もろみ
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もろみ(醪・諸味とも書く)は、醤油・酒などを作るために醸造した液体の中に入っている、原料が発酵した柔らかい固形物のことである。
日本酒のもろみ(醪)については酒税法第3条14項に定義されており、もろみから液体である酒を絞り出して残った固形物が酒粕となり、漬物・甘酒・酢の原料に使われる。なお沖縄の「もろみ酢」はクエン酸を多く含む泡盛の酒粕を原料に使用し、これを酢酸発酵して製造している。
醤油のもろみ(諸味)から液体を絞り出して残った固形物は、主に山形や新潟では「しょうゆの実」と称され、そのまま食べたり調味料代わりに使用されるが、通常は醤油粕として処理されてしまうため、有効に利用する方法が模索されている。
なお「もろみ味噌」と分類される一群の食品もあるが、これは「味噌のもろみ」ではなく、醤油のもろみに近似したものを、最初から「もろみ」そのものを食べることを目的として造るものを指すことが多い。醤油を作るときと同様の方法で麦・大豆・米などから製造した麹を、醤油のときほどは多くない塩水に漬けて熟成させるものが基本形である。今日では食品工業的には醤油・塩・糖類などの調味料を入れた液体に漬け込む製法で造られていることが多い。その味付けや製造される地域によって「なめ味噌」・「金山寺味噌」・「金山寺納豆」・「しょうゆの実」(主に熊本)・「しょいのみ」(主に長崎)などと称されている。