Z会
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株式会社Z会(ゼットかい、ZKAI Co., Ltd.)は、日本の企業。通信教育に強みを持つ出版社。
旧社名は株式会社増進会出版社(ぞうしんかいしゅっぱんしゃ、Zoshinkai Publishers Inc.)。
2006年2月1日に増進会出版社本社は持株会社に移行、子会社であった株式会社Z会出版を事業会社として株式会社Z会に社名を変更した上で増進会出版社本体の事業を移管、同時に株式会社Z会対面教育と合併した。
本社は静岡県駿東郡長泉町下土狩105-17。最寄り駅は三島駅。
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[編集] 概要
通信教育の対象は、小学生・中学生・高校生・大学生・社会人向けと幅広い。東大・京大などの難関大学の合格者が多く、特に東大合格者については毎年半数がZ会利用者という驚異的な合格者占有率を誇る(2005年度入試で東京大学52.3%、京都大学45.5%[Z会発表])。ただし、現役生だけではなく浪人生も含まれる。大学受験科は、月2回の添削問題を提出し、添削済答案の間違った部分の指導内容と「解答・解説編」(旧・増進会旬報)に目を通して理解していくのが、基本的な学習スタイルとなる。通信添削などの問題のレベルは非常に高く、考えさせることに重点をおいているために、よほどの学力や意思がない限り続けることが困難とされる。
中学・高校生の受験生に対し模擬試験も実施しており、独自の「早大即応模試」、「慶大即応模試」などの他に、「東大即応オープン」・「京大即応オープン」・「阪大即応オープン」などでは大手予備校の河合塾と提携して実施している。
また、学習参考書や資格試験の教材を出版しているほか、90年代に入ると添削受講者数の減少と時代のニーズに対応し、学習塾・予備校の分野に進出。学習塾として首都圏に「Z会進学教室」、関西圏に「Z会進学教室」を、大学受験予備校として東京・横浜に「東大マスターコース」、京都・大阪・神戸などに「Z会京大マスターコース」を開校している(2005年時点)。なお、学習参考書に限って、独自の流通網のため取扱書店が限定され、取扱書店以外では取寄せが不可。
1980年代にはアチーブメントテスト(いわゆる業者テスト)を請け負っていた事でも知られる。
[編集] マーケティング戦略
かつてはDMを送付せず、新聞広告などで難関大学の合格実績をまれに開示するに留め、意図的に自ら知名度向上を図らない口コミに頼る(特に進学校での)マーケティング戦略をとっていた。そのため、難関大学を目指さない受験生や大学進学をしない層には、その存在すら知られていない場合が多かった。この「知る人ぞ知る」という戦略上、いつしか難関大学志望者の間で「増進会」を伏字で「Z会」と呼ぶようになったのが、現在の社名のルーツとも言われている。
2000年代に入ると、ひるがえって大々的にテレビCMを展開するようになる。野球選手イチローを起用したCMでは、「イチローの本名は『鈴木一朗』です。『一浪』ではありません、念のため」という注意書きを添えたり、04年には、「僕は何もしていません」「授業に出ていただけでノートもとっていなかったと思います」と訴える高校生に、裁判長が「Z会3年」という判決を下す法廷篇を放送。視聴者にインパクトを与えるCMが次々と放送された。7億5千万円の不正流出事件以降の06年には、サッカー選手小野伸二を起用し、明るく爽やかで親しみやすいイメージを前面に出したCMを放送するようになった。
また、近年受験生の間で高い人気を誇る漫画ドラゴン桜の原作者の三田紀房氏を、Z会主催の講演会に招くなどのコラボレーションも実施。受験生にアピールするさまざまな方法を展開している。
[編集] 添削指導
郵便を利用した通信教育システムである。同じような通信教育システムとして、「進研ゼミ」などが大手として存在する。自宅宛に教材が郵送されてくるので、その問題を解き、付属している返信用封筒に入れて返送する。 返送された解答用紙を同社の添削担当者が採点、間違いに対するアドバイスを赤色のペンで記入(添削指導)して、受講生に返送する。
[編集] 沿革
1931(昭和6)年、東京淀橋(新宿)に、実力増進会を創設。通信添削を主とする業務を開始した。
1945(昭和20)年、戦災を被り指導を中断した。
1952(昭和27)年、静岡県中伊豆にて添削指導を再開、会社の正称を「増進会」とし、会員がつけた愛称「Z会」を略称として併用するようになる。
1960(昭和35)年、個人会社から有限会社へ組織移行。
1961(昭和36)年、通信添削高校生コースを開講した。
1979(昭和54)年、静岡県駿東郡長泉町の現在地に本社を移転した。
1982(昭和57)年、通信添削中学生コースを開講した。
1985(昭和60)年、株式会社に組織移行。また、渋谷に対面教育を行うための進学Z会渋谷教室を開校した。
1991(平成3)年、高校生向けの対面教育、東大マスターコースを恵比寿に開校した。
1993(平成5)年、中学生コースに、通信教育中学作文コースを開講した。
1994(平成6)年、高校生向けの対面教育、京大マスターコースを大阪本部教室に開校した。
1999(平成11)年、通信教育小学生コース(現小学生Nコース)を5・6年生を対象に静岡・大阪で開講した。
2000(平成12)年、通信教育小学生コースを全国展開する。
2002(平成14)年、大学生・社会人を対象にした、キャリア開発コースを開講した。また、小学生コース4年生コースを開講した。
2004(平成16)年、今までの小学生コースを通信教育小学生Nコースとし、新たに小学1年生を対象にした通信教育小学生Eコースを開講した。
2005(平成17)年、通信教育小学生Eコースに2・3年生コースを開講し、小学生から大学受験生まですべての学年に対応するようになった。
2006(平成18)年、増進会出版社(元・通信教育部門)、Z会対面教育(元・教室部門)、Z会出版の3社を経営統合し、現在の「株式会社 Z会」となる。また、通信教育小学生コースに中学受験3年生コースを開講(4~6年生は2007年以降に開講)、中学受験にも対応するようになった。
[編集] 事件
- 2005年2月25日、国語教材に作者の許諾を得ずに文章を使い、著作権を侵害していたとして、作家ら約80人に謝罪を申し入れ、和解金約6000万円を支払っていたことがわかった。
- 2006年2月25日、Z会子会社口座から7億5000万円詐取容疑で3人が逮捕された。同年3月16日、詐欺容疑などで同社経理担当社員が逮捕された。
[編集] 出版物
通信教育のみでなく、一般書店販売用にも数多くの参考書・問題集等を出版している。以下は代表的な書物。
[編集] 関連人物
[編集] 英語
- 西田実
- 風早寛
- 中澤幸夫
- 風呂迫元武
- 渡辺寿郎
- 大月照夫
[編集] 国語
- 堀木博禮 - 通信添削問題作成者
- 木島佐一 - 著書『物語のものがたり: 愛の砂時計』(1993年ISBN 4879151106)を増進会出版社(当時。現 株式会社Z会)から出版
- 久保寺亨 - 著書『必修編 現代文のトレーニング ― 中堅~難関大をめざす』 (2003年) を増進会出版社から出版
- 二畳庵主人 - 著書『漢文法基礎』を増進会出版社から出版
- 吉岡友治 - 著書『社会科学系小論文のトレーニング』を増進会出版社から出版
[編集] 数学
[編集] 理科
- 木暮隆夫