アクチュエータ
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アクチュエータは、入力されたエネルギーを物理運動量に変換するものであり、機械・電気回路の構成する機械要素である。
[編集] 概要
アクチュエーターは利用する作動原理(入力するエネルギー)によりさまざまなものが開発され利用されている。一般には伸縮や屈伸といった単純な運動をするものに限られ、電動機(モーター)やエンジンのような動力を持続的に発生させるものを指してアクチュエータとは呼ばない。
特に電磁石で得られる動力を利用するものをソレノイドアクチュエータと呼ぶが、航空機などに見られる油圧により駆動されるものもある。また筋肉も化学エネルギーを利用したアクチュエータの一種と言え、この他にも形状記憶合金を使い、電流を入力することで発生するジュール熱を利用したアクチュエータも実用に供されている。
これらアクチュエータは基本的にエネルギーを与えることで運動を発生させるが、何らかの装置に組み込む場合は電気的な信号によって制御できるようにするなど、制御機構に組み込まれる。制御方式は利用されるエネルギーの種類やアクチュエータ自身の用途にも拠り様々で、単純な開閉器(スイッチ)やバルブによるもの、或いはそこからハンドルやレバーといった操作部分に連結しているもの、更には大きな力を発生させるアクチュエータを動作させるために動力伝達装置の開閉器に取り付けられた小型のアクチュエータなど、様々な利用のされ方がある。
[編集] 応用
ロボットの関節を動作させるなどの利用が見られる。この中にはエネルギーを与えたときだけ縮み、エネルギーを絶つと外部の力に対して受動的になるアクチュエータも多く、関節を動作させる場合には、関節を曲げるアクチュエータと、伸ばすアクチュエータがセットになっていたり、或いは片側をばねの弾力で肩代わりさせるなどの設計様式も見られる。複雑な所では力の合成を利用して複数アクチュエータから得られる力を利用して、軸を支点として複雑な運動を行う場合もある。
こういった複雑な動作を要求されるアクチュエータは制御のために状態を検出するセンサと同時に組み込まれ、状態を監視する(センシング)。これによってアクチュエータに入力されるエネルギーを調節され、望みどおりの運動を行うが、建設機械のような単純なものでは操作者が各々の関節の状態を目視で確認・調節することからこういった状態把握のためのセンサ類は利用されない。
2000年代では制御用のコンピュータが高性能化、加えてダウンサイジングにもより小型化も進んでロボットがより現実的な装置として開発されているが、その陰でアクチュエータもより効率よく動作するものが求められており、センシング技術も並行する形でセンサの小型化・高精度化や一定の情報処理機能を備える知能化が進んでおり、これらがロボット工学の全体的な発展を促している。