カルチョ・スキャンダル
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カルチョ・スキャンダル(Calcio Scandal)とは2006年5月に発覚したイタリアサッカー界の一大スキャンダルのこと。カルチョッポリ(Calciopoli、イタリア語で「サッカー」を意味するCalcioと「疑獄事件」を意味するTangentopoliを足した造語)とも。ユヴェントスのルチアーノ・モッジ元GMやアントニオ・ジラウド元CEOらが主犯格とされ、組織的に審判(主審、副審)を買収、脅迫し、自チームに有利な判定を行うよう指示していた。また、イタリアサッカー協会(FIGC)の元会長であるフランコ・カッラーロや審判協会(AIA)の元会長であるトゥッリオ・ラネーゼもこれに協力していたとされており、イタリアサッカー界の腐敗体質が世に知れた。ユヴェントスの他にもACミラン、フィオレンティーナ、ラツィオ、レッジーナが関与していた。
目次 |
[編集] 検察側の求刑内容
[編集] クラブチーム
- ユヴェントス:セリエAからの除名、セリエC1降格、2006-07シーズンを勝ち点-6からスタート、2004-05・2005-06のスクデット剥奪
- ACミラン:セリエB降格、2006-07シーズンを勝ち点-3からスタート
- フィオレンティーナ:セリエB降格、2006-07シーズンを勝ち点-15からスタート
- ラツィオ:セリエB降格、2006-07シーズンを勝ち点-15からスタート
[編集] クラブ関係者
- ルチアーノ・モッジ(元ユヴェントスGM):5年間の活動禁止、罰金5000ユーロ(約76万円)
- アントニオ・ジラウド(元ユヴェントスCEO):5年間の活動禁止、罰金5000ユーロ(約76万円)
- アドリアーノ・ガッリアーニ(ミラン副会長):2年間の活動禁止
- レオナルド・メアーニ(元ミラン審判係):5年間の活動禁止、罰金5000ユーロ(約76万円)
- ディエゴ・デッラ・ヴァッレ(フィオレンティーナ名誉会長):5年間の活動禁止、罰金5000ユーロ(約76万円)
- アンドレア・デッラ・ヴァッレ(フィオレンティーナ会長):5年間の活動禁止、罰金5000ユーロ(約76万円)
- サンドロ・メンクッチ(フィオレンティーナ代表取締役):5年間の活動禁止、罰金5000ユーロ(約76万円)
- クラウディオ・ロティート(ラツィオ会長):5年間の活動禁止、罰金5000ユーロ(約76万円)
[編集] FIGC関係者、AIA関係者、審判員
- フランコ・カッラーロ(元FIGC会長):5年間の活動禁止、罰金5000ユーロ(約76万円)
- イノチェンツォ・マッツィーニ(元FIGC副会長):5年間の活動禁止、罰金5000ユーロ(約76万円)
- コジモ・マリア・フェッリ(元FIGC裁判官):無罪
- トゥッリオ・ラネーゼ(元AIA会長):5年間の活動禁止、罰金5000ユーロ(約76万円)
- パオロ・ベルガモ(元AIA審判決定係):5年間の活動禁止、罰金5000ユーロ(約76万円)
- ピエルルイジ・パイレット(元AIA審判決定係):5年間の活動禁止、罰金5000ユーロ(約76万円)
- ジェンナーロ・マッツェイ(元AIA審判決定係):2年間の活動禁止
- ピエトロ・インガルジョーラ(元AIA監査役):1年間の活動禁止
- パオロ・ベルティーニ(審判員):5年間の活動禁止
- マッシモ・デ・サンティス(審判員):5年間の活動禁止、罰金5000ユーロ(約76万円)
- パオロ・ドンダリーニ(審判員):5年間の活動禁止
- ファブリツィオ・バビーニ(審判員):1年間の活動禁止
- ドメニコ・メッシーナ(審判員):5年間の活動禁止
- ジャンルカ・パパレスタ(審判員):1年間の活動禁止
- ジャンルカ・ロッキ(審判員):5年間の活動禁止
- パスクァーレ・ロドモンティ(審判員):5年間の活動禁止
- パオロ・ターリアヴェント(審判員):5年間の活動禁止
- クラウディオ・プッリージ(審判員): 1年間の活動禁止
[編集] 第一審判決
[編集] クラブチーム
- ユヴェントス:セリエB降格、2006-07シーズンを勝ち点-30からスタート、2004-05・2005-06のスクデット剥奪、罰金80万ユーロ(約1174万円)
- ACミラン:2005-06シーズンの勝ち点から44ポイント剥奪(順位2位→7位)、2006-07シーズンを勝ち点-15からスタート、罰金3万ユーロ(約440万円)
- フィオレンティーナ:セリエB降格、2006-07シーズンを勝ち点-12からスタート、罰金5万ユーロ(約733万円)
- ラツィオ:セリエB降格、2006-07シーズンを勝ち点-7からスタート、罰金4万ユーロ(約587万円)
[編集] クラブ関係者
- ルチアーノ・モッジ(元ユヴェントスGM):5年間の活動禁止、罰金5万ユーロ(約733万円)、除名の提案
- アントニオ・ジラウド(元ユヴェントスCEO):5年間の活動禁止、罰金2万5000ユーロ(約366万円)、除名の提案
- アドリアーノ・ガッリアーニ(ACミラン副会長):1年間の活動禁止
- レオナルド・メアーニ(元ACミラン審判係):3年6ヶ月の活動禁止
- ディエゴ・デッラ・ヴァッレ(フィオレンティーナ名誉会長):4年間の活動禁止、罰金3万ユーロ(約440万円)
- アンドレア・デッラ・ヴァッレ(フィオレンティーナ会長):3年6ヶ月の活動禁止、罰金2万ユーロ(約293万円)
- サンドロ・メンクッチ(フィオレンティーナ代表取締役):3年6ヶ月の活動禁止、罰金1万ユーロ(約146万円)
- クラウディオ・ロティート(ラツィオ会長):3年6ヶ月の活動禁止、罰金4万ユーロ(約587万円)
[編集] FIGC関係者、AIA関係者、審判員
- フランコ・カッラーロ(元FIGC会長):4年6ヶ月の活動禁止
- イノチェンツォ・マッツィーニ(元FIGC副会長):5年間の活動禁止
- コジモ・マリア・フェッリ(元FIGC裁判官):無罪
- トゥッリオ・ラネーゼ(元AIA会長):2年6ヶ月の活動禁止
- パオロ・ベルガモ(元AIA審判決定係):管轄外(FIGC名簿から自分の名前を削除したため)
- ピエルルイジ・パイレット(元AIA審判決定係):2年6ヶ月の活動禁止
- ジェンナーロ・マッツェイ(元AIA審判決定係):1年間の活動禁止
- ピエトロ・インガルジョーラ(元AIA監査役):訓戒処分
- パオロ・ベルティーニ(審判員):無罪
- マッシモ・デ・サンティス(審判員):4年6ヶ月の活動禁止
- パオロ・ドンダリーニ(審判員):3年6ヶ月の活動禁止
- ファブリツィオ・バビーニ(審判員):1年間の活動禁止
- ドメニコ・メッシーナ(審判員):無罪
- ジャンルカ・パパレスタ(審判員):3ヶ月の活動禁止
- ジャンルカ・ロッキ(審判員):無罪
- パスクァーレ・ロドモンティ(審判員):無罪
- パオロ・ターリアヴェント(審判員):無罪
- クラウディオ・プッリージ(審判員): 1年間の活動禁止
[編集] 第二審判決
[編集] クラブチーム
- ユヴェントス:セリエB降格、2006-07シーズンを勝ち点-17からスタート、2004-05・2005-06のスクデット剥奪、2006-07シーズンのホームゲーム3試合を中立地で開催、罰金12万ユーロ(約1700万円)
- ACミラン:2005-06シーズンの勝ち点から30ポイント剥奪(順位2位→4位)、2006-07シーズンを勝ち点-8からスタート、2006-07シーズンのホームゲーム1試合を中立地で開催、罰金10万ユーロ(約1474万円)
- フィオレンティーナ:2005-06シーズンの勝ち点から30ポイント剥奪(順位4位→9位)、2006-07シーズンを勝ち点-19からスタート、2006-07シーズンのホームゲーム2試合を中立地で開催、罰金10万ユーロ(約1474万円)
- ラツィオ:2005-06シーズンの勝ち点から30ポイント剥奪(順位6位→17位)、2006-07シーズンを勝ち点-11からスタート、2006-07シーズンのホームゲーム3試合を中立地で開催、罰金10万ユーロ(約1474万円)
[編集] クラブ関係者
- ルチアーノ・モッジ(元ユヴェントスGM):5年間の活動禁止、除名の提案
- アントニオ・ジラウド(元ユヴェントスCEO):5年間の活動禁止、除名の提案
- アドリアーノ・ガッリアーニ(ACミラン副会長):9ヶ月の活動禁止
- レオナルド・メアーニ(元ACミラン審判係):2年6ヶ月の活動禁止
- ディエゴ・デッラ・ヴァッレ(フィオレンティーナ名誉会長):3年間の活動禁止
- アンドレア・デッラ・ヴァッレ(フィオレンティーナ会長):3年6ヶ月の活動禁止
- サンドロ・メンクッチ(フィオレンティーナ代表取締役):2年6ヶ月の活動禁止
- クラウディオ・ロティート(ラツィオ会長):2年6ヶ月の活動禁止
[編集] FIGC関係者、AIA関係者、審判員
- フランコ・カッラーロ(元FIGC会長):罰金8万ユーロ(約1216万円)
- イノチェンツォ・マッツィーニ(元FIGC副会長):5年間の活動禁止
- コジモ・マリア・フェッリ(元FIGC裁判官):無罪
- トゥッリオ・ラネーゼ(元AIA会長):2年6ヶ月の活動禁止
- パオロ・ベルガモ(元AIA審判決定係):管轄外(FIGC名簿から自分の名前を削除したため)
- ピエルルイジ・パイレット(元AIA審判決定係):3年間の活動禁止
- ジェンナーロ・マッツェイ(元AIA審判決定係):6ヶ月の活動禁止
- ピエトロ・インガルジョーラ(元AIA監査役):訓戒処分
- パオロ・ベルティーニ(審判員):無罪
- マッシモ・デ・サンティス(審判員):4年間の活動禁止
- パオロ・ドンダリーニ(審判員):無罪
- ファブリツィオ・バビーニ(審判員):6ヶ月の活動禁止
- ドメニコ・メッシーナ(審判員):無罪
- ジャンルカ・パパレスタ(審判員):3ヶ月の活動禁止
- ジャンルカ・ロッキ(審判員):無罪
- パスクァーレ・ロドモンティ(審判員):無罪
- パオロ・ターリアヴェント(審判員):無罪
- クラウディオ・プッリージ(審判員): 6ヶ月の活動禁止
[編集] 仲裁裁判判決
- ユヴェントス:セリエBで、2006-07シーズンの勝ち点のペナルティが-17から-9に削減
- ACミラン:変更なし(-8のまま)
- フィオレンティーナ:2006-07シーズンの勝ち点のペナルティが-19から-15に削減
- ラツィオ:2006-07シーズンの勝ち点のペナルティが-11から-3に削減
[編集] 影響
主力選手(特にイタリア代表)の海外移籍が行われ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルカ・ザンブロッタ(共に元ユヴェントス)などがスペインに新天地を求め、イタリアサッカーのレベルの低下が懸念されている。また、同じく元ユヴェントスのズラタン・イブラヒモビッチ、パトリック・ビエイラらがインテル・ミラノへ移籍し、クラブ間の戦力差も拡大した。 また、不正があったとされる2004-2005、2005-2006シーズンのユヴェントスのスクデットは剥奪され、これにより2005-2006シーズンはインテル・ミラノの繰り上げ優勝となった(2004-2005シーズンに関しては該当なし)。