スタートレック:エンタープライズ
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『スタートレック:エンタープライズ』(Star Trek: Enterprise、略称ENT)は、アメリカのSFテレビドラマシリーズ。『スタートレック』シリーズの5番目のテレビドラマ作品。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 舞台設定
2001年9月から、UPN系列で全米での放送を開始した。『宇宙大作戦』で描かれたカーク船長の5年間の探査ミッションの約100年前、惑星連邦成立前の22世紀を舞台に、ジョナサン・アーチャー船長指揮する地球初の深宇宙探査船「エンタープライズ」NX-01とそのクルーの活躍を描く。スタートレック世界の時間軸で、映画『ファーストコンタクト』から『宇宙大作戦』までの期間を直接描いた初めての作品となる。
[編集] 概要
本作以前のスタートレックは、シリーズを通しての設定や別の作品のストーリーを前提とした話も多く、このようなつくりは熱心なファン層(トレッキー、トレッカー)の支持を受ける一方、マニアックになりすぎ予備知識なしにはストーリーを十分に堪能できないと批判されることもあった。本作はシリーズ第一作である『宇宙大作戦』以前の時代を舞台とし、そうした設定をいったん白紙の状態に戻した事で、予備知識を持たない新しいファンも楽しむことができるようになっている。
この「スタートレックの名前は知っているけど、敷居が高くて今までまともに見たことがない」層への配慮は本作の特徴の1つであり、本国アメリカではシリーズで初めてタイトルに「Star Trek」の名を冠しないで放送された(アメリカでの番組タイトルは、第1・第2シーズンの放送時はEnterpriseで、第3シーズンから日本版と同じく、Star Trek: Enterprise に変更。また、第3シーズンからオープニングテーマ曲も多少アレンジされた。なお、主題歌を歌ったのは、イギリス出身の歌手であるラッセル・ワトソンである)。
その一方で従来のファン層にも配慮し、クリンゴンやアンドリアとのファーストコンタクトが描かれるなど、「知らなくても楽しめるが、知っているともっと楽しめる」つくりを目指した。
しかし、放送開始当初から視聴率的には苦戦し、過去のシリーズに登場したキャラクターや俳優を出演させるなど様々なテコ入れが試されたが、視聴率は地を這う一方で、2005年2月3日 (現地時間 2日)に第4シーズン・フィナーレを最後に打ち切りされることが正式に発表された。そして、同年5月中旬に、 「These Are The Voyages.....(最後のフロンティア)」 がシリーズの最終エピソードとして全米で放送され、全4シーズン・98話を以って終了した。なお、最終エピソードでもあるこのエピソードには、『新スタートレック』のウィリアム・T・ライカー副長役のジョナサン・フレイクスとカウンセラー・ディアナ・トロイ役のマリーナ・サーティスが特別ゲスト出演し、アーチャー船長役のスコット・バクラらと共演している。 当時スタートレックシリーズ自体が、1966年にスタートした『宇宙大作戦』以来40年近くが経過し、1987年に始まった『新スタートレック』からは15年以上に渡り途切れなくテレビシリーズが放映されていた。『新スタートレック』開始以降4本のテレビシリーズと6本の映画が製作され、500話を超えるエピソードが製作される中、プロデューサでメインライターの一人であったMichael Pillerの死去やRon MooreやJeri Taylorの離脱の影響もあり、シリーズとしてのネタ切れの苦しさが隠せないのも事実だった。
[編集] 批判
「過去の歴史」を描く試みはスタートレックシリーズ初のものであり、新規ファン獲得を目指したが、以下のような批判も存在する。
- 舞台設定がそれまでのシリーズの「過去」であるため、ストーリーに緊張感がない。作中のストーリーの結果生じる「未来」が、すでに決まってしまっている。
- クリンゴンのメイクが『宇宙大作戦』でなく、『宇宙大作戦』の映画版シリーズや『新スタートレック』以降のシリーズに依拠している。(この点は91話「Affliction(クリンゴンの苦境)」により整合性が取られた)
- フェレンギなど後の時代でファーストコンタクトしたはずの種族が登場する。
- 反対に「過去」の時代を描いた作品であるのに、以降の「歴史」で触れられていない種族が登場する。
- 種族やキャラクターの描き方が従来のシリーズ作品と矛盾を来している。
- シリーズ後半、視聴率テコ入れのため、設定上は本来はるか未来に登場するはずの人物などを頻繁に登場させ、本来の世界観を破壊している。
これらの批判に対し、「歴史」は以前のシリーズですべて語られているわけではなく、ストーリー展開の余地がある。登場してはいけない種族については直接種族名が言及されたわけではないため以降の「歴史」には記録されなかった、などの反論もある。
シリーズ前半には物語の縦軸として「時間冷戦」という歴史改変テーマがあったので、以前のシリーズとの矛盾はこの伏線であろうという推測もあった。しかし時間冷戦はシーズン4の冒頭で終結してしまい、矛盾の多くは放置されるか、歴史改変とは無関係な形で収拾された。
賛否両論ある同シリーズではあるが、22世紀という設定もあり、ディープスペースに乗り出したばかりと云う人類の血の気の多さにはバルカン人が辟易するなど、全シリーズ中で「最も人間臭い」との評価もある。
士官然としていた他作品に登場したクルーらのような落ち付きが足りないため、感情的な描写も多く、その辺りは旧来のファンには暑苦しく、逆に新規ファンには幼稚で稚拙な演出だと映ってしまった。
[編集] 登場人物
- ジョナサン・アーチャー(スコット・バクラ)(日本語版での声:谷口節) - 船長。階級は大佐。地球人男性。愛犬はビーグル犬の「ポートス」。
- トゥポル(ジョーレン・ブラロク)(本田貴子) - 副司令官。バルカン人女性。
- チャールズ・タッカー三世(コナー・トリニアー)(内田直哉) - 機関部長。階級は少佐。地球人男性。愛称は「トリップ」。
- マルコム・リード(ドミニク・キーティング)(井上倫宏) - 保安部長兼兵器士官。階級は大尉。地球人男性。
- トラヴィス・メイウェザー(アンソニー・モンゴメリー)(浜田賢二) - 操舵士。階級は少尉。地球人男性。
- ホシ・サトウ(リンダ・パク)(岡寛恵/弓場沙織) - 通信士。地球人女性。階級は少尉。
- フロックス(ジョン・ビリングズリー)(茶風林) - 医療部長。デノビュラ人男性。
[編集] その他
ラッセル・ワトソンが歌うオープニング曲"Faith of the heart"(Where my heart will take me)は、映画「パッチ・アダムス」のエンディングで流れるロッド・スチュワートが歌うものに若干のアレンジを施したものである。
[編集] 外部リンク
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