かしまし ~ガール・ミーツ・ガール~
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『かしまし ~ガール・ミーツ・ガール~』は、「月刊コミック電撃大王」(メディアワークス発行)にて2004年より2007年にかけて連載された漫画である。当初よりメディアミックスを前提としており、後にテレビアニメ化、テレビゲーム化等がなされている。
原作:あかほりさとる、作画:桂遊生丸、キャラクター原案は犬上すくね。
キャッチコピーは「女の子になっても僕は彼女が好きです。」。
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目次 |
[編集] 概要・備考
- 単行本は電撃コミックスより第4巻まで刊行中(以下、続巻)。2006年1月11日(テレビ東京系)よりアニメ化。また、同年3月30日にはプレイステーション2用ゲームソフト『かしまし ~ガール・ミーツ・ガール~ 「初めての夏物語。」』もマーベラスインタラクティブより発売。また、秋にはOVAが発売。駒尾真子著作の小説版も電撃文庫から出版されている。
- 突然男から女になってしまった主人公と、そんな主人公を取り巻く2人の少女との三角関係を描く恋愛ストーリーである。簡単に言えば百合である。アニメでは、性転換の葛藤をほぼ無視するかのように、原作より三角関係を強調して描かれているのに対し、小説版では逆に性転換の葛藤をしっかりと取り上げ、主人公の女性化による、本人及び周囲の心境変化を描写している点が、対照的で興味深い。タイトルの「かしまし」とは、「女三人寄れば姦しい(かしましい)」よりきている。なお、「ガール・ミーツ・ガール」については、「お決まりの」「典型的な」を意味する英語の慣用句「ボーイ・ミーツ・ガール」のもじりである。
- 物語の舞台である鹿縞市(架空)は東京都であり、茨城県鹿嶋市や、佐賀県鹿島市がモデルではない。作中、奥多摩を連想させる「奥鹿縞」という地名が出てくることから、多摩地方がモデルであると思われる。
- かしましをローマ字で表記する際、しはヘボン式のshiではなく、訓令式のsi、すなわちKA・SI・MA・SIとなる。なお、セブンシーズ・エンターテインメントより刊行されている北米版単行本では「Kashimashi」と表記されている。[1]
- テレビシリーズの最終回でヒロインが「あのね…」と言ったところでTV放映を終わらせ、その後の展開をOVA(未放映第13話)に続けることで、DVDの販売へと繋げようとする手法が取られた。これについては「あのね商法」などと称されるなど、批判的な論調も多く見られる。しかし、テレビ最終回の時点でヒロイン三名の三角関係については決着がついており、未完というわけではない(「あのね」によって逆にまた混沌としたともとれなくはない。真実は…?)。ちなみに、肝心の13話については確かにあらゆる問題がすっきりしているが賛否両論である。少なくとも、ドラマCDを聞いていないと疑問の残る内容になる可能性が高い。また、最後にテレビ最終回同様「また会おうね」と表示されることから今後どうなるか議論を呼んでいる。
ちなみに、主要キャラの名前は、宗教に関連して付けられているようである。
- DVD版では、全ての話に主演声優によるオーディオコメンタリーがつけられているが、物語にこだわることなく女性声優の姦しい話が続く。この作品の1話が堀江由衣の初コメンタリー。1~13話を通して植田佳奈、堀江由衣、田村ゆかりが出演。7,8話に浅野真澄、9,10話に新谷良子がゲストとして加わっている。
[編集] あらすじ
主人公である大佛はずむは、幼馴染である来栖とまりの励ましで片想いの相手である神泉やす菜に勇気を振り絞って告白したものの、その告白は拒絶されてしまう。近所の鹿縞山に一人登り、傷心を癒そうとしていたはずむだったが、巨大な宇宙船の墜落に巻き込まれてしまう。
宇宙船に乗っていた宇宙人は、地球人に対して自分のミスを詫び、はずむを治療したことを告げる。しかし同時に、その治療の過程ではずむが女になってしまったことも告げる。そして、この変化はもはや修正不可能だという。
女として学校に通うことになったはずむだが、一度は告白を断ったはずのやす菜ははずむに対して積極的にアプローチをかけてくるようになる。そしてとまりも、そんな二人の様子を見ていて弟分だと思っていたはずむに対して自分が抱いていた本当の気持ちに気づくのだった。
こうして、3人の少女たちの奇妙な三角関係が始まった……
[編集] 主要登場人物
- 大佛はずむ(おさらぎ はずむ) (声優:植田佳奈)
- 高校2年生。ガーデニングが趣味で、ガーデニング部所属。内気で心優しい少年だったが、やす菜に告白してふられ、傷心を抱きながら思い出の山に登ったところで、宇宙人の乗る宇宙船の故障による事故に巻き込まれ大けがを負う。惑星間保護法により治療が行われるが、組織再生時性別が逆転されてしまう。(性転換)。性別が転換したことにより、やす菜との関係が進展し、とまりが加わり奇妙な3角関係がはじまる。どちらのことも本気で好きなため、優しい性格も相まって一方をないがしろにすることができず、それが傍目には優柔不断と映って、結果二人と自分自身を苦しませている。
- 神泉やす菜(かみいずみ やすな) (声優:堀江由衣)
- はずむのクラスメイト。吹奏楽部所属で、担当はフルート。成績優秀で物静かな、『女の子』を絵に描いたような美少女。女子からは憧れの対象となっているようだが、同時に近寄りがたい雰囲気も併せ持っているため、友達は少ない。幼少期に突然男性を認識できなくなり、父親をも含む周囲の男性すべて、おぼろげにその輪郭だけをとらえることができるのみである。そのため周りとのコミュニケーションに障害があり、自身でもそのことについて悩んできた。そして高校で、初めて認識できる男性、はずむに出会う。ちなみにこの症状は相貌失認という脳障害ものと同じだが原因不明。
- アニメ版では「フェルマータ」と言う名のアフガン・ハウンドを飼っている。彼女が幼い頃、この犬が花瓶を割った事件がきっかけとなり、病気が発症したのだが、コミック版・小説版には一切登場していない。
- 芸術的才能は音楽だけに留まらず、絵も得意。ただし男性を描くことはできない。唯一認識できる男性だったはずむも、顔まで描くことはできなかった。
- 料理も、本人は得意と自負しているのだが、他人と味覚がズレているせいか、大抵激辛の味付けとなってしまう。
- 来栖とまり(くるす とまり) (声優:田村ゆかり)
- はずむのクラスメイトで幼馴染。陸上部に所属する活動的な少女。こちらは、やす菜とは違った意味で女子の憧れとなっており、後輩からラブレターともファンレターとも取れるような手紙をもらったこともある。はずむのことは昔から弟扱いして何かと面倒をみてきたが、やす菜と急接近する様子を見て自分がはずむのことを好きだったことに気づく。
- 一人っ子が多い主要人物の中で、唯一彼女のみ、弟の存在が確認されている。ただしコミック・アニメ共に台詞のみの登場で、顔は出ていないが、13話のEDにそれらしい人物が登場する。
- 摩利あゆき(まり あゆき) (声優:浅野真澄)
- とまりの友人。眼鏡をかけたクールな少女。はずむ達を優しく見守るが、実は・・・。蝶が好き。
- 恋愛を舞台に例えたりと、文系っぽい台詞が多いのだが、所属は生物部。
- カラオケの十八番は演歌。
- 曽呂明日太(そろ あすた) (声優:小野大輔)
- はずむが男だった頃からの親友……なのだが、突然美少女になったはずむに対して友情以上のものを抱くようになってしまい、悶々とする日々を送る。
- オープニングの映像では山岳部らしき格好をしているのだが、本編で部活シーンの描写は無い。
- 宇宙仁(そら ひとし) (声優:藤原啓治)
- 地球人の「恋愛感情」を研究するためにやってきた宇宙人。はずむを女にしてしまった張本人である。はずむの高校へ生物教師として潜入し、はずむの観察を続けている。外見は二枚目なのだが地球の事をあまり知らないため突拍子もない行動を取る事が多い。アニメ版では、研究内容が原作とは違うものになっている。月並子から求愛されているのは認識しているが、観察価値なしと判断し、無視している。
- 家にいる際や光学迷彩中など、正体を隠す必要の無い時は、黄色い全身タイツのような服装をしている。恐らく元ネタは、ストレッチマンと推測される。
- また、はずむの部屋の押入れに居候しているのは、ドラえもんのパロディ。コミック版では腹部にポケットまで付いていて、そこから様々な道具を取り出している。道具は彼の星で懐古主義が流行しているため、地球人には古めかしく見えるデザインが多い。
- ジャン・プウ (声優:新谷良子)
- コミック版・アニメ版では、宇宙船の頭脳と直結した生体端末。小説版では、宇宙仁の乗ってきた宇宙船そのもの。光学迷彩と空中浮揚、瞬間移動が行える。はずむを元にして作られたので姿がそっくりで、それ故周囲には、はずむの親戚ということで通っている。はずむのことは「オネニーサマ(お姉さま+お兄さまの合成語)」と呼んで慕う。ちなみにこの言葉は同じあかほり作品の「MAZE☆爆熱時空」でも使われていた。
- 生体端末というだけあって、モニターに接続すると見てきたものを映し出すことができる、ビデオカメラのような機能も持っている。宇宙仁はこれを使って、自分の目が届かない所の観察を行っているようである。ちなみにこの作業は、夜彼女が眠っている間に行われる。
- 月並子(つき なみこ) (声優:水谷優子)
- はずむたちのクラスの担任教師。担当教科は英語。彼氏居ない歴生まれてこのかた35年。教職に全てを捧げるとして恋愛は諦めていたが、宇宙仁に一目ぼれ。以後、事あるごとに積極的なアプローチをかけているのだが、全く相手にされていない。
- モデルは同じあかほり作品である『六門天外モンコレナイト』に登場した極稀並子先生。
- このキャラは水谷優子に演じてもらうために作られたキャラクターである。
- 大佛徹(おさらぎ とおる) (声優:保村真)
- はずむの父。職業は雑誌のカメラマン。お小遣いは1日525円。息子が娘になったことに狂喜し、はずむの色っぽい写真を撮ったり一緒に風呂に入ろうとしたりし、その度に妻に阻止される。
- 大佛かほる(おさらぎ かほる) (声優:永島由子)
- はずむの母。優しい感じの京都弁をしゃべる。はずむが小さいころはなぜか標準語だった。夫と同様に娘が出来たことを歓迎しているが、夫のはずむに対する行為はプロレス技を駆使して阻止する。
[編集] テレビアニメ
2006年1月から3月まで、テレビ東京系列(TXN)6局、及び、AT-Xで放送された。全13話だが、第13話は2006年10月27日に発売されたDVD第7巻のみに収録されている。
[編集] スタッフ
- 監督:中西伸彰
- 企画:久木敏行、川城和実
- シリーズ構成:花田十輝
- 脚本:花田十輝、あおしまたかし
- 演出:中西伸彰、横山広行、松浦錠平 他
- キャラクターデザイン・総作画監督:岩佐とも子
- 美術監督:廣瀬義憲
- 色彩設定:松浦頼子
- 撮影監督:塩見和欣
- 編集:森田清次
- 音響監督:明田川仁
- 音楽:磯江俊道、細井聡司、藤間仁
- 音楽プロデュース:Aifmade+(吉田隆)
- 音楽制作:ランティス
- アニメーションプロデューサー:光延青児
- プロデューサー:梅澤淳、轟豊太、里見哲朗
- 番組担当:東不可止(テレビ東京)
- アニメーション制作:スタジオ雲雀
- 製作:かしまし製作委員会
[編集] サブタイトル
- 少年はその日変わった
- 彼女は彼女である事を自覚した
- はずむの心、やす菜の心
- 少女三角形
- やす菜の目に映るもの
- お嫁さんとお婿さん
- みんなで海へ
- 見ているだけが…
- この願いはかないますか?
- 小さな嵐
- やす菜の瞳から消えたもの
- やがて恋がはじまる
- 少女は少女に恋をした(TV未放映)
[編集] 主題歌
- オープニングテーマ
- 『恋するココロ』(第2話~第11話・第13話:第1話はエンディングテーマ)
- 『みちしるべ』(第2話~第11話・第13話)
- 作詞・作曲:ゆうまお、編曲:大久保薫
- 歌:ゆうまお(第2話~第7話・第13話:第5話は2番、第6話はピアノ弾き語りVer)、浅野真澄(第8話)、植田佳奈(第9話)、堀江由衣(第10話)、田村ゆかり(第11話)
- ※第8話~第11話は、歌詞の内容がそれぞれの演じるキャラクターの心情を歌ったものに変更されている。
- 通常版の歌詞にはちょっとした言葉遊びがあり、歌詞内にメインキャラ3人の名前が隠されていたり、かしまし(かなしみ、しあわせ、まだ、しんじて)が縦読みで隠されていたりする。
- 『キミのためにできること』(第12話:第13話は挿入歌)
- 作詞・作曲:ゆうまお、編曲:大久保薫、歌:ゆうまお
[編集] ラジオ
- 佳奈・由衣・ゆかりのかしましらじお(BEAT☆Net Radio! 2005年9月~2006年10月)
- パーソナリティは、植田佳奈、堀江由衣、田村ゆかり。
- 真澄♥良子のかしましらじおPC(ポッドキャスティング2005年12月~2006年4月)
- パーソナリティは、浅野真澄と新谷良子。
[編集] 小説
- 『かしまし ~ガール・ミーツ・ガール~』(電撃文庫)
[編集] 外部リンク
テレビ東京系 水曜25:30枠 | ||
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