ぴゅう太
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ぴゅう太( - た)は、1982年8月20日にトミー工業(現・タカラトミー)より定価59,800円で発売された16bitマイコン(ホビーパソコン)。初代機は日本語記述のBASIC(G-BASIC)を搭載していた。
型番はTP1000。
目次 |
[編集] 概要
プログラミング言語に日本語記述のG-BASIC(Gはグラフィックの略)、グラフィックソフトにG-GRAPHICを標準搭載し、自作のゲームを作る事ができる。パソコンとしては低価格、低機能で、「基本はゲーム機で、キーボードが付いていてパソコンとしても使用できる」というスタンスのマシン。RAMエリアはビデオRAM兼用で16KBと少ないが、グラフィック関連のコマンドでは内蔵キャラクターや背景を流用する事で、コンピュータゲーム作成にはアドバンテージがある。
また玩具メーカーである同社は玩具店への販売チャンネルを持つ事から、当時の通常のパソコンの、パソコンショップでの展示販売とは比べ物に成らない数が、デパートなどの玩具売場店頭で実機展示されていた。
スプライト機能(ぴゅう太では「アニメ」という名称だった)を備えていた事で、当時の本格的なパソコンのBASIC言語では作りづらかったアクションゲームを、有利なスピードで動作するものが製作できた。ただこれは、同マシンのCPUが16bitだったからというよりも、周辺の処理機能が充実していたためといわれる。
ぴゅう太は発売から4か月で4万台を売った。
後継機として、
- 『ぴゅう太Jr.(TP2001)』(定価 19,800円)
- キーボード、G-BASICを省きゲームに特化
- 『ぴゅう太mk2(TP1007)』(定価 29,800円)
- 英語記述のG-BASIC、プラスチック製のキーボードを搭載
が発売された。
海外では『TUTOR』という名前で発売された。
[編集] 評価
数万円台という価格は当時の児童向け玩具としては高価で、玩具店で販売する事には難があった。加えて玩具メーカーの製品という事や、見た目が玩具然としている事も、同機種の性能面での評価を妨げていた部分は否めない。
ゲーム機として見た場合、付属のコントローラが操作しにくいという声が多かった。
G-BASICはコマンドが日本語(カケ、マワレ、…etc.)である点が特徴だが、構文自体は自然言語解析などをしていたわけではなく、「PRINT」を「カケ」のようにカタカナ語に置き換えただけのものである。
また、命令数が少ない、マルチステートメントが使えない等、当時の標準的なBASICよりも貧弱で扱いにくい部分があり、フリーエリア(使えるメモリ)も少なかった。
マイコンBASICマガジンなどのプログラム投稿誌では、ユーザーの手によって、同機種用プログラムソースが掲載された。この際、リストが日本語であることに加えて、ぴゅう太特有の、G-GRAPHICと連携するためにプログラム入力時 G-GRAPHICでどのような絵を描けばよいかの指示が併載され、誌面上では異彩を放っていた。
[編集] その他
- G-BASICは一般的なBASICとの互換性は低く、普及することはなかった。
- G-GRAPHICとG-BASICが連携する部分は、後年のファミリーベーシックの構造に類似している。
- 当時、プラスチック製のキーボードは高価であったため、ゴム製を使用している。
- ぴゅう太という名称は子供用のこん『ぴゅーた』という所から名付けられている。
- 広告では「パソコンなんて、過激なオモチャじゃ!」というキャッチフレーズが使われた。イメージキャラクタは学生帽をかぶった恐竜ティラノサウルス。
[編集] 仕様
- CPU: TMS9995
- VDP: TMS9918
- メモリ: ROM 内蔵20Kバイト RAM 内蔵16Kバイト
- キーボード: JIS規格準拠 56キー
- 表示能力: 16色
- サウンド: 擬音4種類/3和音
- 重量: 1.7kg
- メディア: カートリッジ型
[編集] オプション
[編集] G-BASICの主なコマンド、関数
- GOTO ニイケ - 指定した行への移動
- GSUB ヲヨベ - 指定した行をサブルーチンとして実行
- FOR〜TO〜STEP〜NEXT マワレ〜カラ〜カンカク〜トジル - ループ実行
- PRNT カケ - 画面に表示
- GRUN ジッコウ - プログラム実行
- STOP トマレ - 止める
- END オワリ - 終了
- TONE NO1|NO2|NO3|NO4 オト イチオン|ニオン|サンオン|シオン - 効果音発声
- IF~THEN モシ~ナラバ - 判断
- LET シキ - 変数に値を代入
[編集] 主なソフト
- ボンブマン
- モンスターイン
- ザウルスランド
- ターピン
- フロッガー
- スクランブル (ゲーム)
- ナイトフライト
- マリンアドベンチャー
- ミッションアタック
- トラフィックジャム
- ミステリーゴールド
- ドンパン
- ミッキーマウスのアスレチックランド
- プーヤン
- ジャングラー
- ガッタンゴットン
- メイズパトロール
- トロン - トロン (映画)のゲーム化。
- Mr. Do!
- バミューダトライアングル
- 四人麻雀
- トリプルコマンド
- スーパーバイク
- レスキューコプター
- ベースボール
- バトルファイター