さまよえるオランダ人
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さまよえるオランダ人(Der fliegende Holländer)はリヒャルト・ワーグナー作曲のオペラ。1842年に完成し、1843年に初演された。
神罰によって、この世と煉獄の間を彷徨い続けているオランダ人の幽霊船があり、喜望峰近海で目撃されるという伝説を元にした、ドイツの詩人ハインリッヒ・ハイネの「さまよえるオランダ人」(『フォン・シュナーベレヴォプスキー氏の回想記』)にワーグナーが着想を得て再構成したもの。
目次 |
[編集] 登場人物
- オランダ人
- ダラント船長
- ゼンタ(ダラントの娘)
- エリック(ゼンタの恋人)
[編集] あらすじ
以下初演時に従って三幕構成になっているが、作曲者の欲したのは一幕形式である。当時の未熟な舞台技術がやむをえなく三幕構成にさせられたのである。なお現行の楽譜に2つの稿があり、第一稿が荒々しいオーケストレーションの救済のない形、第二稿が幾分穏やかなオーケストレーションで救済のない形の2つの版がある。バイロイトを初めとして多くの歌劇場は一幕形式で上演される。演奏時間は全一幕で2時間10分かかる。
[編集] 第一幕
舞台はノルウェーのフィヨルドに面した港町。ダラントは一時避難で、我が家がある、ここに立ち寄り投錨する。すると、遠くから、黒いマストに真紅の帆を立てた、幽霊船が現れる。幽霊船の船長のオランダ人は「呪いを受け7年に一度上陸できるが、乙女の愛を受けなければ呪いは解かれず、死ぬことも許されずに永遠に海をさまよわなければならぬ」と嘆く。
ダラントはオランダ人から財宝を渡され、娘ゼンタと引きあわすことを約束してしまう。
[編集] 第二幕
ゼンタはオランダ人と出会い、その不幸に心打たれ、救いたいと思う。ゼンタはオランダ人の肖像を見ては思いを募らすばかりである。しかし、ゼンタはエリックという青年に愛されているのである。
ゼンタは父とオランダ人に説得され、彼につれ従うことを約束する。
[編集] 第三幕
第一幕の港町に再びオランダ人の幽霊船が現れる。オランダ人に会おうとするゼンタ。それを引き止めるエリック。オランダ人はエリックのゼンタへの愛を見て「裏切られた」と言い、帆をはり去っていく。ゼンタは自らの純愛を岩の上から叫び、貞節を証明するために海に身を投じる。
ゼンタの純愛を得た幽霊船は呪いを解かれ死を得て沈没する。
そしてオランダ人とゼンタは浄化され昇天していくのである。
[編集] 余談
- 原題"Der fliegende Holländer"を「さまよえるオランダ人」と訳したのは意訳。"Holländer"には「オランダ人」のほかに「幽霊船」の意味がある。なおフランス語の題« Le Vaisseau fantôme »は「幽霊船」の意味である。
- 英語では"The Flying Dutchman "でこれを「空飛ぶオランダ人」と意訳してオランダのサッカー選手ヨハン・クライフのあだ名にした。過去、KLMオランダ航空のマイレージサービスの名称にも使われていた。
- この物語をモチーフにして、設定を現代に移して後日談を描いた映画がある。1951年のイギリス映画で「パンドラ」、エヴァ・ガードナーとジェームズ・メイスンが出演した。
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