イバラモエビ
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イバラモエビ | ||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||
Lebbeus groenlandicus (Fabricius, 1775) |
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英名 | ||||||||||||||||||||||
Spiny lebbeid |
イバラモエビ(茨藻海老)Lebbeus groenlandicus は、エビ目(十脚目)・モエビ科・イバラモエビ属に分類されるエビの一種。寒帯の深海に分布する大型種で、食用に漁獲される。方言呼称としてイバラエビ(茨海老)、オニエビ(鬼海老)、サツキエビ(五月海老)などもある。
体長は10cmに達し、モエビ科の中では大型種である。全身が橙色-ピンクの硬い甲に覆われる。額角は細く斜め上に突き出し、鋸状の歯が下側に3つ、上側に7つある。さらに上側の歯のうち後ろの4つは複眼より後ろの頭胸甲上にあって大きく発達し、モヒカン刈りのようになっている。その他にも前面や腹脚外側など体の各所に棘をもつ。「茨」や「鬼」に因む呼称はここに由来し、英名でも「棘だらけの」という意の形容詞"Spiny"が用いられる。
日本海、オホーツク海、ベーリング海を含む北太平洋の寒帯域から北極海まで広く分布し、水深200-300mほどの深海に生息する。日本では山陰沖から北海道にかけて見られる。
小型種の多いモエビ科にあって数少ない食用種で、分布域ではトヤマエビやホッコクアカエビなどと同様に漁獲される。別名サツキエビは春に多く漁獲されることに由来する。
殻が硬く棘も多いが美味とされ、刺身や塩焼きなどで食べられる。ホッコクアカエビ等に比べると漁獲量は少なく、ほとんどが漁獲地周辺の流通にとどまっていたが、流通網も発達した21世紀初頭頃には食材として名も知られるようになった。
[編集] 参考文献
- 保育社「原色日本大型甲殻類図鑑」I 三宅貞祥 ISBN 4-586-30062-0