが行われてタッチ音が鳴動し、商品が提供される。なお、商品ボタンを押していない状態でSuicaをタッチすると残高を表示するのみとなる(これは、PASMO事業者の電子マネー対応自動販売機でも同様)。
- ※Suicaは鉄道(自動改札機)での利用と同様に、パスケースなどに入れておいても利用可能である。
- ※店舗などで購入金額に対してチャージ金額(入金額)が不足している場合、不足分は現金に限り決済できる(Suicaを一度に複数枚利用することはできない。因みにサービス開始当初は複数枚使用も可能であった)。
- ※券売機で履歴印字した場合、「種別」が『物販』となり、「月日」「残額」が印字され利用駅は空白である。残額の差額から何月何日にいくら分のものを本サービスで買ったかはわかるがそれ以上はわからない。
[編集] 実施中の主な店舗
現在、実施中の店舗の詳細は、JR東日本のSuicaが使えるお店検索を参照のこと。
[編集] チャージ(入金)可能店舗
※一部店舗を除く
それぞれ、クレジットカード払いによるSuicaチャージ および 私鉄・バス会社が発行するPASMOへのチャージは行っていない。
[編集] 駅ナカ
Suicaショッピングサービスは、駅ナカの店舗(土産物屋、書店など)から展開を開始した。その後、NEWDAYSを中心にSuicaが利用可能な駅で取扱店は増加していった。特に「Suicaステーション」と称して、自動販売機、食券券売機、コインロッカーなどを含めた駅全体(一部を除く)の決済にSuicaが利用できるように整備している。
また、ルミネなどの駅ビルやecuteなどの改札内の商業施設全体で実施している例がある。
自動販売機の売り上げデータの送信はNTTドコモのFOMA組み込み通信モジュールを使用している(画像の上野駅の飲料自販機では、最上段左のお茶のさらに左に、ドコモロゴ入りのアンテナが見える)。
[編集] 街ナカ
街ナカのSuica加盟店は、Suicaが利用できる駅周辺を中心に展開を開始した。現状でも、首都圏、仙台、新潟周辺のみに展開しているが、例外的にビックカメラの福岡での店舗でも利用できる。
基本的には、小額決済が多いコンビニエンスストア(ファミリーマート・ミニストップなど)やファミリーレストラン(ジョナサンなど)、カフェ(サンマルクカフェなど)などが実施している。しかし、同じく小額決済が多いスーパーマーケットは、大丸ピーコックなどの一部店舗に留まっていたが、2007年2月1日より、イオングループの店舗に導入する予定になっている。
また、成田国際空港内の店舗やガソリンスタンド、駐車場、タクシー(2007年から)など、鉄道以外の交通機関と関係が深いところや、家電量販店(ビックカメラ・ヨドバシカメラなど)やホテル(ホテルメッツ、APAホテルなど)、アミューズメント(劇団四季などの劇場グッズ売店、ポケモンセンター、ゲームセンターなど)などでも実施されている。
[編集] ネット
モバイルSuicaのみだが、bk1などでインターネットショッピングができる。カード型による決済は、ヤフー株式会社と検討中である。
[編集] 共用端末など
JR東日本とiDを展開するNTTドコモは、共同でSuicaとiDの両方が利用できる共通インフラ(共用端末および共通利用センター)を整備することを合意し、そのために、共通インフラ運営有限責任事業組合を設立し、2007年1月に運営を開始する予定である。また、その共通インフラをEdyとQUICPayも利用することも合意されており、まずは2007年2月1日よりイオングループの店舗に初めて共用端末(SuicaとiD対応)を導入した。また、イオンは、独自にWAONを導入する予定で、これは、前述の共用端末を用いると言う。
それに連動する形で、共用端末の導入をはじめとするSuicaの普及のために、JR東日本とNTTドコモ、NTTデータは、「Suica普及有限責任事業組合」を設立し、Suica導入の資金援助を行っている。その資金援助の第1号はららぽーとであり、2007年3月15日に開業したららぽーと横浜に共用端末を導入し、以降、4店舗に共用端末を導入していく予定である。
この共用端末は、2007年3月18日に運用を開始したPASMOもSuicaとの相互利用という形で対応している。
その他にも、Suica加盟店を募集しているJCBとUCカード、三井住友カード、UFJニコスは、INFOXなどのクレジットカード処理端末と共用している端末が設置している。また、JCBの端末はQUICPayとの共用が可能な端末もある。三井住友カードの端末は将来、前述のiDとの共用端末を設置する計画がある。
NECの汎用型リーダライタ(Suica、iD、Edy、QUICPay、Smartplus、Visa Touch対応)をサークルKサンクスやローソンが導入する予定。ほかにも、セブン&アイ・ホールディングス(セブンイレブン、イトーヨーカ堂など)では、独自の電子マネーnanacoを導入する際、専用読み取り端末でSuica、iD、Edyなど各種電子マネーにも対応できよう目指しているという。
[編集] 歴史
- 2003年11月 - VIEW Suicaカードのイオカード部分を駅構内の一部店舗で電子マネーとして利用するSuica電子マネーモニターを開始。
- 2004年3月22日 - Suica電子マネーモニターが順調な事から一般のSuicaに開放しSuicaショッピングサービスとしてスタート(開始当初はりんかいSuicaのみ対応していなかったが、2004年7月に対応した)。それと同時に、上野駅構内の“駅ナカ”物販・飲食店舗、コインロッカー、飲料自販機を集中的にSuica対応とする戦略「Suicaステーションうえの」がスタート。
- 2004年9月28日 - ファミリーマートでSuicaショッピングサービスを一部の店舗で開始。
- 2005年1月20日 - ビックカメラ有楽町店でのSuicaの利用を開始。
- 2005年9月28日 - ファミリーマート(埼玉県内・品川駅港南口店(東京都))にてチャージ(入金)が利用可能に。Suica利用可能駅以外でのSuicaへのチャージ(入金)ができる場所としては初。
- 2005年10月12日 - ビックカメラの関東地区の全店でSuicaの利用を開始。
- 2005年10月26日 - ジョナサンでのSuicaを山手線内の全店と京浜東北・中央・総武線沿線にある80店舗(先行導入の3店舗を含まない)で使用可能に。
- 2005年11月4日 - 時間貸駐車場「タイムズ」でSuicaの利用を開始。
- 2005年11月28日 - ファミリーマートでSuicaショッピング・チャージ(入金)サービスが東京23区内の386店舗に拡大。
- 2006年4月15日 - ポケモンセンタートウキョー・ヨコハマで電子マネーを導入。
- 2006年5月10日-「かえつ有明中・高等学校」校内売店でSuica電子マネーの利用を開始。
- 2006年6月2日- 成田国際空港内の飲食店・売店にSuica電子マネーを導入(初の空港内店舗への本格的導入)。
- 2006年7月10日 - デイリーヤマザキの新潟県内3店舗でSuica電子マネー導入。
- 2006年9月 - ビックカメラ天神1・2号館にSuicaが導入(JR東日本エリア外としては初の店舗)。
- 2006年10月 - ミニストップ東京23区・千葉(一部)エリアを皮切りに、Suica電子マネーの利用本格展開開始、チャージも可能である。
- 2006年10月27日 - ヨドバシカメラで順次Suica電子マネーの利用を開始。
- 2006年秋 - スリーエフで東京都・埼玉県・神奈川県・千葉県内の全店でSuicaショッピングサービス開始予定になっていたが、2007年2月現在まだ全店に展開していない。
- 2006年12月 - デイリーヤマザキの千葉県内3店舗にQUICPayと共にSuica導入。
- 2007年2月1日 - イオンと提携し、関東1都6県のイオングループ店舗(ジャスコ・イオンスーパーセンター・マックスバリュ・メガマート・カルフール)にSuicaとiDを導入(共用端末の初の導入事例となる)。
- 2007年3月18日 - PASMO電子マネーサービスとの相互利用を開始。同日に秋葉原・新宿のソフマップ一部店舗でSuica電子マネー導入。
- 2007年3月29日 - 国際自動車・日本交通のタクシーにSuica導入開始予定。
- 2007年6月頃 - Suica利用ポイントサービス運用開始予定。
[編集] 相互利用
首都圏のJR以外の他社鉄道・バス事業者が導入したICカード「PASMO」は、当初から乗車券機能に加えて電子マネー機能も相互利用が可能であり、各店舗のSuicaが利用可能であることを示すステッカーが『PASMOも使えます』を付記されているものもしくは『SuicaとPASMOが使えます』と書き換えられたものに張り替えられている。
その他にも電子マネー機能を持つICカード乗車券はあるが、乗車券機能の相互利用が可能なもの(JR西日本の「ICOCA」)も含め、現在のところ電子マネー機能は相互利用が不可能である。それらへの対応の可否も含め、Suicaの購入・利用に支障のある(または全く利用出来ない)JR東日本営業エリア外への進出については、対応店舗・カード両面においてまだまだ課題も多い。
組み合わせについては、Suica#他社主要IC乗車カードとの相互利用を参照。