Βシート
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βシート(ベータシート、β sheet, β-pleated sheet)はタンパク質の二次構造の1つである。 1951年にライナス・ポーリングとロバート・コーリーによって提案された。
βシートは、隣り合ったペプチド鎖の間で、一方の主鎖の N-H の部分が隣接する主鎖の C=O の部分と水素結合を形成し、全体として平面構造を形成している。 こうして形成される多くの水素結合により、βシートは安定で丈夫な構造となる。 βシートには平行型と逆平行型が存在する。 βシートの中ではペプチド鎖がほとんど伸びきっている。 隣接するペプチド鎖の α-C 原子間の距離は 0.35 nm である。
βシートにおいては、シートの片側の面に現れるアミノ酸残基の多くが疎水性で、他方に現れる残基の多くが親水性であることもある。 βシート中にある種の配列が現れると、そこでヘアピンターン(ペプチド鎖の向きの急転換)が起こる。 それは1つあるいは複数のプロリンである場合もある。 また、βシートはその名に反して、実際は平らでなはい。 βシート中のペプチド鎖は、くわしく観察すると、非常にゆるやかな右回りのらせんになっている。 これはペプチド鎖全体で φ と ψ の回転角が繰り返されていくためである。
βシートが集合することにより、アルツハイマー病などの神経系の病気を引き起こすことが知られている。